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TOYO people:新任教員インタビュー(社会心理学科 桐生正幸教授)

TOYO people:新任教員インタビュー(社会心理学科 桐生正幸教授)

2014年5月24日更新

事件は社会の負を読み解くキーワード。犯罪心理学の根底にも哲学があります。

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社会学部社会心理学科 桐生 正幸 教授

近年、テレビなどでも取り上げられる機会が増え、一般的に知られるようになってきた犯罪者プロファイリング。これは、犯罪心理学という研究の中で生まれた、難解な事件を読み解く手段のひとつである。

この犯罪心理学を、事件の最前線となる警察機関で探求してきた桐生正幸教授。インタラクティブな講義を念頭に置き、2014年度から本学の教壇に立っている。

現場で学んだ犯罪者プロファイリング

03大学で心理学を専攻していたことから、それが活かされる仕事を求めて公務員の採用試験を受験しました。児童相談所とかに行くのかなと思っていたのですが、よく調べたらこれが警察本部でして…。そして科学捜査研究所、いわゆる科捜研に入りました。

科捜研とは、警察本部に設置されている研究機関で、担当分野には大きくわけて法医学、化学、工学、筆跡鑑定、心理学があります。これらを使って、分析・鑑定業務をするわけです。

私はこの科捜研に20年以上在籍していましたが、私が入所した当初、心理学を使った鑑定業務はポリグラフ検査。簡単に言えば、ウソ発見器を使った心理検査(記憶の検査)です。

その後、犯罪者プロファイリングを使った情報分析が加わってきます。それ以前の犯罪心理学というのは、犯罪者更生に関する研究が主流でしたから、とくに犯罪者プロファイリングが出てきたときには、その手法を現場ですべて学ぶことになりました。

犯罪者プロファイリングは、膨大なデータベースを高度な統計で分析する作業。過去に起こった事件の犯人像や犯行状況などを参考にすることで、未解決事件の犯人の特徴や人物像を推定していきます。また、連続放火魔が生活の拠点としている場所などが、犯行現場の位置関係などを分析した犯罪者プロファイリングによって、推測できることもあります。

いま世間を騒がせているあの事件も!?

犯罪心理学の研究という点では、犯罪の最前線とも言える科捜研は、もっとも適した場所でした。しかし人生は一度きり。別のことも経験してみたくて、9年前から大学で研究を続けています。

現場から離れたことで、まだ世間にはあまり理解されていない犯罪心理学について、伝えやすい環境になった利点があります。新聞やテレビなどマスメディアにおける事件解説、出演も、そんな活動のひとつですね。

東洋大学の講義では、より詳しく犯罪心理学の世界を知ることができます。「犯罪心理学A」などの講義では、なるべく最新の事件を取り上げていきます。基礎的な理論をただ学ぶだけでなく、いま実際に起きている未解決事件も読み解いていきます。もちろん、リクエストがあれば古い事件の解説についても検討します。

今の学生はあまり自分の意見を述べない傾向がありますが、私が目指しているのはインタラクティブな授業です。質問にせよリクエストにせよ、どんどん発言してくれることを望んでいます。

またゼミでは、「キャンパス内と周辺の安全マップづくり」という研究活動も行っています。視点をかえて、キャンパス周辺を調査することで、どこにどのような危険が潜んでいるのかを考えていきます。

そしてこの周辺調査は、防犯について考えるきっかけになるだけでなく、近隣の方々がいるおかげで学生生活が守られていることを知るよい機会となります。社会にコミットするということでも、防犯というテーマは優れたアイテムですね。

 つねに考え、基本と応用を大切に

 東洋大学の柱には「哲学」がありますが、これは犯罪心理学も同じ。世の中のネガティブな部分は、すべて犯罪に表れていますが、事件の根底には、いつも「なぜ人を殺してはいけないのか?」とか「なぜ罪を犯すのか」という問いが必要です。それを考えていかなければ、事件を自分とは別世界の話としてしか、捉えられなくなります。犯罪心理学に限らず、「常に考える」という姿勢が、社会で生きるために必要なことではないでしょうか。

一方で、自分の大学生時代を思い返してみると、現代の学生というのはすごく真面目ですが、もう少しエネルギーを外にだしてもいいのではないかと感じることもあります。講義でメモを取るのは得意でも、自分の意見や質問を話すのは苦手。もっと積極的に、自分の意見を述べるべきだと思います。

そして、大学生活においてもその後に社会人となっても、もっとも大切なのは「基本と応用」。皆さんには、基本としての勉強だけでなく、それを社会で活用していく能力についても身につけてもらいたいと願っています。

プロフィール

桐生 正幸(きりう まさゆき)

桐生 正幸(きりうまさゆき)

山形県警察本部科学捜査研究所主任研究官、2004年、博士(東亜大学・学術)を経て、関西国際大学人間科学部教授。大阪府社会復帰支援専門委員、兵庫県地域安全まちづくり審議委員、日本犯罪心理学会全国理事、日本法科学技術学会評議員、日本応用心理学会理事も務める。2014年より現職。クローズアップ現代やニュース7などの出演、朝日新聞、読売新聞などでの解説多数。