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教員が語る大学院の魅力(公民連携 川崎一泰教授)

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 つらかったけど、一番吸収できた院生時代

川崎健太郎


Q.教員としてご自身が、研究者になった経緯をご紹介ください。

社会人大学院から博士課程、研究者へ

 私が大学院に入学するきっかけとなったのは、学部を卒業後に入った研究所での業務であった。周りの研究員はほぼすべてが修士課程以上の人たちが仕事をして、学部卒の研究スタッフとして、明らかな専門分野の知識不足とスキル不足を痛感し、社会人大学院に進学することにした。特に、仕事をしていく上で不足していたスキルとして、統計分析力と専門分野の応用力にあったので、大学院ではこの部分を強化したいと考え、進学した。私の場合は集中的にスキルアップをしたかったこともあり、会社を休職して、大学院に通った。仕事の代わりにすべての時間を勉強に費やすことができた。このころに必死になって勉強したスキルは研究者となった今でも研究の礎となっている。仕事をする上で、問題意識は高かったが、スキルが十分についていけなかったこともあり、大学院ではこの部分の強化に特化した研究をしてきた。ある程度、分析力と応用力がついてくると、それを深めることが面白くなり、会社を辞め、博士課程に進学し、研究者として自立できるようトレーニングを積んできた。私が研究者になったのはこんなところからだ。

Q.教員としてご自身のご専門分野について、現在までにどんなテーマを研究されているのかご紹介ください。

 私は熊本で暮らしていた頃から、地域経済は不思議だなあと感じていた。お客さんが入っていない店でも閉鎖されないのはなぜだろうか?どうして優秀な学生はみんな公務員を目指すのだろうか?なぜ、みんな東京にいろんな機能が集中するのだろうか?こういった「都市と地域の経済」について興味があり、こうしたことを研究している。都市と地域のことを考えるには地域経済学はもちろんだが、政府と民間の経済活動についてひも解く必要が出てくる。こうした背景から地域経済学、公共経済学、財政学、地方財政論などが専門分野になってくる。日本の地域経済はもちろんだが、海外の都市なども研究をしており、現地調査やインタビュー調査などを何度か実施してきた。日本とは全く違う背景はあるのだが、経済活力を作るための政策、目標に向かうインセンティブの設定法など、様々な政策措置がなされている。こうしたことを見聞きしながら、日本の地方の問題の本質はないか、何を変えれば地域経済は復活するのかなどが少し見えてくる。

Q.研究者として、つらかったことや、嬉しかったこと?

つらかったけど、一番吸収できた院生時代

 研究者として最もつらかったのは大学院生時代である。同時に、最も様々なことを吸収できたのも院生時代である。正直にいって、大学院時代はつらかった。同級生たちの多くは就職をし、給料に加えてボーナスももらい、相対的に豊かな生活を送っていた。そうした中、自分は学生生活を送り、決して豊かとはいえない生活を送っていた。特に、サラリーマンを経験していたので、ボーナスがないのは少しつらかった。つらい生活の中で、将来の就職もまったく保障のなく、不安でいっぱいだった。不安であったが、きちんとした論文を書くことで、それが評価されたので、これを糧に日々の研鑽を積むことができた。この不安をエネルギーにできるがどうかが、大学院で成功する秘訣といってもいいだろう。今になって思うが、この頃に勉強したことは今の研究の糧となっている。この意味で、大学院での研究は意義深いものであった。大学院時代に何度か学会や研究会で研究報告をさせてもらい、報告をした際に、見ず知らずの先生に叱咤激励をしてもらえたのはとてもうれしい経験であった。日々の積み重ねを論文にまとめて、それがおもしろいといっていただけるのは、研究者の特権だろう。

Q.大学院で学ぶことの魅力とは?

問題設定から問題解決まで

 学部の学習はどうしても包括的なものになりがちである。つまり、広く薄く学習をする傾向がある。それに対して、大学院の研究は極端な話、自分の関心事だけ勉強すれば良い。もちろん、基礎的な考え方を学ぶ機会は用意されているが、必修科目でもない。したがって、深めたいところを強化できるのだ。

Q.大学院で学びを考えている受験生にメッセージを一言。

正解はない!!だから研究せよ!!

 経済学は実は正解がないことが多い。これは経済学に限ったことではなく、社会科学は基本的に正解のない分野を扱っている。よく考えてみたら世の中の問題の多くは正解がないといっても過言ではない。どのようにしたら会社の商品が売れるか?どのようにしたら商店街は再生するか?など世の中の問題は正解があったらとっくにこの問題は解決しているが、この問題はずっと続いている。正解がないからといって諦めてしまうと、それでおしまいだが、多くの人はこの問題に正面から向き合い、試行錯誤をしながら、状況を改善しようとしているのだ。研究も同じで、必ずしも正解が導き出せないことが多い。ただ、うまくいかないというのも重要で、同じ失敗をしないために、失敗を記録しておく必要があるのだ。大学院でやるべきことは、正解がないからといって諦めてしまうのではなく、今よりもよくなる(改善する)ために何をしたらよいかを研究するのだ。正解がないから研究をするのだ!!


プロフィール

氏名: 川崎 一泰(かわさき かずやす)

経歴: 現在、東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻 教授

     2000年 法政大学大学院社会科学研究科満了、(社)日本経済研究センター、

     東海大学政治経済学部講師、准教授、ジョージメイスン大学訪問研究員などを経て、

     2013年より、東洋大学経済学部教授。博士(経済学)

専門: 専門は、財政学、公共経済学、地域経済学など

著書: 『官民連携の地域再生』(勁草書房、2013年)

    『地域再生の失敗学』(光文社新書、2016年)など

 


(掲載されている内容は2016年7月現在のものです)