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TOYO people:外国にルーツを持つ子ども達への学習支援プロジェクト SPIRIT代表 文学部教育学科4年 村上美樹さん

TOYO people:外国にルーツを持つ子ども達への学習支援プロジェクト SPIRIT代表 文学部教育学科4年 村上美樹さん

2014年7月31日更新

言葉や文化の壁に悩む子どもたちの「居場所づくり」を。

SPIRIT代表 村上美樹さん
外国にルーツを持つ子ども達への学習支援プロジェクト SPIRIT代表
文学部教育学科4年生 村上美樹さん

「外国にルーツを持つ子どもたちの学習支援プロジェクト SPIRIT(スピリット:Study support Project for International children with Real Interaction at TOYO University)」は、社会学部社会文化システム学科のプロジェクトとして2009年から始まり、2014年に6年目を迎えました。学生が主体となり、地域社会と連携して行うこの活動は、異文化共生のための先駆け的試みとして、学内外で話題となっています。

代表の村上美樹(むらかみ よしき)さんに、プロジェクトの意義や、この活動を通して学んだこと、想いを語ってもらいました。

子どもたちに“居場所”を提供する

「SPIRIT」は白山キャンパスで毎週木曜日に活動中
「SPIRIT」は白山キャンパスで毎週木曜日に活動中

参加しているのは、中国、フィリピン、ベトナムなど約10カ国の子どもたち。白山キャンパスがある文京区内の公立学校に通う小学生や中学生が中心です。宿題を出されても、まず日本語で書かれた問題そのものが読めない子、自国にいた時と同じ学年に編入して、学習進度の差でつまずいてしまう子など、これまで延べ60人ほどの子どもたちと向き合ってきました。

「外国人だから、仲間はずれにされる」などの悩みを聞くこともあります。学生ボランティアの役割は、そんな子どもたちの言葉や勉強をサポートするだけでなく、レクリエーションや休憩時の雑談などを通じて、日本の環境になるべく早く順応させてあげること。異文化の中で戸惑い、孤立しがちな子どもたちの“居場所”づくりをするのも大きな目的です。

5年目を迎えた今、社会文化システム学科以外のメンバーも増え、現在、他学部他学科の学生を含めて、約20人の仲間が常時活動に参加しています。

大切なのは、小さなコミュニケーションの積み重ね

時計の見方を教えている様子
時計の見方を教えている様子

活動に興味をもってくれる学生からは、「語学力は必要ですか?」とよく質問されます。もちろんまったく日本語が分からない子どもには、最初はある程度母国語で説明してあげることも必要です。でも外国人の子どもたちにとって大切なのは、日本の環境に慣れること。「SPIRIT」に来ればコミュニケーションがとれても、日常生活に戻ったら誰とも話せないでは、子どものためになりません。「間違ってもいいから、なるべく日本語で話そうね」を心がけています。

私自身、英語と大学で学んだ中国語を少し話せるだけ。絵を描いたり、身振り手振りでなんとか伝えようといつも必死です。

言葉以上に大切なのは、いかに信頼関係を築けるかということ。コミュニケーションをとるため、「ベトナムではどんなお菓子が美味しいの?」とか「中国の子どもは何をして遊ぶの?」など、子どもが話しやすい内容を聞いて、こちらから積極的に歩み寄りました。彼らから見れば、私たち学生は、大人というより、年の近いお兄さん、お姉さんのような存在だと思うんです。だからこそ「教えてあげる」という上からのアプローチでは聞いてもらえないこともある。小さなコミュニケーションを一つひとつ積み重ねていくことで、はじめて学校の先生や親には言えないことも話せる相手として認めてもらえるようになりました。

いつもは宿題を持ってくる子が、「昨日まで修学旅行でもうクタクタ。今日は、やる気ないんだよねぇ」などと言うこともあります。そんな時は、ちょっと嬉しくなってしまいます。疲れているなら休んでもいいのに、わざわざ顔を出してくれたんだ……。やっとこの場を“居場所”と感じてくれるようになったのかな、と思えるからです。

また、忘れられないのは、あるラジオ番組の取材で、ひとりの子が「僕も将来東洋大学に入って、お兄さんたちのような活動がしたいです」と言ってくれたことです。それまで面と向かって言われたことがなかっただけに、胸が熱くなりました。この活動をやっていてよかったと思えた瞬間です。

この子の言葉のように、今来てくれている子どもたちが活動を受け継いでくれるのは、まさに理想です。いろいろな国の子どもたちが将来は教える側にまわることで、もっと国際的な交流や理解が広がっていくのではないでしょうか。

「SPIRIT」で学んだ絆づくりを、将来は教師として生かしたい

「SPIRIT」で学んだ絆づくりを、将来は教師として生かしたい

この活動に参加したのは、将来、中学校の教員になりたいという夢があったからでした。国際化が進むなか、これからもっと、異なる言語や価値観、文化をもつ生徒たちが机を並べて勉強する時代になるでしょう。その時、“違い”が差別やいじめにつながらないように、教師はどんな指導をするべきか、どう生徒たちと向き合うか。「SPIRIT」での2年間の活動を通して、たくさんの子どもたちからそのヒントをもらいました。国籍や国の背景など、先入観にとらわれず、ひとりひとりの生徒に向き合い、信頼の絆をつなげていける。そんな教師を目標にしています。