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方法論研究会(山内志朗 竹下政孝)

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シンポジウム「 中世哲学における非アリストテレス的なもの――ヨーロッパとイスラーム」

 2014年3月8日(土)、東洋大学白山キャンパス8号館第2会議室において、国際哲学研究センター第2ユニット主催の方法論シンポジウムが開催され、慶應義塾大学教授の山内志朗氏による「西洋中世における神学の方法と体系化――ロンバルドゥス『命題集』への註解をめぐって――」と、東京大学名誉教授の竹下政孝氏による「中世イスラームにおける『諸学問の分類』と体系化の思想」の両発表が行なわれた。両氏は、三巻本『イスラーム哲学とキリスト教中世』(2011-12)の共編者でもある。

1 山内氏は、ロンバルドゥス『命題集』第1巻第17編を軸に、それに対する注解をルターまで系譜的に追うことで、中世神学における方法論を探る試みを論じた。山内氏によれば、ロンバルドゥスの『命題集』への注解は、中世神学における基本的作業であり、この『命題集』に立ち入らない限り、中世神学の方法論は明らかにならないとされる。そして、その『命題集』でのカリタス論に対するトマス・アクィナスやボナヴェントゥラ、ドゥンス・スコトゥスやオッカムの議論を挙げ、彼らによってロンバルドゥスのカリタス論はペラギウス主義としてみなされるべきものではないとされたと山内氏は論じた。

2 竹下氏は、中世イスラームにおける学問の分類と体系化の方法に対する流れをたどりつつ、ファーラービー、ガザーリーの学問の分類について論じた。竹下氏によれば、ファーラービーとガザーリーは、理性的諸学と伝承的諸学を統合することを試みた。これらは中世イスラーム世界の三つの異なった知の体系のうち、中世後期に理性的、伝承的、直観的と呼ばれるようになったものの前二つである。理性的諸学は、自然科学と論理学、哲学を含み、特に哲学は、諸学を体系化するメタ学問として中心的な位置を占め、伝承的諸学の中心は、コーラン学、ハディース学、法学などであるが、伝統的に言語学が準備学として重要視された。伝承的学問は、初期には口承によってのみ伝承され、その後著作が書かれ始めても、口承による伝承は常に重視される。そして、ガザーリーの影響を受けた学問分類をなした16世紀のターシュクブリーザーデにおいても、哲学的神学と弁証法的神学の二重構造は解消されていないと竹下氏は論じた。

 山内氏、竹下氏の発表後の質疑応答では、センター研究員のみならず外部からの参加者も多かったため、両氏との専門分野を同じくする研究者からだけではなく、異なる分野の研究者などからの質問もあるなど、本研究会のテーマである「方法論」を鍵概念とした多角的で内容豊かな議論が活発になされた。