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継続的なフィールド活動により学生たちが成長

継続的なフィールド活動により学生たちが成長

2014年3月4日更新

継続的なフィールド活動により学生たちが成長

社会学部社会福祉学科の森田明美教授

社会学部社会福祉学科の森田明美教授は、東日本大震災が発生した2011年から岩手県・山田町で中高生の学習支援を行っています。活動拠点は、森田教授が理事長を務めるNPO法人こども福祉研究所が運営する「山田町ゾンタハウス」。仮設住宅などに暮らしているため、落ち着いて勉強できない中高生のために開設した軽食付自習施設です。

大学として繋がる支援

山田町ゾンタハウス。中高生たちは1階で軽食を食べてから、2階で勉強する(右の写真は2011年8月に撮影)

森田ゼミの学生たちは、長期休暇には毎年、山田町を訪れボランティア活動を行っています。2013年度は3班に分かれ、9月と1月にゾンタハウスを訪れました。同学科林大介助教のゼミ学生たちも同じく9月に山田町ゾンタハウスでボランティア活動を行いました。

山田町は宮古市と釜石市の間に位置する三陸海岸沿いの町で、津波とその後に発生した火災により壊滅的な被害を受け、町民の4%強が死亡や行方不明となりました。

森田教授は、ゼミの卒業生の1人が同町出身だったことから、2011年5月に町を訪れ、支援について地元の人たちと協議を重ねてきました。結果的に山田町の将来を担う中高生のための軽食付自習用スペースが必要ということで議論がまとまり、国際的な社会奉仕団体「国際ゾンタ」日本支部から資金援助を得て、浸水した店舗を改装し山田町ゾンタハウスを開設することになったのです。

9月4日のオープン直前には森田ゼミをはじめとする東洋大学の学生がボランティアとして多数参加し、掃除やペンキ塗りなどを行いました。現地でゾンタハウスの運営に携わっているこども福祉研究所山田支部の舟田春樹さんは「ゾンタハウスは中高生の交流の場にもなっており、皆明るく、生き生きとしてきました」と言います。

今年、ゾンタハウスでボランティアに参加した学生の1人は「町の人は皆、ゾンタハウスのことをよく知っていて、どこへ行っても東洋大学の学生を歓迎してくれます。復興支援は継続が大切で、これからも続けていかなければならないと改めて思いました」と感想を語ります。

フィールドで学生が育つ

森田教授の専門分野は、子どもの権利を基盤とした児童福祉学です。ゼミでは、インターンシップやボランティア活動を通じて子どもと深く関わることを活動方針としており、2013年度も東京都内や千葉県内の行政やNPO 法人などで子どもたちの学習支援といったフィールド活動に参加しました。

森田教授は「学生たちはフィールドに育ててもらっています。大学での学びとフィールド活動のコラボレーションによる教育効果で『いい大人』になっていく。学生が『いい大人』になって子どもに接することで、子どもたちが自分で何かをしようと動き出す力になっています」と話します。

子どもの背中をそっと押す

サマーレスパイトデイズに参加した子どもたちは、海や花火などで思い切り遊んだ

森田教授は福島の被災者を支援する「サマーレスパイトデイズ」という活動も続けています。レスパイト(respite)は小休止を意味する英語で、東洋大学のセミナーハウスに1人親家庭の子どもたちを招き、リフレッシュしてもらう活動です。

この活動は、福島第一原発の事故の影響で、外で十分に遊べない子どもたちのことを憂いた森田教授がNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ福島に声をかけ、2011年7月に第1回目の活動が実現しました。

3回目となる2013年は7月13~15日に開催され、28人の子どもたちと保護者を合わせて41人が参加。ボランティアとして森田ゼミの学生と、ライフデザイン学部生活支援学科中原美惠教授のゼミで保育士を目指している学生たちが参加しました。子どもたちは、午前中は宿題、午後は海遊び、夜は花火といった、まさに夏休みならではの遊びに熱中しました。この3日間は、1人の子どもを2人の学生が担当。「1人親の子どもたちは親が仕事で忙しく一緒の時間が短いんです。

学生たちが常に寄り添うことで、子どもたちも心を開いてくれます。同時に親も育児から解放されてリラックスできます」と森田教授はその効果を説明します。

しんぐるまざーず・ふぉーらむ福島の遠野馨さんは「それまで不登校だった子どもが、サマーレスパイトに参加した後、2学期からすすんで登校するようになったんです。まるで学生たちが魔法をかけてくれたみたいです」と驚きを話します。

森田教授は「自分のことだけをずっと見てくれる『いい大人』に出会えたことが大きいのでしょう」とうれしそうに語ります。学生たちは、森田教授の期待に応えて、大きく成長しているようです。

2014年1月11~13日は被災3県から中高生20人を東京に迎えて、東京の中高大生との交流や意見交換会をサポートしました。12日に白山キャンパス125記念ホールで実施した意見交換会には、約50人の一般市民を迎えて、子どもの意見表明が安心して言えるようサポートしました

プロフィール■森田明美(もりた あけみ)
社会学部社会福祉学科教授。専門は、子どもの権利を基盤とした児童福祉学。現在、NPO 法人こども福祉研究所理事長をはじめ、東京都世田谷区青少年問題協議会副会長、東日本大震災子ども支援ネットワーク事務局長など、複数団体の役員を務める。