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第3ユニット 連続研究会連続研究会「多文化共生を考える」第1回、第2回

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連続研究会「多文化共生を考える」第1回、第2回

 第3ユニットでは、最終年度へ向けての成果集約の場として、連続研究会「多文化共生を考える」を立ち上げた。この連続研究会は、さまざまな主張を持つ文化的多様性や宗教的多様性が社会にもたらす諸問題を、主として宗教や思想の視点から捉え直し、「共生」すなわち共に幸福に暮らしていける思想基盤を構築することを目的にして行われる研究会である。歴史的、地理的、文化的にも多様な領域にまたがる多文化共生に関する問題を、第一線で活躍している複数の研究者の視点から考究・検討することにより、混迷を深める地球社会に対し、新たな視点から提言を行ってゆきたい。1

  第1回目は、「オーストリアにおける多文化共生研究集会・出張報告会」と題し、10月22日、白山キャンパス6号館第3会議室にて行われた。これは、8月に行われた海外研究「オーストリアにおける多文化共生研究集会・国際学会参加」に基づく研究発表、出張報告会であり、スライドを交えつつ、実り豊かな海外研究であったことが報告された(詳細は本号の別記事を参照)。

 第2回目は、菊地章太研究員(東洋大学)、井上忠男客員研究員(学校法人日本赤十字学園常務理事・法人本部事務局長)の二名による発表であり、11月19日、白山キャンパス6号館6404教室にて行われた。

 菊地研究員は、「教会に門松を立ててよいか―イエズス会のアジア布教における衝突・妥協・融合」と題する発表を行った。概要は以下の通り。多様な宗教伝統につちかわれた東アジア社会のなかで、キリスト教の信者がどのように信仰を維持していくかという問題は、イエズス会が布教をはじめた16世紀にすでに芽ばえていた。それは今も日常生活のさまざまな局面で、ときに緊張感をもって問いつづけられている。16世紀キリシタン時代のラテン語文献に記された見解と現代のカトリック教会の公式見解とを比較しつつ、そこにあらわれたヨーロッパの宗教思想と日本の伝統文化との衝突と妥協と融合の軌跡をたどった。2

 井上客員研究員は、「危機に立つ人道~共生社会の普遍的価値と赤十字運動」と題する発表を行った。発表では、グローバルな共生社会の普遍的価値規範として人道主義(Humanitarianism)を措定し、その上で人道の実現を目的に救済活動を展開する国際赤十字運動の理念の本質と普遍性を古今東西の歴史上の諸賢の言説から考察した。さらに曖昧な人道の概念の明確化に貢献した赤十字の行動規範の意義を確認するとともに、近代以降、過度な人間中心主義がもたらした環境破壊など西欧出自とされる人間主義(Humanism)の限界にも着目し、近年のイスラーム文化が台頭するグローバルな多文化共生社会で真に共有可能な人道主義のあり方について考察した。

 それぞれの発表後には質疑がなされ、多文化共生の理念と実態という両側面が明らかとなった充実した研究会となった。3