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東アジア文化交渉学会年次大会にパネル参加

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東アジア文化交渉学会にパネル参加

 国際哲学研究センター第1ユニットは、2013年5月10日、11日の2日間にわたって香港城市大学で開催された東アジア文化交渉学会第5回年次大会に、パネル参加した。東洋大学から三浦節夫、白井雅人、ライナ・シュルツァが参加し、また北京の中国社会科学院哲学研究所から王青研究員を招聘し、近代初期の東アジアにおける西洋思想の受容の問題を、井上円了の役割を中心に見ていくパネルセッションを開催した。初日画像

 大会初日は、午前9時の開会式の後、二つの基調講演と、一つの特別報告が行われた。これらは東アジアの文化伝播について、言語・芸術・歴史の側面から見ていくものであった。昼食と写真撮影をはさみ、各パネルセッションが開催された。

 シュルツァ写真大会2日目は、午前9時よりパネルセッションが開始された。井上円了のパネルセッションは10時40分から開催され、多くの来場者と質問が寄せられる盛況なパネルとなった。このパネルでは、まずライナ・シュルツァ氏が井上円了の良心論について論じた。シュルツァ氏は「良心」と訳された「conscience」を語の由来から解き明かした。次いで、井上円了が影響を受けたのは、「conscience」を人の行為を導く情感と考えた英語圏の倫理学的伝統であることを明らかにした。さらに、井上円了が進化論を使って、孟子の良心論(惻隠の心)を批判的に議論したが、エゴイズムを主張したホッブズなどに対する反論にもなったとシュルツァ氏が指摘した。
wang qing 次いで王青氏が、近代中国の西洋思想受容における井上円了の影響について論じた。四聖としてカントを祀り、また仏教を哲学として論じた井上円了は、近代中国の思想家たちに様々な影響を与えた。カントを中国に紹介した梁啓超、哲学としての仏教を用いて社会改革を目指した章太炎など、清末・民国期の中国の近代化への努力に、井上円了の思想は影響を与えたのである。
 三浦節夫氏は、井上円了の東アジア巡回講演について紹介し、その旅行がどのようになされたのか、またどのような性質をもつものであったのかを論じた。三浦氏は、6度にわたる東アジア巡講についての詳細な表を提示しながら、どこを回り、誰に向けて語ったのかを紹介した。同時に、今後の東アジア巡講研究の課題などが率直に語られた。三浦
 最後に白井雅人氏が井上円了の進化論受容が、宇宙論としての受容であり、退化と一体をなすものとしての受容であったことを論じた。このような進化論受容には(1)東アジアの伝統が大きな役割を果たしたこと、(2)同時に東アジアの伝統に対する批判的視点の獲得の契機になったこと、の2点が指摘された。

白井 各自の発表の後、フロアとの質疑応答が行われ、議論が深められた。また、パネル終了後も参加者と議論を続けるなど、東アジアの研究者との交流をもった。井上円了研究が深められると共に、東アジアの研究者に井上円了の思想を紹介するよい機会となった。

 なお、この大会のプログラム・予稿集等は、東アジア文化交渉学会のホームページの第5回年次大会のページ(http://www.sciea.org/meeting05)からダウンロードできる。質疑