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基調講演者からのメッセージ(創立記念シンポジウム)

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シンポジウム

循環型社会の構築をめざした公共政策の課題

東洋大学現代社会総合研究所 所長
経済学部教授 山谷 修作

 環境・資源制約が強まる状況下で、循環型社会構築への期待が高まっている。循環型社会においては、これまでの大量生産-大量消費-大量廃棄の動脈フローに廃棄以降の静脈のフローを組み入れて資源循環の輪を形成すると同時に、生産や消費など各段階におけるリデュースの取り組みの促進が図られる。このような社会を構築するための環境政策は、その目的を達成する手法に着目して、規制的手法、経済的手法、奨励的手法に区分できる。最近、従来からの規制的手法の限界が指摘され、経済的手法や奨励的手法への関心が高まってきた。環境政策の実効性を高めるためには、複数の手法を組み合わせた政策パッケージにより、経済主体の選択幅を拡大することが有効である。そこで、今回の講演では、法令に依拠して一定の基準を遵守させる規制的手法をベースとしつつも、基本的に価格メカニズムを活用する経済的手法や、市民・企業の受容性が高く、行政とのコラボレーションによる制度設計が可能な奨励的手法を取り入れた、実効性の高い総合的な環境政策について提言する。これまでの調査結果をふまえ、経済的手法に関しては、ごみ処理有料化・デポジットシステム・地方環境税など、また奨励的手法に関しては、自治体による市民や企業のリサイクル奨励施策のうち代表的な事例を取り上げ、その効果や課題を整理し、望ましい環境政策のあり方を考える。

コーディネーターからのメッセージ

東洋大学経済学部助教授 白石真澄

 シンポジウムのコーディネーターを務めさせていただきます。各メンバーのご協力をいただいて、「朝までナマテレビ」のような白熱した議論ができればと思います。

パネリストからのメッセージ

循環型社会をめざした自治体の取り組み

(社)全国都市清掃会議専務理事 篠木 昭夫

 循環基本法体系構築の前後で、特に市区町村の取り組みは大きく変わってきている。旧体系下では、廃棄物行政の根拠法は、「廃掃法」のみであったため資源循環への取り組みは極めて困難であった。その間の状況は、山谷編『環型社会の公共政策』所載の拙稿で論じたが、その内容をベースに最近までの取り組み状況と自治体からみた課題についてふれる。

循環型社会の構築における技術的課題

東洋大学学術研究推進センター長
国際地域学部教授  松尾 友矩

 リサイクルをする場合、リサイクルに必要なエネルギーとの関係を正しく評価することが必要となる。また、品質の点で、再生資源は新生素材より劣ることが多く、すべての用途においてリサイクルできるとは限らない。こうしたリサイクルの技術的限界をふまえた上で、製造過程における循環型社会への取り組みとしてゼロエミッションの実践や逆工場の発想などを取り上げる。

循環型社会の形成と環境経営の理念

東洋大学経営学部教授 松行 康夫

 企業経営活動と自然環境の循環プロセス構造を形成し、生態系と経済系をうまく接合できれば、企業は、その環境負荷を大幅に低減できる。今日、地球環境問題が深刻化するなかで、エコノミーとエコロジーの統合によるシナジー効果を創り出す環境経営(Eco-Management Initiative)の実現が求められている。そのことによって、はじめて新しい循環型社会における企業の成長や発展がもたらされる。今回のシンポジウムでは、循環型社会を形成する、新しい環境経営の理念を中心に話題提供したい。

循環型社会形成へ向けた制度の整備と課題

東洋大学法学部助教授 山下 りえ子

 ワンウェイ(大量生産・消費・廃棄)から、リデュース・リユース・リサイクルを推進する循環型社会へ。わが国では、2000年に制定された「循環型社会基本法」を基本枠組みに、各種のリサイクル法と廃棄物処理法が位置づけられるに至った。この循環型社会法制の現状を概観した上で、その基本理念、とくにリサイクル費用の負担のあり方(排出者責任および拡大生産者責任)等と、これを実現するための手法について検討する。シンポジウムでは法規制の側面から問題提起を行い、自治体・事業者の取り組み、経済的手法に示唆を得て、今後の展望を探りたい。

循環型社会形成への社会的階梯-市民・行政・企業・大学の連携と専門家集団の役割-

東洋大学社会学部教授 青木 辰司

 わが国における循環型社会形成の先駆的地域の山形県長井市。その有名な「台所と農業をつなぐながい計画―レインボープラン」創造の背景には、市民参加型の専門的機関の設置があった。循環型社会の創造の実践的課題は、生活の場における物質循環・経済循環・社会循環の体系化・具現化にある。その場合の社会学的課題は、新たな社会関係の構築のための社会的なシステムの創造に求められよう。その意味で、英国において1980年代に開始されたグラウンドワークは示唆に富んでいる。その内容を紹介しながら、地域生活の場における実践的課題を提示したい。