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講師派遣 概要

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学長あいさつ

明治20(1887)年、明治期の哲学者井上円了は、本学の前身である「私立哲学館」を創立しました。当時29歳の井上円了は、「文明の発達は高等な知力によるのであり、その知力の発達を促すものは教育である。高等な知力を得るためには、それに相応しい学問に拠らなければならない」とし、その学問とは「諸学の基礎である哲学」であるべきという確信を持っていました。

明治の世は、日本が世界と出会った時代です。井上円了は、智慧を愛する哲学(philosophy)は、個々人の思考力を訓練するのに必要な学問であるとも考え、一般の民衆が「ものの見方や考え方」の基礎を身につけることにより、日本の近代化を促し、高尚な国づくりを推し進めようとしたのでした。

しかし、大きな志をもって哲学館設立に乗り出した井上円了に、開設直後から数々の災難が押し寄せました。暴風雨による新築校舎の倒壊、類焼による校舎の全焼など哲学館存亡の危機に見舞われたのです。そこで、困窮した井上円了は、創立当初からの相談者であり支援者であった勝海舟の助言などを受け、日本全国を巡回して講演をしながら哲学館の教育の趣旨を説明し、民衆の支援を仰ぐことにしたのでした。

明治23(1890)年11月2日、初めての全国巡講に出発した井上円了は、その後各地で精力的に講演活動を重ねました。特に48歳から享年61歳までの14年間には、全国60市2,198町村2,831か所で5,291回、のべ1,306,895人の聴衆に向かって講演をしました。

全国を巡回して行う講演活動は、哲学館の趣旨説明に止まらず、そのまま哲学の民衆への普及活動ともなり、中央と地方に大きな格差のあった当時の社会に、新しい風を吹き込みました。この講演活動は、見方を変えると、いまだ教育の行き渡っていなかった明治中期における、現在の社会教育の実践、生涯学習の開拓・普及の意味を持つものであり、井上円了はこの分野でのパイオニアであったと言えます。

東洋大学では平成11年、創立者の大いなる社会教育への志を継承し、また、創立期に全国各地からいただいたご支援に対する感謝の心を込め、全国の人々の「生涯学習」支援を目的として講師派遣事業を始めました。この事業は、今年で18年目を迎えます。これまで順調に継続してこられたのも、多くの方々のご理解の賜物と深く感謝申し上げます。

加えて、昨年度より「企業研修」支援を目的とした講師派遣事業を新たにスタートいたしました。グローバル教育の深化の一環として、本学が有する専門知識を企業活動に役立てていただくことで、より一層社会に開かれた大学となることを目指します。

歴史から学び、それを教訓として未来へ歩みを進める現在が、また新しい歴史を作りだします。今や東洋大学は、11学部、大学院12研究科に法科大学院を擁するに到り、加えてさまざまな大型研究プロジェクトを推進する総合大学へと発展してきています。これらの教育と研究により培った叡智と技能をもって、これからも創立者の志を受け止め、社会教育・生涯学習に貢献していく責務があると考えております。

引き続き本学の講師派遣事業にご理解とご支援とを賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。