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国際井上円了学会第4回学術大会を開催しました

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国際井上円了学会第4回学術大会を開催

 2015年9月13日、東洋大学白山キャンパス8号館7階125記念ホールにて、国際井上円了学会第4回学術大会が開催された。この大会では、5名の個人研究発表と、メキシコから招いたアグスティン・ハシント=サバラ氏(ミチョアカン大学院大学)の特別講演が行われた。

 最初の個人研究発表は、甲田烈氏(相模女子大学)の「世界の際としての「妖怪」: 井上円了の「相含」概念を通して」であった。この発表は、井上円了の最終的な哲学的立場である相含説が、妖怪学に反映されていないように見えることから、相含説を組み込んだ妖怪学を構想するものであった。

 次の個人研究発表は、白井雅人氏(東洋大学)の「井上円了の平和哲学と戦争哲学」であった。円了の戦争と平和に関する言説の変遷を追いながら、彼の後期倫理学の限界と新たな可能性を論じるものであった。

 三番目の研究発表は、堀雅通氏(東洋大学)の「井上円了の観光行動について」であった。円了が残した旅行記をもとに、彼が実際にどのように旅行に望んでいたのかを明らかにするとともに、旅行が思想形成に与えた影響を考察しようとするものであった。

 休憩を挟んで、菅原潤氏(日本大学)の「哲学館事件と綱島梁川―明治哲学史の転回点―」と題された発表が行われた。哲学館事件における論争で大きな役割を果たした綱島梁川の論考を概観しながら、同時に哲学館事件が西洋哲学の受容という思想史の流れの中にどのように位置づけられるのかを明らかにした。

 研究発表の最後は、ライナ・シュルツァ氏(テュービンゲン大学)の「井上円了における「方便」概念」であった。円了における方便の概念を、(1)科学に合わない仏教の主張を方便とする、(2)心理療法などで効果を上げるようなアプローチを方便とする、(3)小乗仏教を大乗仏教に至るための方便とする、(4)他宗派を許容する態度を方便とする、の四点にまとめその積極的意義を明らかにした。

甲田烈白井雅人堀雅通菅原潤ライナ・シュルツァ氏会場の様子

 研究発表の後、アグスティン・ハシント=サバラ氏による「井上円了の初等教育・中等教育における10年」という特別講演が行われた。初等教育と中等教育の計10年間にわたる期間の修身教育について、円了がどのような計画を立てていたのかを明らかにするものである。講演では、円了の修身教育の背景を明らかにするために、先行する幾つかの修身教育の計画について概観することからはじめた。その後、教育勅語に基づく倫理学(井上哲次郎『倫理新説』、井上円了『倫理通論』)をみていき、さらに幾つかの教育勅語の解釈書の概略が示された。その上で、井上円了の修身教育のプログラムが、井上哲次郎のそれと対比させられながら示された。井上円了の修身教育は、まさに教育勅語の解釈学と呼ぶに相応しい過程を進むものであったのである。解釈学的な方法論によって貫徹された井上円了の修身教育のプログラムが明らかにされることによって、これまで見落とされてきたその意味が明らかにされたのであった。アグスティン・ハシント=サバラ

 研究発表、特別講演、ともに非常に充実した内容であり、国際井上円了学会の学術的水準の高さを示した大会で会ったと言えよう。