1. トップページ
  2. International Exchange//国際交流
  3. 海外留学を希望する方へ
  4. トビタテ生(第4期)活動レポート vol.3
MENU CLOSE

トビタテ生(第4期)活動レポート vol.3

  • English
  • 日本語

報告レポート(大野雛子)

東洋大学文学部東洋思想文化学科
 トビタテ4期多様性人材コース 大野 雛子 

『Gawad Kalinga主催のBayani Challengeに参加して』

トビタテ留学計画のタイトル

ソーシャルビジネス×発信を駆使したNewプロジェクト!                                   
~貧困の地にイノベーションを起こす~   

留学期間:2016年5月1日~2017年3月31日 

今回の活動概要

今回の活動概要

活動名:GK Enchanted Farm での活動
日時:マニラ島およびレイテ島
場所:2016年6月1日〜2017年3月1日
主催:Gawad Kalinga
※Gawad Kalingaとは(以下Gk)

2024年までに500万世帯の貧困を削減することを目標とするフィリピン最大のNGO。
住宅建設を主な貧困削減方法としている。
その過程や、その後の価値観形成、コミュニティ単位でのGk活動参画、そしてソーシャルエンタープライズを行うことで、
単純な住宅提供ではない、継続的な貧困解消を施している。

GK Enchanted Farmでの活動

前回紹介しましたBAYANI CHALLENGE 2016参加を通してGKに関する理解を深めた後、現在はGK Enchanted Farmに
滞在してソーシャルビジネスについて学んでいます。

GK Enchanted Farmとは

GK Enchanted Farmは、Gawad Kalinga(以下GK)によるソーシャル・エンタープライズのプラットフォームです。
貧困削減を目的としたスタートアップビジネスをはじめ、オーガニックファーム、貧困層に向けたソーシャル・エンタープライズを学ぶための学校も存在しています。
GKが提携しているフランスのビジネススクールからの若者を中心とし、カナダ、コロンビア等世界中から人々が集まり、
活動しています。
そのため、”ソーシャル・エンタープライズのシリコンバレー”とも呼ばれています。

なぜソーシャル・エンタープライズなのか

前回の記事で述べたように<https://www.toyo.ac.jp/site/ies/104570.html>、私の活動するGKは住宅建設を通して
貧困削減をおこなっています。GKは現在、住宅建設を継続するとともに、住宅に継いで人間の基礎的な生活に必要となる
「労働」という第二フェーズに働きかける活動をしています。

GKはフィリピン全土に2000コミュニティ(GKによる集合住宅)を作り上げました。GK Enchanted Farmも、以前はそのコミュニティのひとつであり、人が住む集合住宅でした。しかし、都市圏から約3時間に位置するこのコミュニティの人々は、子供がいる母親たちは働けず、男性はトライシクル(バイクの横に人が乗れる箱がついているもので、移動手段として利用する)のドライバーなどの働き口に限られていて、雇用機会は少ないものでした。貧困層が労働において不利な立場に立たされる、または安定した雇用につけないことはフィリピン全土で大きな問題となっています。そこでGKはこのGK Enchanted Farmを中心として「ソーシャル・エンタープライズ」というかたちで雇用機会の創出をおこなっています。

私自身がソーシャル・エンタープライズを選んだ理由は、この方法こそが最も持続可能な貧困削減方法だと思ったからです。寄付はサンタクロースのように一時的であり、彼らに無償で与え続けることは彼らのためにならないケースが多いと感じ、ボランティアは活動する側が継続的ではないことが多く、参加者に一時的な人が多いと感じたからです。

フィリピン発のおもちゃを通してお母さん達の雇用を創出 

大野.1私はそのファーム内にあるPlush and playというおもちゃのソーシャル・エンタープライズにて活動しています。
ファームにインターンとしてやってきたフランス人がGKコミュニティの母親たちの裁縫スキルをみて、裁縫ならば家の中で子供と過ごしながら行うことのできる仕事だと考え、立ち上げました。

フィリピンの大手チェーンおもちゃショップに並ぶおもちゃは、以前は100%輸入商品でした。そこにこのPlush and playのおもちゃが初めてのフィリピン発おもちゃとして今は並んでいます。途上国だから、貧困だからできないとは言わせない、フィリピンから世界に通用するキャラクターをここから発信していくことを目標としています。大野.2

 

 

私はこのチームでフィリピン人1人、ボスを含めたフランス人3人、
そしてここで働く40人以上の母親たちのもと、ソーシャル・エンタープライズを学んでいます。

 

フィリピンの土地を大切にする生活環境

GK Farmではこれまでになく、自然に囲まれた生活を送っています。朝は猫に起こされることや、小鳥の声で目覚めます。
夜は満天の星空の下で仲間とギターを弾いて歌をうたい、語り合ってから眠りにつくこともあります。
時に、畑からトマトとバジルを摘み、パスタを皆で作って食べたりします。このような生活を送っているのも、
フィリピンの長所である自然や広大な土地を大事にし、貧困脱出の一歩でもある自給自足を学ぶプロセスのひとつです。

好きなことで生きていける仕事環境

“自由”という言葉が一番合うでしょうか、今までに体験したことのない生活を送っています。仕事は週6日、日曜日が休みということになっていますが、黙っていれば週7日働くことになります。とはいえ、休みたい時に休むということがこのファームでは定着しているように感じます。各自の仕事の様子を見て、チームのメンバーに許可を取れば休みは基本的にいつでも取ることができます。

しかし、自分の時間と仕事の時間のバランスが上手に取れているので、私自身はそこまで休みは必要がありません。不思議と、自分の好きなこと、やりたいことが仕事としてやれているので、仕事のことをずっと考えていても飽きません。もちろん辛いことも多くありますが、それを含めて大切に思えています。

仕事内容は基本的に、おもちゃのオーダーのサンプル作りやデザインをしています。しかし、私の「ソーシャル・エンタープライズがやりたい」という思いを上司が汲み取ってくださるお陰で、ビジネスに関わる部分についても少しずつ触れて学ぶ機会をいただいています。

レイテ島でTシャツのソーシャル・エンタープライズ

おもちゃのソーシャル・エンタープライズのインターンと両立して、レイテ島のGKコミュニティの若者とともにTシャツを
つくるソーシャル・エンタープライズに挑戦しています。なぜTシャツなのかというと、私がレイテ島のGKコミュニティに訪れた際、彼らは私の白いTシャツを「タイダイ」という方法で染めてくれました。
彼らのこのセンスをソーシャル・エンタープライズとして活かせないかと考え、彼らと共にはじめることを決意しました。
これをGKではGenius of poorと呼んでいます。私たちができることを教えるのではなく、彼らだからできること、
彼らの才能を活かして彼らなりのビジネスを作っていきたいと思っています。学んだことのアウトプット先であることはもちろん、仕事を見つけることが難しい、田舎であるレイテ島の若者の雇用創出そして自己表現の場にしたいと思っています。

現在の状況

現在は白いTシャツを仕入れ、レイテ島でTシャツを染め、それをマニラやGK Enchanted Farmで販売しています。
Tシャツを染めるメンバーは20歳から25歳の5人の若者、2人の女の子がトレーニング中で、他のGKコミュニティから3人の
採用候補がいます。販路の拡大や輸送方法などまだまだ課題は多いですが、レイテ島のGKスタッフをはじめ、
ファーム内でパートナーとして動いてくれるメンバーなど、このプロジェクトに対して総勢20名ほどの協力があって少しずつ
成長できています。

大切にしていること

このTシャツのプロジェクトは”ただのビジネス”ではありません。利益を出すことは勿論ですが、それ以上にこのプロジェクトを通して「貧困を失くすこと」が優先事項です。
その上で私は「皆と一緒に進むこと」を大切にしています。

大野.4彼らの中には学校に行けなかったり、タバコとお酒で1日が終わっていったりしているメンバーもいました。
多くは、私と同じ20歳前後です。彼らは冗談ぽく私を”ボス”や”マダム”と呼ぶ
時もありますが、私は絶対にそう呼ばせたくありません。
あくまで一緒に同じ目線でやっていきたいのが私のやり方です。
お給料を渡す上では、ただ渡すだけでは結局タバコやお酒に消えていく可能性が高くあります。
日本でもタバコを吸ったり、お酒を飲んだりする若者はたくさんいますが、限度があると感じています。
なのでレイテの仲間たちも、今後のために資金を貯め、そして自分でバランスを取れるようになることを自覚して実現することで貧困から脱出することができると思います。
お給料を渡す前にQuality of Lifeの話をしてみたり、GKファウンダーである
Tito Tonyの話をしてみたり、日本の歴史を学ぶ本を貸してみるなど色んな角度から少しずつアプローチをかけてみています。

自分のことを包み隠さず共有していくことも大事にしています。
自分のことを話すことで彼らのことも知ることができます。今は彼らひとりひとりのことを貧困とかGKとか関係なく、
大好きです。
仕事としての関わり方については沢山考えて神経がはち切れそうになりながら話をしていますが、とにかく仲間として本当に
気を使わなくて、一緒にいて楽しいと感じています。

今後の目標

決意として固めたことは、一緒にはじめたメンバーが月25000ペソ(GKが定めている家庭を支えるために十分な費用)
稼ぐまでは彼らと一緒にこの活動を続けていくということです。まだまだ小さいTシャツビジネスですが、
暗くて汚いイメージのある「貧困」という場から、”明るいTシャツ作り”を届けることで彼らの心や人生がカラフルに
彩られたらと思います。
いずれはGKが大切にしている「自然と生きる」のために自然染めを行っていきたいと考えています。

大野.3