1. トップページ >
  2. TOYO people > 2013年度 >
  3. 宗教を通して現代社会に対する理解を深める
宗教を通して現代社会に対する理解を深める

宗教を通して現代社会に対する理解を深める

2013年10月21日更新

宗教を通して現代社会に対する理解を深める

社会学部社会文化システム学科の高橋典史准教授の専門は宗教社会学です。高橋准教授の授業では、大学近郊にある外来の宗教施設などを実地調査するなどして、学生たちが宗教を通じて現代社会を理解し、グローバルな視野も持った人材に成長することを目指しています。

サイト社会学部社会文化システム学科

宗教社会学が専門の社会学部社会文化システム学科の高橋典史准教授


夏休みに行われた高橋ゼミの合宿の様子。山岳信
仰で知られる神奈川県の大山の宿坊に宿泊して勉
強会を開き、大山阿夫利神社に詣でて、江戸の庶
民の楽しみだった「大山詣り」を体験した

宗教社会学というのは、あまり聞きなれない学問です。社会学部社会文化システム学科の高橋典史准教授は「教義や思想といった側面だけでなく、社会調査のような社会学的なアプローチを用いて宗教を研究することによって、現代社会と宗教の関係を考察する学問です。宗教とメディアの関係、宗教と政治の関係なども研究対象になります」と説明します。

高橋准教授自身はこれまで主に、移民集団の宗教について研究してきました。具体的には、ハワイの日系移民社会における日本の宗教の布教の歴史、日系ブラジル人をはじめとする在日外国人が多数居住する静岡県浜松市の宗教の活動などが研究テーマです。

「ハワイでは、日本の仏教や新宗教の布教の歴史や現状などを調査してきました。浜松では、カトリック教会が基盤となっている在日外国人への支援活動などを調べています。このほか宗教とメディアの関係性など、研究テーマはさまざまですが、現代社会における宗教のありようを把握するという意味では一貫しています」

高橋准教授の授業では、大学近郊にある宗教施設
のフィールドワークも行っている。写真はマスジ
ド大塚(豊島区)でのフィールドワークの様子

オウム真理教事件で宗教に関心

花園神社(新宿区)でのフィールドワークの様子

高橋准教授が宗教に関心をもつきっかけとなったのは、1995年にオウム真理教が起こした地下鉄サリン事件でした。「高校入学直前のときで、大きな衝撃を受けました。しかしその一方で、これまで宗教というものを意識したことはありませんでしたが、あらためて周囲を観察すると、私の住んでいた東京郊外の地域でも、さまざまな宗教行事が行われていることにも気がつきました」と振り返ります。

こうした自身の経験もあって、高橋准教授は学生たちに「授業を通じて宗教が現代社会に広く浸透していることを学び、身近な問題として宗教に関心をもってほしい」と言います。

大学近郊の宗教施設を調査

2012年度の調査報告書の一部。花園神社の
フィールドワークの成果をまとめたもの

このため、「社会調査および実習」などの授業では、大学近郊にある宗教施設のフィールドワークに力を入れています。2012年度は豊島区にあるイスラームのマスジド大塚や新宿区にある花園神社などの調査を行いました。

社会学部ではこうした社会調査関連の授業を履修することにより、一般社団法人社会調査協会が認定する「社会調査士」の資格申請ができます。

「数人のグループを作り、実際に宗教施設を訪れて各種の調査を行います。そしてグループごとにその成果を報告書にまとめて発表してもらいます」

また、社会学部社会文化システム学科では卒業論文は選択科目ですが、高橋准教授の3~4年生を対象とする演習(ゼミ)の学生は基本的に全員が2万字以上の卒論を執筆します。

「テーマはお祭り、お守り、新宗教などさまざまですが、卒論を書いた経験は社会に出てからもおおいに役立つはずです。その前に社会調査の実習で行うフィールドワークは卒論の予行演習という位置づけもあります」

「海外諸国とは異なり、日本人は宗教をあまり自覚せずに生活しています。それが『宗教はなんとなく怖い』という誤解につながっているように思います。フィールドワークを通じて生きた文化としての宗教に接することは、そんな誤解を解消するきっかけになると思います。それは自文化と異文化の理解にもつながるはずです。グローバル化が進展するなかで、宗教に関する理解を深めていくことは、海外はもちろん今後は国内でも不可欠になっていくだろうと考えています」と、高橋准教授は強調します。