1. トップページ >
  2. TOYO people > 2014年度 >
  3. TOYO people:経済学部総合政策学科 松原 聡教授
TOYO people:経済学部総合政策学科 松原 聡教授

TOYO people:経済学部総合政策学科 松原 聡教授

2014年6月30日更新

産学官連携によるICT教育の推進をめざして

日本初となるタブレット端末を活用したICT(情報通信技術)教育の授業が、今年度から佐賀県武雄市で始まりました。その内容や方針を多角的に検証する研究会代表を務める本学経済学部 松原聡教授。スマートフォン、タブレットなどを使って、Facebook を活用した双方向性を持った授業を進めるなど、自らもIT技術の応用に意欲的な松原教授に「スマイル学習」というICT教育の経緯や内容、方向性などを伺いました。

経済学部松原聡教授
経済学部総合政策学科 松原聡教授

動画が学校の授業を革新する

この取り組みは、武雄市が2010年12月に武雄市立山内東小学校へiPad 40台を配備し、ICT教育の可能性を検討し始めたところに端を発しています。電子黒板とタブレット端末を連携させた新しい試験授業は、生徒の楽しそうな姿と共に報道され、ICT教育の有効性をアピールし、本格展開への準備が進められました。
2014年4月、武雄市では市内の全小学校・児童にタブレット端末を配布し、3年生は算数、4年生からは理科を加えた2科目で活用を始めました。生徒たちはタブレット端末を持ち帰り家庭では動画コンテンツで予習し、学校では話し合いによる学習を中心とする、いわゆる反転授業を受けるようになりました。
武雄市はこの取り組みを、家と学校の学習が単に反転するものではなく、動画が学校の授業を革新する『School Movies Innovate the Live Education-classroom』という言葉から、『スマイル(SMILE)学習』と命名し、新しい教育活動として取り組んでいます。

教えあい、学びあう、充実した授業展開

まず生徒は、タブレットにダウンロードした動画で予習をします。動画の教材では、必要な知識をダイナミックに演出して映像を見せながらも、単元のまとめまでは言及せずに、生徒が考察する余地をあえて残しています。これは後の授業で、生徒同士や先生との話し合いにつながっていくように配慮しているためです。またタブレットにダウンロードした動画で予習するだけではなく、ワークシートへ記入したり、動画内容に関する小テストと簡単なアンケートに答えたりすることまでが、スマイル学習のセットとなっています。
このアンケートの結果は今のところ上々で、ある動画では24人中23人が「よく分かった」と答え、「家でゆっくり予習して学校で発表できるのがいい」といった感想も上がっています。
学校では授業の前に、生徒たちが家庭でやってきた宿題をタブレットのボタンで提出します。担当教員はその情報を踏まえて当日の授業計画を立てることができ、ここで授業にリアルタイムの双方向性が生まれてきます。現場の教員は、「生徒が意欲的に授業に臨めるし、教員は生徒の実態をより正確に把握でき、授業では教え合う、学び合うという充実した展開ができている」と話します。

次々に生まれる課題をていねいに検証していく

検証研究会(2014年5月16日)
2014年5月16日 スマイル学習検証研究会

スマイル学習にとって現段階での課題は、コンテンツ制作に関する点にほぼ集約されています。
まず、教科書コンテンツの著作権の問題があります。制作会社が動画を制作しても教員が作っても同様ですが、既存の教科書コンテンツを流用する割合が高いと想定されるので、スマイル学習進展のためには、著作権は早急にクリアすべき課題だと言えます。
同時に、先生がたやすく映像コンテンツを作れるツール開発など、作りやすい環境作りも火急の課題となります。
一方、現段階の動画コンテンツは、制作会社がボランティアで作っていますが、いずれにしろクオリティの高い動画はプロの手に拠らねばならず、そうした制作領域をビジネスモデルとしても成立させる必要があります。
日本でも初と言われる新しい教育活動なので、取り組むべき課題も新たに出てきます。この検証研究会では色々な課題について、それぞれの視点からていねいに検証していきたいと思います。最初から研究期間を区切らず、実際の授業に合わせて研究を進めていき、最終的にはICT教育推進のための政策提言をまとめたいと思います。

武雄市、DeNA、東洋大学の3者による記者会見
武雄市、DeNA、東洋大学の3者による記者会見

2014年6月25日、武雄市において、武雄市、DeNA、東洋大学の3者による記者会見が開かれ、この秋から初等教育でのプログラミング教育について、3者による共同実証研究を開始することが発表されました。
DeNAは東洋大学の現代社会総合研究所・ICT教育研究プロジェクトのメンバーでもあり、DeNAのビジネスで積み重ねられたプログラミング技術を共同実証研究に活用し、コンテンツ開発を進めるものです。
これからの児童生徒にはITについての理解能力の向上が求められており、プログラミング教育の導入は高度で実践的なIT教育として必要性が高まっています。
プログラミング教育のための、今回の共同実証研究には、こういった意味からも注目と期待が集められています。

検証研究会の構成

この研究会は、学内から、松尾常務理事、大熊常務理事、神田副学長、澁澤現代社会総合研究所所長らが参加、また学外からは、中村伊知哉慶応義塾大学メディアデザイン研究科教授、国立特別支援教育総合研究所メンバー、スマイル学習を実施する武内小学校校長で市教育監でもある代田昭久氏、ICT教育関連の企業、(株)DeNA、数研出版(株)、光村図書出版(株)、などの担当スタッフ、計約30名のメンバーで構成されています。この検証研究会などを通して、武雄市のICT教育事業に東洋大学がコミットメントしていくことになります。