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修了生、在校生が語る大学院の魅力(鈴木 伸幸さん)

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インド哲学仏教学専攻 博士後期2年 鈴木伸幸 さん

経験が積み重なると研究は面白くなる

鈴木 伸幸


Q.大学院に、進学しようと思った動機・経緯は?

 生まれが寺ということもあり学部では仏教やインドの勉強をして、研究に対する憧れからいつかは大学院に進みたいとは思っていました。しかし実際に志が固まったのは卒業旅行で訪れたインドでの出来事からだと思います。ナーランダー僧院の遺跡を訪れた時に、かつてこの地で学んだインドの学僧たちに思いを馳せると、今まで漠然と勉強していた仏教の思想がリアリティを持って迫ってきたように感じられたのです。不思議なものですが、それからインド仏教の思想をしっかりと研究したいと思うようになり大学院に進学することにしました。 

 

Q.なぜこの大学院を選んだのか。

  まず、東洋大学はインド学と仏教学をバランスよく勉強できる大学です。インド仏教を勉強するためにはその背景となっているインドの思想についての理解は欠かせないと思います。その点、インド哲学仏教学専攻の教授陣は仏教とインドに精通した先生ばかりですのでとても魅力的に思いました。また東洋大学ではインド以外でも、東南アジアやチベット、ネパール、中国、日本の仏教の研究も可能で、この幅広さは本学ならではのものだと思います。さらに、特定の宗教や宗派とは関係がない環境で勉強ができるのも良いところです。このような理由で東洋大学で勉強したいと思いました。

 

Q.大学院の魅力を教えてください。

 東洋大学のインド哲学仏教学専攻は指導体制が非常に充実しています。どの先生も細かく指導してくださるのでとてもありがたいです。また、研究室の雰囲気はとても和やかで、授業の予習や論文の書き方などで困った時はTA(Teaching Assistant)や仲間たちがいつでも相談に乗ってくれます。

 

Q.大学・大学院で学んでみて気づいたこと・発見したことは?

 二つあります。一つは原典を読むことの大切さです。原典をしっかり読み込んでいくと、今までの学説や常識も批判的に捉えられるようになるものです。二つ目は仏教学は国際的な学問であることです。国や人種や宗教に関係なく、仏教文献という共通の資料をもとに世界中の学者が対等な立場で研究をしています。私自身、仏教の研究を通して多くの海外の研究仲間ができました。この国際性は他ではなかなか見られない本専攻の特徴です。

 

Q.大学院生活の中で辛かったことは?

実際にインドや仏教のことを研究しようとすると語学の勉強が大変です。大学院の授業のほとんどはサンスクリット語などの文献講読ですので予習にとても時間がかかります。さらに、個別の研究になると、サンスクリット語や古典チベット語、漢文、パーリ語といった古代語に加え、英語やドイツ語、フランス語で書かれた資料を読むこともあります。さらに最近では中国の仏教学が盛んになりつつあるので、これからは現代中国語の論文を読む機会が増えそうです。

 

Q.論文の研究テーマ・授業の内容を教えてください。鈴木さん

7世紀から8世紀にナーランダーで活躍したシャーンティデーヴァの『学処集成』(シクシャーサムッチャヤ)を研究しています。シャーンティデーヴァの著作としては『入菩提行論』がよく知られ、現代でも特にチベット仏教で重視される文献です。しかし『学処集成』の研究はこれまで十分になされておらず、その思想内容はよく知られていません。サンスクリット語の資料を翻訳しチベット語訳と漢訳を対照させながら『学処集成』の思想的特色について考察しています。

 

Q.おすすめの授業などありましたら教えてください。

1)大乗仏教研究Ⅰ 渡辺章悟 先生

数多くの論文やサンスクリットのテキストを読みながら『般若経』やインド仏教の研究の最前線を知ることができます。

 

2)大乗仏教研究Ⅲ 田中公明 先生

春学期はインド密教の概説、秋学期は密教文献の講読を行います。密教研究の第一人者の貴重なお話を聞くことができます。

 

3)インド哲学仏教学特殊演習 伊藤真 先生

専攻内で唯一の英語開講の授業です。英語で書かれた仏教文献の講読や、その内容についてのディスカッションをします。

 

Q.大学院での学びを通して、今後目指したい姿や将来進みたい道などありましたら、教えてください。

私の場合、将来はお寺に入らなければならない運命なのですが、研究は長く続けたいです。いずれは大学で学んだ仏教やインドについての専門的な見識を、必要としている方々にお伝えできるようになれれば嬉しいですね。

 

Q.授業料などの捻出方法や、生活費のやりくり方法など工夫した点などがあれば教えてください。

私が大学院で研究ができるのは、ひとへに両親の理解と援助のおかげです。アルバイトとしては大学院教務課でタイ人留学生に対する日本語指導を行っています。また、大法輪育英会奨学生に採用していただき、学資の援助をいただいております。収入は決して多いとは言えませんが、学生の本分とは何かを考えて浪費をしなければ十分にやっていけます。

 

Q.現在の1週間、または1日の スケジュールは?

6時

起床

10時

登校

10時40分

~12時10分

授業

14時45分

~16時15分

留学生に対する日本語指導
17時帰宅
24時就寝

 

Q.大学院で学びを考えている受験生にメッセージを一言。

 学部までの授業は講義が主で受け身の勉強が多いと思いますが、大学院では自主的に一次資料を読んで論文にまとめることが求められます。一つのテキストに向き合ってそれが読み解けた時の気分は爽快で、その経験が積み重なると研究は面白くなってきます。研究には大変な事が多いと感じるかもしれませんが、人文系の学問は知的な感性を頼りに古のロマンを楽しめるところが魅力だろうと思います。それはインド学仏教学でも同じです。しかしそのためには語学の素養が必要です。ですので、もしこの専攻に進学したいのであれば、まずは研究で必要とされる言語が何かを確かめて、それらをしっかり勉強することをおすすめします。

 


プロフィール

鈴木伸幸 さん

東洋大学文学部インド哲学科を卒業後、高野山にて四度加行を成満。現在、東洋大学大学院文学研究科インド哲学仏教学専攻博士後期課程に在籍。研究テーマはインド大乗仏教の修道論の研究。2016年10月に修士論文「Śikṣāsamuccayaにおける制戒(saṃvara)の授受について」で第2回中村元東洋思想文化賞「優秀賞」を受賞。

 


(掲載されている内容は2017年5月現在のものです)