1. トップページ
  2. Academics//教育
  3. 法科大学院
  4. 連載企画「この先生に注目!」:小川佳子先生
MENU CLOSE

連載企画「この先生に注目!」:小川佳子先生

  • English
  • 日本語

写真:小川佳子先生

この連載企画は、専任教員以外の先生方が控室として利用される講師控室に伺い、インタビューをするという企画です。日ごろ先生方が感じていらっしゃることなどをお聞きし、ロースクールで教鞭をとられる先生方の魅力の一端をお伝えできればと思います。
第六回目は、客員教授の小川 佳子(おがわ よしこ)先生にご登場いただきます。先生はロースクールで「交通事故紛争処理法」・「民事実務演習1」を担当されています。

Q:先生の日ごろの研究・実務の内容について、社会との関わりという面も含めお教えいただけますか?

A:横浜スタジアムの歓声が聞こえてくる事務所で弁護士業務を行っています。
私は、渉外、会社法務、労働や海事等、特化した業務のみを行う弁護士ではなく、一般民事事件(不動産や金銭に関する事件及び家事事件)を中心に、破産管財や刑事事件も扱う、いわゆるマチ弁です。担当の「交通事故紛争処理法」は、まさに一般民事の代表的な実務に関する講座ですね。さらに、「民事実務演習1」も、一般的な弁護士が実際に実務処理するといった視点から説明するように心がけています。
また、高齢者・障害者の権利に関する委員会の活動に長く関与しておりますので、高齢者福祉関係の仕事や心神喪失者医療観察法の付添人業務なども行っています。
さらに、弁護士会の会務活動として人権擁護委員会の委員をしています。弁護士会には警察や検察のような強制捜査権がありませんので、あくまで関係者の協力に基づく任意の調査によるのですが、自分の事件よりよほど手間がかかりますね。いわゆるプロボノ活動ですから当然無償ですが、「弁護士法1条」の使命だと思って勤しんでいます。

Q:今、先生が注目している法律とその理由をお教えください。

A:まず、新しい公益法人の認定に関する法律をあげたいと思います。この法律は、公益法人の制度を抜本的に見直すもので、この法律の適正な運用により、かつてのいわゆる丸投げ・丸抱え法人の解消が期待されます。私自身自治体の公益性認定に関する審議会の委員に就任していることもあり、新しい法人のあり方について考える日々です。
次に、ホットな話題としては改正貸金業法ですね。6月18日からいよいよ最後の施行段階となり、いわゆるみなし弁済規程が廃止されます。総量規制が実施される等により、はっきりとした影響が現れるでしょう。

Q:東洋大学法科大学院の魅力や、院生の雰囲気について教えてください。

A:少人数であるため院生それぞれについての把握ができるところがいいですね。皆さん学習にはおしなべて熱心だと感じます。院生同士も親しくなるようで、1期生の弁護士は、卒業後も頻繁に交流していらっしゃいますね。

写真:小川佳子先生

Q:授業とは別に、法科大学院の学生にもっとも伝えたいことをお教えください。

A:そうですね。このような法律家になりたい、というイメージを強烈に持つことが大切ですね。冤罪事件の弁護を担当したい、知的財産権に関するビジネスを手がけたい、こどもの権利を守りたい、憲法問題に関心がある、消費者問題に取り組んでみたい、不当労働行為と闘いたい、…自分は何に関心があるのかを確認するとよいと思います。

Q:東洋大学法科大学院に、どんなロースクールになってほしいか、先生の期待をお聞かせください。

A:よき法律家を生み出すロースクールであってほしいと思っています。抽象的すぎますか?「よき法律家」とは何かと問われれば…そうですね、「まともなやりかたで市民の権利を守る法律家」だと私は考えています、とお答えしましょうか。

Q:法科大学院生や、今後の入学希望者に読んでほしい図書とその理由をお聞かせください。

A:「権利のための闘争」(イェーリング)。岩波文庫で出ています(村上淳一訳)。イェーリング(1818年生)はドイツの法学者で、本書は彼の講演を記録し刊行されたものです。法律家を志す者はこの本を読むべきである、と私が考える理由を端的に言えば「権利のための闘争は、権利者の自分自身に対する義務である。」との一文ゆえ、です。140年も昔に出されたものなのに、その内容は未だ刺激的です。
「宣告」(加賀乙彦)新潮文庫。東京拘置所の医官として勤務していた著者による小説。著者は精神科医でもあります。小説ではありますが完全な創作ではなく、かなりの部分が著者の経験及び事実に基づいています。死刑囚の様子、それに犯罪、裁判、刑罰に対する著者の眼差しが強い印象を与えます。加えて、拘置所内部の描写はまるで見学をしているようで、実務上もおおいに参考になります。

Q:最後に、効果的な学習方法などありましたらお聞かせください。

A:情報を整理し論点を抽出し、結論を導いて制限時間内に答案として作り上げる、という能力は、試験に合格すれば不要になるといったものではありません。むしろ、実務についてからはエンドレスに要求されるものです。答案の作成は、実務に直結していると考えて行って下さい。
(インタビュー日 2010年6月25日)


「この先生に注目!」MENU

山口 三惠子先生小川 佳子先生片山 典之先生砂押 以久子先生加賀見 一彰先生