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東洋大学のカタチ:第91回 東京箱根間往復大学駅伝競走「その一秒をけずりだせ」

東洋大学のカタチ:第91回 東京箱根間往復大学駅伝競走「その一秒をけずりだせ」

2014年12月1日更新

第91回 東京箱根間往復大学駅伝競走
「その一秒をけずりだせ」

2年ぶりの総合優勝を遂げ、復路新記録を樹立した第90回箱根駅伝。最後まで、挑み、攻め続ける鉄紺の絆が本物の強さを生んだ瞬間だ。そして新生・東洋大は2014年全日本大学駅伝で悔しくも4位に終わる。リベンジは、連覇をかけた箱根路で。

第91 回 東京箱根間往復大学駅伝競走

『陸上競技マガジン』などのライターとして活躍し、本学箱根駅伝初優勝時のエピソードをまとめた『魂の走り』(埼玉新聞社刊)などの著書がある本学卒業生の石井安里さん(2001年3月社会学部卒)に、前回の箱根駅伝から今日の鉄紺チームの成長を描いてもらいました。

強さを求めて、新たな挑戦

第90 回 箱根駅伝 往路優勝
第90 回 東京箱根間往復大学駅伝競走 優勝
第90回箱根駅伝では、復路新記録を樹立
して総合優勝を果たした。
箱根へ。練習風景
鉄紺の誇りを胸に箱根にかける
エース・設楽兄弟らが卒業し、新たなエー
スを育成する1年となった。「1秒」の
重みと、鉄紺の誇りを胸に箱根にかける。

「その1秒をけずりだせ」をスローガンに掲げた2012年の第88回大会と、2014年の90回大会は、前年の2位から王座を奪還した。両大会とも、東洋大らしい攻めの走りで圧勝。選手たちの持つ底知れぬパワーと、チームの結束力が勝利に結びついた。

連覇に挑む今大会は、キャプテンの田口雅也、副キャプテンの髙久龍(ともに4年)、服部勇馬(3年)が中心。昨年度までエースとして活躍した双子の設楽啓太(現・コニカミノルタ)、悠太(現・Honda)らが卒業し、新たな挑戦の年を迎えた。

11月2日に行われた全日本大学駅伝では、中盤まで2位争いをしながら、最終的に4位でゴール。この大会では6年ぶりに、3位以内を逃した。酒井俊幸監督は力負けを認め、髙久は「強さが足りなかった」と敗因を挙げた。2位が続いた過去3年間の全日本大学駅伝と比べ、敗因はシンプルだった。

その分、例年以上に切り替えは早く、箱根駅伝に向けて「やるしかない」という気持ちが増している。髙久は「全員が同じ方向を向いてきたし、全日本が終わってからはみんなの顔色が変わってきたと思う」と話しており、雰囲気も良好だ。

振り返ると、2012年の出雲駅伝から昨年の全日本大学駅伝まで、学生3大駅伝で5大会2位が続いた。一時は選手たちの心が折れそうなときもあった。しかし、箱根駅伝に向けて一致団結して立ち上がり、意識改革をし、2 ヶ月で変貌を遂げた。だからこそ今回も、「学生は2 ヶ月で大きく変わる。ここから上げていける」と酒井監督は意欲を見せる。

4位だった今年の全日本大学駅伝は、1区で10位と出遅れ、4連覇を果たした駒澤大の背中をとらえることなく終わってしまった。ただ、この大会では、箱根駅伝優勝メンバーの上村和生(3年)、前年に7区を務めた淀川弦太(4年)らが不出場。台風の影響で中止になった10月の出雲駅伝を走る予定だった選手たちも体調不良があったり、箱根駅伝に合わせるためにあえて外したりした。さらには、夏に故障していた田口や髙久が復調途上だった。全員の足並みがそろえば、選手層は決して薄くない。優勝を狙える戦力が整っている。そして、箱根駅伝にしっかりと合わせられる調整力も、東洋大の強みである。

1秒を大切に、熱い走りを

東洋大学 陸上競技部 長距離部門
全日本大学駅伝
出雲駅伝の中止により、全日本大学
駅伝が初の実戦となった新チーム。
結果は4位と厳しい現実を突きつけられた。
田口キャプテン 服部兄弟
田口キャプテンが掲げた「挑戦」の二文字
には、覇者ではなく新たな気持ちで挑む強
いメッセージが込められている。
箱根駅伝に挑む選手たち
「チームの流れを変えられるよう、自信を
持った走りをする(髙久)(上村)」「全
日本の雪辱を果たす(名倉)」これまでの
悔しさを新戦力に変え、一人ひとりが自覚
をもって挑む。

今シーズン前半の各大会では、田口、髙久、淀川、服部勇馬、弟の服部弾馬(2年)ら主力が期待に応えたが、チーム内の中間層や新戦力がなかなか上がってこないのが課題だった。

それが、夏合宿を経ると、これまで駅伝に出場したことのなかった選手たちが台頭。中止になった出雲駅伝では、6人中4人が初出場予定だった。また、全日本大学駅伝では、3区の櫻岡駿(2年)、5区の渡邊一磨(3年)、7区の名倉啓太(4年)が初出場。

9月下旬から調子を上げてきた櫻岡は、「今年は故障なく練習を積むことができ、体も強くなった。しっかり走れる状態で臨めた」という。終盤は腹痛に苦しみ、区間6位に止まったものの、タスキを受けたときの2位をキープした。

渡邊は春から7月半ばまで故障していたが、「治ってからは、自分でも驚くほど戻りが早かった。夏合宿がBチームからのスタートだったので、このままではいけないと思い、気持ちも変わった」と言い、上を目指す意識が芽生えてからは一気に調子が上がった。全日本大学駅伝区間5位の結果には満足していないが、駅伝での単独走には自信を持っている。

理工学部の4年生・名倉は、地道な努力が実り、初出場で区間4位。箱根駅伝でもメンバー入りを狙う。

もちろん、主力も好調を維持している。キャプテンの田口は、「経験者が少ない分、自分や勇馬で、他のメンバーが走りやすい状況を作りたい」、服部勇馬も「どの区間を走っても区間賞を取るのがエース」と、自覚は十分。箱根駅伝が近づくにつれ、主力と新戦力がうまく融合し、まとまりも出てきた。

今季は設楽兄弟ら強力な世代が卒業した直後とあって、走力では昨年度より劣るかもしれない。しかし、走力以外のチーム力、精神力、1人ひとりの自覚で、いくらでもカバーできる。昨年度とはカラーが異なることから、違うアプローチで箱根駅伝の頂点を目指してきたが、軸がぶれることは一切なく、「その1秒をけずりだせ」のスローガンを継続している。

来る2015年1月2日、3日の第91回大会は、例年以上に混戦が予想される。東洋大が初優勝した2009年の85回大会はまさかの勝利だったが、2連覇した86回大会からは、常に優勝候補に挙げられてきた。その86回からの5大会と比べても、ライバル校の数は圧倒的に多い。しかし、東洋大の持ち味であるミスのない駅伝ができれば、道は拓けるはず。

 

1人ひとりが“1秒”を大切に、強い気持ちで攻め続ける――歴代の先輩たちから受け継がれた、熱い走りを期待したい。