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東洋大学の哲学教育 「哲学することを学ぶ」

東洋大学の哲学教育 「哲学することを学ぶ」

2013年11月26日更新

東洋大学の哲学教育
「哲学することを学ぶ」

井上円了によって“哲学”の学校として誕生した東洋大学は、複数の学部で“哲学”を学ぶ授業を展開しています。「エンジニアのための哲学」(理工学部)「経済哲学」(経済学部)「スポーツ哲学」(食環境科学部)など多彩な授業を通じて、哲学する姿勢を身に付けます。

本学の神田雄一副学長(理工学部機械工学科教授)は、理工学部1年生から4年生を対象にした教養的科目群の授業「エンジニアのための哲学」(春学期)を受け持っています。理工学という枠を越えて、技術が自然や社会に及ぼす影響について深い理解などを養います。

神田副学長は授業の目的を次のように語ります。

「情報倫理、生命倫理、技術倫理、工学倫理など、近年、エンジニアの社会的責任や倫理観を見直す機運が高まっています。これからのものづくりを担う人たちは、これまで以上に、エンジニアリングが自然や社会に及ぼす影響を深く考える必要が出てくるでしょう。私たちはこの授業を通じて、多様なものの見方と“考える姿勢”を学生に身に付けてほしいと考えています」

「エンジニアのための哲学」は理工学部の教員のほか、竹村牧男学長、他学部教員、企業のエンジニア、卒業生らが教壇に立つオムニバス形式で進められます。授業内容は「技術者倫理」「情報倫理」「企業の社会的責任(CSR)」「特許について」「環境問題」「21世紀のものづくり」など、毎回異なるテーマで展開しています。学生たちは授業を聞きながら、3回に1回くらいのペースで演習を行ったり、ワークシートに自分の考えをまとめたりします。

テキストには本学の教員が中心となり執筆した『エンジニアのための哲学・倫理』を使用しています。 副読本には、本学創立125周年を記念して刊行された『哲学をしよう!-考えるヒント30』を採用。最終回の授業では、自分のキャリア、夢、未来予想図をイメージするための訓練として、マインドマップを作成します。

副学長
FD推進センター長
グローバル・キャリア教育センター長
理工学部機械工学科
神田 雄一 教授

正解のない課題と向き合うために

「哲学というと学生は難しそうだと思いがちですが、『エンジニアのための哲学』では将来、直面するような問題も取り上げます。例えば、エンジニアには正解のない課題に向き合わざるを得ない場面に多々遭遇します。この授業には、そうした場面でも対応できるように、考える訓練と多面的なものの見方を養うことを目的としているのです」

授業では、チャップリンの映画『モダン・タイムス』も取り上げます。

神田副学長は、大学生のときに『モダン・タイムス』を観て、大量生産が人々の暮らしを豊かにする一方で、労働者たちの働きがいをなくしていく過程が強く印象に残っていると言います。機械を導入することで人の心が変わってしまう現象についても授業の中で毎年学生たちと話し合います。

「全15回の授業を通じて、ものづくりのあり方、ものづくりの仕組みに人間がどう関わっていくのかを考えてほしいのです」

経済哲学が生まれた背景を考える

経済学部で「経済哲学B」(春学期は「経済哲学A」を開講)の教鞭をとるのは、太子堂正称准教授です。

毎回1人の著名な経済学者を取り上げ、彼らの経済哲学を紹介していきます。

「経済哲学B」(秋学期)の授業では、アダム・スミスやケインズ、ハイエクといった著名な経済学者たちの学説だけでなく、彼がどういう社会を理想と考えていたのか、どんな人物に影響を受けたのか、どんな活動に興味があったのかなど、その人の生き方にスポットを当てて講義を進めていきます。

「歴史や思想を知ることで、学生たちの現代経済への視点を広げ、『われわれはどういう社会を理想と考えるのか』を学生1人ひとりが考えるきっかけになることを期待しています」と太子堂准教授は強調しています。

経済学部経済学科
太子堂 正称 准教授

「哲学することを学ぶ」ためのテキスト

『哲学をしよう!―考えるヒント30』

本学が、実践的な哲学教育を行うための教材として発刊した書籍。現代社会が抱える諸課題の中から、特に哲学的思考を実践するために重要な30項目のテーマをピックアップしている。竹村牧男学長をはじめ、全学部の教員が分担執筆し、「哲学と教育」「地域と社会」「環境と生命」など現代社会のあり方を示唆する内容となっている。「哲学する」姿勢を磨くため、2013年度より展開している授業にて活用している。

『エンジニアのための哲学・倫理』

理工学部や法学部などの専任教員が授業のために執筆した教材。章ごとに授業を振り返るワークシートを用意するなど工夫を凝らしてある。エンジニアが求められる資質を学ぶため、扱うテーマは、「技術と哲学」「ものの見方と考え方」をはじめ、「技術と倫理」「技術からの視点」「21 世紀における持続的発展に向けて」など多岐にわたる。

「深く掘り下げて考える」それが東洋大学の哲学教育です

東洋大学は創立者 井上円了先生の「諸学の基礎は哲学にあり」を建学の精神としています。昨年に迎えた創立125周年を機に、改めてこの精神に基づいて哲学教育の充実を図ろうと、基盤教育だけでなく、複数の学部においては専門分野に関わる哲学の授業も開講されています。

円了先生のお言葉は、哲学こそがあらゆる学問の根源だという意味ですが、カントやヘーゲルといった哲学者の思想を学ぶことだけが哲学教育ではありません。

グローバル化が進んだ現代社会は、絶対的なものが失われ、価値観が多様化錯綜しています。こうした状況の中で、「自分はどう生きていけばいいのか」と悩んでいる若者たちも多いことでしょう。

そんな現代社会だからこそ、さまざまな価値観を学び、常識や先入観、偏見などにとらわれず、自分の生き方を深く掘り下げて考えてほしい。この深く考えることこそが、いわば哲学なのです。「哲学すること」を学ぶ。それが、東洋大学の哲学教育です。

本学はグローバル人財の育成やキャリア教育を重視していますが、これらの学修にも根本に哲学がなければなりません。古今東西の思想を学び、自分自身で深く考えていくことで、自立した社会人、グローバルに活躍する人財に育ってほしい。そうした考える機会を設けるのが私たち教育者の役目だと考えています。今後もさまざまな授業で深く考える姿勢を養っていきます。

東洋大学学長
竹村牧男
(文学部東洋思想文化学科 教授)

学部を横断する「全学総合科目」 〈2013年度開講科目〉

本学の特色のひとつ、哲学思想や文学を含む人文社会科学と、物理学や生物学を含む自然科学といった学問分野の違いや、従来の科目区分にとらわれない「全学総合科目」を設置しています。インターネットを利用した双方向遠隔講義システムにより、白山、朝霞、川越、板倉の4キャンパスで同じ授業を同時間に受講し、文理を超えた「ものの見方・考え方」を身に付けます。

フェアトレードを通して学ぶ世界の文化と社会

国際協力の新しい形として日本でも定着しつつあるフェアトレード。さまざまな事例を通して、基本的な考え方を学び、理解を深めていく。

全学総合ⅡB(秋学期)
[発信]白山キャンパス

「妖怪学リニューアル」ヴァージョンアップ!

不可思議なものにひかれる人間の心性に目を向け、科学的な検証と明晰な論理によってその本質を見極め、思い込みや不合理な権威を打破していくための批判精神を養う。

全学総合ⅡA(春学期)
[発信]朝霞キャンパス

留学のすすめ―留学の目的や意義について学ぶ入門講座―

留学の社会的意義や個人の成長に及ぼす役割ついて、多くの実例に触れることで、キャリア形成のための留学について認識を深める。

全学総合ⅠA(春学期)
[発信]白山キャンパス

哲学への誘い

「世界と自己」「心とからだ」「正義と自由」というテーマについて、東西の異なる知見を手がかりに、1人ひとりが思考を進め、自ら哲学的に思考することを経験し、理解する。

全学総合ⅠA(春学期)
[発信]白山キャンパス

エコ・フィロソフィ入門

環境問題の現状と解決するための試みを、東洋・西洋の哲学的思想を手がかりに解説する。環境関連の諸問題を総合的に理解し、自分なりに判断する力を身に付ける。

全学総合ⅠB(秋学期)
[発信]白山キャンパス


2013年10月31日の授業では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の石崎恵子氏を招いての講演を開催しました

キャンパスにおける学びとリソース

社会において知のコミュニティとしての役割を担う大学には、多様な学びとリソースが眠っている。講義を通じて自らが知のコミュニティを創造するための基礎的力量を身に付けることを狙う。

全学総合IB(秋学期)
〔発信〕白山キャンパス