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教員が語る大学院の魅力(英文学専攻 石和田昌利教授)

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何かを研究したい者にとっては気持ちのいい温泉のような世界

石和田先生


 

Q.教員としてご自身の専門分野を踏まえ、「研究者として研究」することの意味とは?

興味のあることを探究する生き方

研究者として何かの発見を目指しているという意識はなく、常に興味のあることを探究する生き方をしているのに過ぎません。この仕事は趣味と実益を兼ねた仕事です。趣味と実益を兼ねた仕事を目指している方にとっては、研究者の仕事は夢の職業です。極端な言い方をすれば、好きなことをして生活していくことができます。研究成果の公表方法としては、著書や論文の執筆や口頭での研究発表ですが、授業においても教育者として研究成果を受講者に教養として提供していると思います。研究者として研究していくことは最終的には自分自身との戦いであり、昨日の自分を凌駕できるかどうかです。何かを研究できる環境を成立させることだけでも難しいことであり、何かを研究できる環境にいること自体が幸福なことです。

Q.教員としてご自身が、研究者になった経緯をご紹介ください。

大学時代の恩師との出会い

大学のゼミの先生との出会いが研究者になったきっかけです。大学を卒業したら、中学校か高等学校の英語の教諭になるつもりでした。大学時代、自分の好きなことだけを勉強できることだけでも毎日がとても楽しかったのですが、ゼミの先生がいい人で先生の自宅にまで押し掛けていました。やがて、ゼミの先生が研究している作家のD. H. ロレンスに自然に興味を持ち、卒業論文の題目に選びました。卒業論文を書き始めると、このような生活を一生続けられたらどんなに楽しいだろうだろうと思い始めました。これが研究者への道を歩み始めたきっかけです。それで、大学院へ行こうと思い、大学院へ進学しました。ゼミの先生の授業は学部の授業でも毎回楽しかったのですが、大学院の授業はそれ以上に毎回楽しいものでした。この頃から研究者になることを心に決めたのだと思います。大学院生活は私には言葉で表せないほど楽しく、一生抜け出せなくなるのではないかとも思いましたが、博士後期課程在学中に就職が決まり、博士後期課程を中退するという形で学歴を終えました。大学院生活は私にとってはあまりにも短いものでしたが、そのままこの世界に住み着いてしまいました。

Q.教員としてご自身のご専門分野について、現在までにどんなテーマを研究されているのかご紹介ください。

イギリス文学の研究

研究してきたものは一貫してイギリス文学、特に、イギリス小説です。上述のように、卒業論文でイギリスの作家D. H. ロレンスの作品を選んだことから、大学院でもD. H. ロレンスを研究し、D. H. ロレンスの研究者として出発しました。現在はD. H. ロレンスの研究をやめ、E. M. フォースターの研究を中心に19世紀のイギリスの女性作家、例えば、ジェイン・オースティン、ブロンテ姉妹、E. C. ギャスケル等の小説を研究しています。これらの作家の小説はすべて愛と結婚の物語です。研究方法としてはジェラール・ジュネット、ツヴェタン・トドロフ、ウルフ・シュミットに代表されるナラトロジーという研究方法を用いています。文学作品の構造、特に、作品の語りや語り手等の語りの技法に興味を持っています。E. M. フォースターの研究においてはE. M. フォースターの全作品に共通するテーマである「人間に影響を与える土地の霊」や「対立する価値観の衝突」を弁えながらも、ナラトロジーから作品を読み直しています。また、原作と映像という問題も研究の視野に入れています

Q.研究者として、つらかったことや、嬉しかったこと?

最初に研究していた作家の研究をやめた時

東洋大学の専任講師に昇格した後、最初に研究していたD. H. ロレンスが自分の研究対象として向いていないことに気付きました。当時、研究に完全に行き詰まってしまいました。研究者として生涯同一の研究対象を貫いている研究者もいらっしゃいますが、あの時に最初に研究していた作家の研究をやめて良かったと今では思っています。思い切ってやってみることの重要性を体感する出来事になりました。乗り越えてしまった後では何でもないことかもしれませんが、この問題に直面していた時には大きな問題でした。研究者としてつらかったことというほどのことではありませんが、このことが研究者としての転機になっていると思います。

Q.大学院で学ぶことの魅力とは?

何かを研究したい者にとっては気持ちのいい温泉のような世界

大学院ばかりではなく、何かを修得する「学びの場」は人により意見が分かれると思います。あくまでも私見に過ぎませんが、私見としての大学院の魅力を述べさせていただきます。学部ではなく大学院だからこそ味わえることは、教員との少人数での授業です。毎回が担当者であり、すべてが演習や実習であるという魅力です。大勢の観客の一人として出来事を観ているのではなく、自分が舞台の上の主役であり、実際に演技をしているパフォーマーであるということです。観ているだけでは味わえないことを大学院の在学中には毎回体験できます。また、関心のあることを徹底的に深く探求できることも魅力であると思います。学部ではできない深い研究が大学院ではできます。しかし、大学院は、居心地が良くて、いつの間にか長く居続けてしまう場所でもあります。大学院生活が楽しい方にとっては、外に出たくなくなる気持ちのいい温泉のような世界です。

Q.大学院で学びを考えている受験生にメッセージを一言。

思い切って飛び込んでみよう!

大学院への進学を考えている学生にこれまでも進路の相談をされ、大学院を受験できる学力がついたら大学院へ進学しますという言葉を何度も返されました。ところが、私は学部学生の時に違うことを言われ続けてきました。学部で勉強したりないことがあったら大学院へ行きなさいという言葉です。もっと勉強したければ、大学院へ行きなさい。こう言っていいと思います。大学院へ進学する場合、目的がはっきりしていないと意味がないという問題や、大学院へ進学した場合、卒業(大学院は修了)後、どうなるのかという不安が、まったくないと言えば嘘になりますが、もっと深く勉強したければ、大学院へ進学してください。


プロフィール

氏名: 石和田 昌利(いしわだ まさとし)

経歴: 現在、東洋大学大学院文学研究科英文学専攻 教授

    1981年3月 明治大学文学部卒業、

    1987年3月 東洋大学院文学研究科英文学専攻博士後期課程中退。

    1987年4月より、東洋大学文学部。

専門: イギリス文学

著書: 共著『ロレンス文学鑑賞事典』(2002年)など


(掲載されている内容は2016年5月現在のものです)