1. トップページ >
  2. TOYO people > 2014年度 >
  3. TOYO people:卒業生インタビュー(株式会社キングジム 商品開発部 望月真希子さん)
TOYO people:卒業生インタビュー(株式会社キングジム 商品開発部 望月真希子さん)

TOYO people:卒業生インタビュー(株式会社キングジム 商品開発部 望月真希子さん)

2014年6月30日更新

デザインを深く考える習慣は、大学時代があったからこそ

卒業生インタビュー 株式会社キングジム 商品開発部 望月真希子さん
株式会社キングジム 商品開発部 望月真希子さん
プロジェクトリーダーとして開発に携わったスタンドスキャナ「デスクショット」を手に

ライフデザイン学部 人間環境デザイン学科を2011年春に卒業し、文具メーカーの株式会社キングジムで商品開発に携わる望月真希子さん。入社4年目の現在、新商品の開発プロジェクトリーダーを務めるなど、第一線で活躍中です。

東洋大学で学んだことは、社会人になってどのように活きているのか、お話を伺いました。

手を動かして学べる環境に憧れて

高校時代マーチングバンド部に所属し、旗やライフルなどの小道具を使ってショーを視覚的に演出するカラーガードを3年間担当していました。この部活で小道具係をしていたことが、モノづくりに興味を持つきっかけだったかもしれません。

そうしてモノづくりについて学べる大学に進学したいと考えるようになりました。東洋大学のライフデザイン学部 人間環境デザイン学科を第一志望に決めたのは、オープンキャンパスで工房などの施設を見学し、実際に自分の手を動かしながら学ぶことができると思ったからです。

モノづくりにも建築関連や生活福祉系、プロダクトデザインなどいろいろな方向性がありますが、人間環境デザイン学科ではそれらを幅広く学ぶことができるので、3年次のコース選択については基礎を学んでから考えることに。結局、学んでいく中で興味を持ったプロダクトデザインコースを専攻し、柏樹良准教授のゼミに所属しました。

課題が多かったので、遅くまで大学に残って作業するということもありました。その中で印象に残っているのは、「CAD(computer aided design:コンピュータを用いた設計)演習」です。“CADでカフェをつくってください。店内インテリアも含めて。”という課題が出て、カフェの建築設計から、テーブルやイスといった細部まで、すべて自分で考えなければならない。なおかつそれをCADで図面にしていく技術も要求され、とても時間がかかって大変だったのを覚えています。もうひとつは卒業制作のキッチンツール提案です。システムキッチンの棚にツールを引っかけることで、レシピ本をスマートに配置できる製品を制作しました。材料はステンレスがメインで、先生に教えてもらいながら溶接まで全部自分で行ったので、大変だった反面、とても充実したモノづくり体験でした。

大好きな文房具の仕事がしたい

入社1年目で開発チーム入りしたキーボード付きメモ製品「ポメラ」
入社1年目で開発チーム入りしたキーボード付きメモ製品「ポメラ」を手に

大学卒業後は、文房具を製造・販売する株式会社キングジムに就職、開発の仕事に携わっています。担当はデジタル文具で、最初はポメラというキーボード付きメモ製品のチームに入りました。そして、社内で「1年目の壁」と呼ばれる取扱説明書の担当になり、苦労しました。

その後、ミルパスというパスワード管理用端末などのサポートや、雑貨関係の開発を経て、スタンドスキャナ「デスクショット」(机に置けるコンパクトなスタンドスキャナ。机の上の書類をスキャンして、データ化できる)という商品で、開発プロジェクトリーダーに抜擢されました。入社3年目の開発プロジェクトリーダーは他の企業に比べると早いのかもしれないですが、キングジムは社歴を問わずに経験を積ませてもらえる環境です。

開発プロジェクトでは当初、“机の上におけるスキャナ”という原案のみで、そこからどういう構造にして、どう形にしていくのかからはじまり、製品化まで約2年間かかりました。男性が好きなデジタルガジェットの製品を女性の私が担当するということや、まだまだ経験が浅い私の指揮で良いものがつくれるのかなど、プロジェクトリーダーとして迷いや葛藤の連続でしたが、上司や先輩に助けていただきながら無事発売することが出来ました。中でも試作品が上がってきた時は本当に感動しましたし、考えていたものが実際に形になる喜びを得ることが出来ました。

2014年6月からはデジタル文具から一度離れ、ノートやファイルの開発の部署へ異動になりました。こちらでは、一からデザインができるので、また新しい視点で挑戦していきたいと思います。

デザインへの“こだわり”を大切に

デザインへのこだわりを大切に

東洋大学で学んだことは、仕事にも役立っています。実作業という部分では、フォトショップやイラストレーターといったPCソフトを使う授業が多かったのですが、これをしっかり覚えたことがアドバンテージになっています。「ソフト使えるんだったら、これお願い!」と、仕事を振ってもらえる材料にもなっています。

また開発業務の中では、上司や会議でのプレゼン時に企画商品のイメージサンプルを作成することもあるのですが、スタイロ(発泡ポリスチレン板)をカットしてスプレーしたりなど抵抗なくつくれるのは、大学時代に工房で作業してきたおかげだと思っています。

そういう意味では、大学時代に授業の課題をクリアすることだけで満足せず、自主学習で工房を利用してもっといろいろなモノをつくっておけばよかったと悔やんでいます。社会人になってはじめて、あの工房がいかに充実した施設だったかということを感じています。仕事でも使わせてもらいたいくらいです。いま学生生活を送っている皆さんには、大学施設をたくさん、有効に使ってください、と伝えたいです。

思い返せば大学時代、柏樹先生が「美しいデザインとは?」という話をよくされていました。柏樹先生のデザインはシンプルなんです。正直、そのときはピンとこない部分も多かったのですが、いざ会社に入って製品開発を担当してみると、自分が求めるデザインにも「シンプル」というキーワードが欠かせません。プロダクトデザインの考え方は、大学で得たものがとても大きいです。

これまで、1つの工業製品のデザインに対して“深く考える”ことや“こだわり”を持つことの基礎を構築してきました。同僚や先輩から「細かすぎる」と言われることもありますが、大学で学んだ「考え方」を大切にしながら、これからも商品開発に携わっていきたいと思います。

プロフィール

望月 真希子(もちづき まきこ)

2011年春ライフデザイン学部 人間環境デザイン学科を卒業。文房具メーカーの株式会社キングジムに就職し、以来、開発本部商品開発部に所属する。これまでは、同社人気商品のテプラやポメラなどに代表されるデジタル文具を担当していたが、2014年6月に一般文具の部署に異動。「自分が一からデザインして、女性向け文具を企画する」というのが、今後の目標のひとつ。