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IIR 1 「創刊の辞」

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『国際井上円了研究』創刊の辞

 

竹村牧男

東洋大学学長

 

 東洋大学は、明治20年(1887年)、哲学者・井上円了博士が創設した「私立哲学館」に由来する大学です。平成24年(2012年)、創立125周年を迎え、数々の記念事業を実行しましたが、その一つに、「国際井上円了学会」の設立がありました。これは、明治期を代表する哲学者・仏教学者・教育者であった井上円了博士の広範な著作と行跡等を再点検して、その現代的な意義を正しく捉え、国の内外に発信するとともに、将来の世代に向けて伝承していくことを目的としたものです。

 今日、井上円了博士の業績等については、国内においても、まして海外においても、けっして広く知られているわけではありませんが、中には熱烈に尊敬する方もおり、実は海外においても一部では妖怪学等を通じて深く研究されたりしています。そこで、創立125周年記念の年という機会を捉えて、国内外の同学の士が集い、相互の交流の中で研究活動を推進するために、国際学会を立ち上げることとしたのでした。

 この母体となったのは、平成23年度に東洋大学に設置された、「国際哲学研究センター」です。同センターは、文部科学省の戦略的研究基盤形成支援事業に採択されたもので、その第一ユニットは、井上円了博士の思想研究ならびに日本近代哲学史の研究を行っています。この研究ユニットが中心となって、平成24年6月にはフランスのアルザス欧州日本学研究所においてストラスブール大学日本学学科の後援の下に井上円了に関する研究集会を持ち、その成果をふまえ、9月15日、東洋大学白山校舎において国際井上円了学会の設立大会を開催したのでした。当日の設立総会において規約、役員等が決定され、また学術大会においてはドイツ、アメリカ、中国の大学ないし研究機関からの参加者を迎えて「国際人 井上円了」をテーマとしたシンポジウムが開催されました。

 こうして、無事、「国際井上円了学会」を発足させることができ、会員には個人、団体合わせて150名程度を得ています。海外からの会員は、約3分の一ほどを占めています。学会が成立しましたので、その機関誌も発行することにしました。これが『国際井上円了研究』であり、創刊号となる本号は、フランス研究集会と設立大会の記録を中心としています。

 今後、学会への参加を広く促すとともに、会員の発表を主体とした学術大会を開催し、機関誌も投稿を受け入れるなどして、本学会の活動をますます充実させて参る所存です。この活動を通じて、井上円了博士の比類ないほどの高遠な業績を内外に広く伝達してまいりたいと思いますので、今後とも、何かとご指導・御支援賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 

2013年02月15日