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東洋大学のカタチ:第92回 箱根駅伝 「1人ひとりが自立したチームへ」

東洋大学のカタチ:第92回 箱根駅伝 「1人ひとりが自立したチームへ」

2016年2月29日更新

第92回 箱根駅伝「1人ひとりが自立したチームへ」

2016年1月2日、3日に行われた第92回東京箱根間往復大学駅伝競走。 王座奪還を目標に掲げた今大会は総合第2位の成績を修めた。 優勝を逃したとはいえハイレベルなレース展開の中、個々の能力を最大限発揮し、鉄紺らしい粘り強さが走りに滲み出ていた。 気迫あふれるその走りに、熱い思いを重ね、駆け抜けた2日間。そして次代へとタスキが伝統とともに受け継がれていく。
「エースに頼らず、1人ひとりが自立したチーム」。 この言葉に込められた選手や監督の思いを、 本学卒業生で陸上ライターの石井安里さん(2001年3月社会学部卒業)に描いてもらった。

第92回 箱根駅伝

自陣が崩れ、王座奪還ならず

第92回箱根駅伝は、連覇を達成した青山学院大学と7分11秒差の2位で終えた。11分55秒差で3位だった前回と比べると、順位を1つ上げ、差も縮まったが、2年ぶりの王座奪還はならなかった。東洋大学は1区に副主将の上村和生、2区に主将の服部勇馬(ともに4年)、3区には服部兄弟の弟・弾馬(3年)と、チーム内で上位の力がある3人を前半区間に並べた。1区の上村は、トップの青山学院大学と53秒差の7位。各校のエースが集う花の2区では、服部勇馬が山梨学院大学の留学生らを抑え2年連続区間賞を獲得し、トップを走る青山学院大学との差を22秒まで縮めた。3区で逆転可能な差だったが、服部弾馬は「5kmからペースを上げようとしたが、思うように体が動かなかった」と本来の力を発揮できず、4区につないだときには1分35秒差に開いてしまった。4区以降の選手たちも懸命に走ったが、復路のゴールまで、トップの青山学院大学も、3位以下のチームも見えない一人旅が続いた。

東洋大学としては、1、2区で主導権を握り、3区で勝負を賭ける――そんなレースプランを描いていた。しかし負けるときは、自分たちが思い描いたレースを相手にやられてしまうもの。青山学院大学は1区でトップに立つと、東洋大学が優位と見られた3区で一気に流れに乗り、4区以降も突っ走った。

3区で流れが変わったのも確かだが、酒井俊幸監督が「敗因は自陣が崩れてしまったこと」と話したように、相手の状況以前に、東洋大学らしい攻めの走りができなかった。全10区間中で青山学院大学の選手を上回ったのは、2区の服部勇馬、9区の高橋尚弥(4年)のみ。酒井監督は大会前、「走力で勝る青山学院大学に勝つには、接戦に持ち込むしかない」とみていたが、それは叶わなかった。
また、べストメンバーで臨めなかったことも響いた。昨年12月10日のチームエントリーで16人が選出されたが、その後に2年生の野村峻哉、堀龍彦が故障で戦列を離れた。さらに、12月に好調だった4年生の寺内將人も大会直前の体調不良で走れず。今大会は主力3人を欠き、酒井監督は「スタート前にすでに劣勢でした」と悔いた。

悔しい結果の中に収穫もあった。それは、4年生の意地が見られたこと。2年連続で5区の山上りを務めた五郎谷俊は、前回はレース中の体調不良で区間11位に終わったが、今回は「多くの人の支えと励ましの言葉が力になった」と区間3位の快走。山を上り切って、終盤に入ってからは、青山学院大学を上回るペースで駆け抜けた。五郎谷や服部勇馬の諦めない気迫は、間違いなく後輩たちに伝わった。

写真提供:東洋大学スポーツ新聞編集部

写真提供:東洋大学スポーツ新聞編集部

写真提供:東洋大学スポーツ新聞編集部

再び、王座奪還への挑戦が始まる

昨年11月の全日本大学駅伝で悲願の初優勝を果たし、これまで駅伝の優勝経験がなかった選手たちも自信をつけた。しかし裏を返せば、東洋大学が全日本の勝者として箱根駅伝を迎えるのは初めてのことで、例年とは違う面もあった。それは全日本を走った選手たちが身体的な疲労を抜くのに時間がかかり、走り込みや体作りなど、11月中旬から後半にかけての練習に影響が出たこと。万全の準備を整え、箱根駅伝本番に臨めなかったのが惜しまれる。ただ、箱根までの2カ月間に行ったトレーニング、調整などの取り組みは、今後につながるもの。経験を無駄にはせず、来シーズンはこれをさらに発展させていく。

この1年間は補強など、一部の練習メニューに変化を加えた。2015年度のチームは発展途上であり、「地ならしの1年だった」と酒井監督はいう。王座奪還に向けて、もう一段階上の勝負をするための地ならしと考えるなら、順調な1年だったと言えるだろう。また、4年生を中心に学生が主体となって意見を交わし、自立と自律のできるチームを目指してきた。新年度に最上級生となる服部弾馬は、「1年間、4年生が自覚を持ってチームを引っ張ってくれた。それを受け継ぎ、みんなで一丸となってさらに良くしていきたい」と覚悟を決めた。

過去に箱根を制したときは、全日本で負けた反省から、「箱根だけは譲れない」と結束し、チームは2カ月間で劇的に生まれ変わった。短期間で大きく変わるのも大学生、一方で短期間では成果が出ないのもまた大学生、それが学生スポーツの難しいところだ。

東洋大学が2016年度に目指すのは、「1人ひとりが自立したチーム」だという。誰かに頼るのではなく、全員が自覚を持って行動できるチームへ――。鉄紺・新時代は希望に満ちている。

頂点への再出発

写真提供:東洋大学スポーツ新聞編集部

頂点への再出発