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東洋大学のカタチ:第91回 箱根駅伝 頂点への再出発

東洋大学のカタチ:第91回 箱根駅伝 頂点への再出発

2015年3月2日更新

第91回 箱根駅伝「頂点への再出発」

2015年1月2日・3日に行われた第91回東京箱根間往復大学駅伝競走。連覇を目指した今大会は総合3位に終わった。優勝を逃したとはいえハイレベルなレース展開の中での3位は、価値ある成績だ。しかし、彼らはこれを「完敗」と表現した。この完敗から彼らが掲げた「頂点への再出発」に込められた選手や監督の思いを、本学卒業生で陸上関連雑誌などのライターとして活躍する石井安里さん(2001年3月社会学部卒)に描いてもらった。

第91回 箱根駅伝

力を出し切れず、無念の3位

レース後の東京・大手町は、例年とは違った空気に包まれていた。目指してきた連覇を逃したのだから、もちろん笑顔はない。涙を流している選手がいたのは、準優勝だった4年前や2年前と同じ光景だった。しかし、どこか違って見えたのは、悲壮感がなかったからだろう。下を向いている時間などない。選手たちの瞳や表情からは、強い決意が感じ取れた。

第91回箱根駅伝は、青山学院大の圧勝に終わった。東洋大は往路3位、復路4位で総合3位。11月の全日本大学駅伝より1つ順位を上げたが、箱根駅伝では7年ぶりに、優勝にも、準優勝にも届かず。青山学院大とは11分55秒の大差がついた。

東洋大が3年前の第88回大会で優勝したときの10時間51分36秒は、従来の大会記録を8分15秒も更新する異次元のレベルで、“10年先をいく記録”と言われた。それが今回の青山学院大は10時間49分27秒で、さらに先をいった。また、青山学院大の5区山上りを走った神野大地は、第88回大会の柏原竜二(現・富士通)をも超えたのだ。

誰も想像していなかった、衝撃の展開だった。まして、柏原の圧倒的な強さを間近で見てきた東洋大陣営からすれば、わずか3年で彼を上回る選手が出てくるとは思わなかっただろう。しかし、酒井俊幸監督も、3年生エースの服部勇馬も、「そう決めつけていた時点で負けていた」と脱帽した。

酒井監督は、パーフェクトな駅伝をした青山学院大の強さを認めながらも、「東洋大らしさがなく、完全に力を出し切れませんでした」と悔やんだ。副キャプテンであり、前回8区で区間賞を獲得した髙久龍(4年)がケガで欠場したことも響いたが、メンバー入りした選手たちも、近年の東洋大に根付いてきた攻めの走りができなかった。

また、“その1秒をけずりだせ”をチーム・スローガンに掲げてきたが、服部勇馬が「自分を含め、ほとんどの区間がラストで失速したところに、今季のチームの課題が表れていたと思います」と振り返ったように、最後の最後まで1秒をけずりだす走りが見られなかった。

頂点への再出発 田口服部襷リレー

東洋大学スポーツ新聞編集部

上村櫻岡襷リレー

東洋大学スポーツ新聞編集部

王座奪還へ、変革の1年が始まる

残念な結果ではあったが、酒井監督はよく、「負けた後は変革できる。良い意味で変えていけることも多い」と話している。勝つに越したことはないが、勝ち続けることは簡単ではない。敗戦から学ぶことも多いのだ。

王座奪還へのリスタートは、例年以上に早かった。新キャプテンに服部勇馬、副キャプテンに上村和生(3年)を据え、1年間の反省と敗因の分析を迅速に行った。

「寮生活を見直し、質も上げました。チームとしての連携を強化し、下級生がより競技に集中できる環境を作っていきたい。すでに、新たな取り組みを始めています。芯の部分は崩さずに、幅広く、専門的なトレーニングを取り入れていきたいと思います」酒井監督の言葉からは、少しずつ何かが動き始めていることが伝わってくる。

頂点への再出発 頂点への再出発

今回の敗因の1つを、服部勇馬は「下級生への配慮が足りなかったこと」と挙げた。優勝した時は、強い結束力と部員全員の総合力で戦っていた。服部ら新4年生は、箱根駅伝後に話し合い、「横のつながりだけでなく、縦のつながりのあるチームにしていこう」と誓った。

昨年度の優勝は、全日本大学駅伝後の2 ヶ月で “縦のつながり”を見直したことが大きかった。同級生同士の横のつながりは自然と生まれるものだが、大切なのは先輩・後輩の縦のつながり。服部勇馬は「4年生と3年生といった、学年の近い者同士だけでなく、4年生と2年生、1年生がつながっていけるようにしたい」と話し、下級生とも積極的にコミュニケーションを図っていく。

そしてもう1つ、今季は経験不足も課題だった。昨年度までチームを引っ張ってきた選手たちが卒業し、流れを変えられる柱が減ったことから、育成の年と位置付けた。鍛錬の夏合宿を経て、秋には新戦力が台頭したものの、10月の出雲駅伝が台風で中止になるなど、未経験者の実戦の場がなかった。キャプテンの田口雅也(4年)が、「これまでの東洋大は初出場の選手でも結果を残してきましたが、今回は経験不足の影響が出ました」と振り返ったように、未経験者の力をうまく引き出すことができなかった。

箱根駅伝が終わってからは、これまで出場したことのなかった大会にも積極的に参加。主力選手が一層高い目標を持って取り組んでいる一方で、中間層の選手たちが多くのレースを経験することで、互いに競争し合い、成長していくチームに変わるはずだ。

新チームのテーマは、“頂点への再出発”に決まった。服部勇馬が思いついたキーワードを仲間たちに話したところ、それは共通の意志だったという。そして、東洋大の良い伝統を継承しながらも、新たなことに挑戦していこうという方針は、監督と選手に共通している。

これからの1年も、決して平坦な道のりではないだろう。どこかで壁にぶつかるかもしれない。だが、1年後に鉄紺が再び輝くときを楽しみに待ちたい。