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TOYO people:経営学部会計ファイナンス学科 藤尾美佐教授

TOYO people:経営学部会計ファイナンス学科 藤尾美佐教授

2015年3月2日更新

国際ビジネスの場で活躍するために不可欠な
「コミュニケーション・ストラテジー(方略)」を提案

経営学部会計ファイナンス学科 藤尾美佐准教授
経営学部会計ファイナンス学科 藤尾美佐教授

大学で教鞭をとる以前には、大手外資系企業でキャリアを積んだ藤尾美佐教授。国際ビジネスの現場体験と最新の学術研究、その両者の視点から導き出された、これからのグローバル人材に求められる英語力やコミュニケーション能力とは。実際の授業内容とともに、お話を伺いました。

「英語力」=「コミュニケーション力」ではない

外資系企業に勤務していた時代、英語をつかって働くさまざまな日本人ビジネスマンの姿を見てきました。そこで気づいたのが、英語力は高いのに、いざ会話となるとガチガチになってうまく話せない人がいるということ。そうかと思えば、語彙も少なく文法もあやふやなのに、相手と話がはずむコミュニケーション上手な人もいる。「この差は一体どこから生まれるのだろう?」と疑問をもったのが、現在の私の研究の発端でした。

英語を学ぶ多くの学生も同じ疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。「これだけ勉強しても話せないのはなぜ?」と。そんな皆さんにまずお伝えしたいのが、【英語力=英語コミュニケーション能力ではない】ということです。英語でスムーズに会話をするためには、英語力とコミュニケーション力の間のギャップを埋めるさまざまな能力が必要です。異文化理解能力、相手にどう話しかけるかなどの社会的能力。私の研究テーマである方略的能力(「コミュニケーション・ストラテジー(方略)」を使いこなす能力)もその一つです。

たとえば相手の話が聞き取れなかった時、「Pardon?」や「Excuse me?」を繰り返すのではく、「What is ○○?」と言えば、自分がどこがわからないかを相手に伝えることができますよね。また、単語が思い浮かばない、英語でどう言ったらいいか分からないと黙り込んでしまえば会話をストップさせてしまいますが、「What do you call it in English?(英語では何と呼んでいますか?)」と質問すれば、相手がそれを教えてくれます。このように、自分と相手のリソース(言語力や背景知識)を活用しながら、それに応じて会話を進めていく能力が方略的能力なのです。さらに、効果的なあいづちを打つなど、対話者への共感を示して会話を発展させていくことも方略的能力であり、これを身につけているかいないかで会話力は驚くほど違ってくるのです。

ネイティブも驚く英会話のコツ
藤尾先生の全編英語で書かれた学術書の内、「Communication Strategies in Action: The Negotiation,
Establishment, and Confirmation of Common Ground」(中央の写真の右) が、2013年 JACET賞
(大学英語教育学会賞)新人賞を受賞した。これを分かりやすく日常英会話でも使えるように執筆した
一般書「ネイティブも驚く英会話のコツ」(三修社、右)も好評を得ている

英語でプレゼンテーションをする体験型授業を実施

こうしたコミュニケーションのメカニズムを理解することが、これからのグローバル社会で必要とされる英語力を身につけるコツではないでしょうか。特にビジネスの現場では、英語の正確さより、いかに相手と理解し合えるかの対話が大切です。

毎年3月に行われている「JACET教育問題研究会」を始めとしたさまざまな科研グループ主催の「言語教育エキスポ」では、過去2年間、学生によるビジネス英語プレゼンテーションコンテストをを企画・実施してきました。これは、実際の企業の商品を題材に大学対抗でプレゼンテーション能力を競うもの。大学教員や現役ビジネスマンに審査してもらうのですが、印象的なのはビジネスマンの評価観点でした。ポイントは、文法上のミスよりいかに相手の興味をひくかのパフォーマンス面や、言い間違えても話を止めないなどの実践的な会話術。やはり方略的能力を重要視していたのです。

経営学部での英語指導では、国際ビジネスの場面を想定した「グローバル・ビジネス・コミュニケーション・コース(以下、GBCコース)」が設けられています。そのなかで、私自身の授業では、「言語教育エキスポ」同様、実際の商品を使って英語でプレゼンテーションをしたりテーマを設けてディスカッションするなどの体験型を実践しています。 また、GBCコースのセミナーではビジネスマンを招いて全編英語での講演会も行っていますが、講演後の質疑応答では、英語で質問する学生がどんどん増えています。受け身の姿勢で聞くのは得意でも、質疑応答となると誰も手を上げない風潮があるなか、こうした積極性をもった学生が育ってくれたことには、嬉しさもひとしおです。

まずはノンネイティブ同士で会話してみましょう

経営学部会計ファイナンス学科 藤尾美佐准教授

そうはいっても、日本にいるとなかなか英語で会話する機会がないのが実情です。そこで、まず学生に勧めたいのは海外に行くこと、特に留学です。理想は、就活の時期にかからないように、まず1年生で「英語学習支援LEAP(SCAT)プログラム※」を履修するなどの準備をし、2年生の夏から3年生の春まで留学することですが、短期留学でもかまいません。大切なのはとにかく体験すること、異文化を肌で感じて刺激を受けることだからです。

また、必ずしも英語ネイティブの人との会話にこだわる必要はありません。たとえば多民族が共存するヨーロッパではノンネイティブ同士が英語を使ってコミュニケーションしているように、まずは近隣のアジアの人々と英語で会話するところから始めてみるのもいいでしょう。特にシャイな面をもつ日本の学生には、いきなりネイティブ・スピーカーと話すより学習効果が上がる場合もあるでしょう。その意味で、留学先として英語圏以外の国を選ぶのもいいと思っています。選択肢は世界中いたるところに広がっています。もちろん、留学しなくても英語そのものは日本でもいくらでも勉強できます。結局は、自分自身で努力するしかない、そのことをぜひ忘れないでください。

※2014年度入学生までの名称:英語学習支援SCATプログラム

プロフィール

藤尾美佐(ふじお みさ)

京都府立大学文学部卒業後、外資系企業勤務を経て東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻入学、同大学院で修士課程・博士課程修了。博士(学術)。2009年より現職。専門は英語教育学、異文化間コミュニケーション、国際ビジネスコミュニケーション。2013年5月GABC(Global Advances in Business Communication) 第5回国際大会ベストペーパー賞受賞、同年9月JACET賞(大学英語教育学会賞)新人賞受賞。

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