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総合政策学科優秀卒業論文「もしも松田理沙が千葉市長になったら 千葉市の財政危機を考える」

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氏名:松田 理沙
主査教員:中澤 克佳

論文要旨

本論文は、千葉市在住の筆者が「千葉市脱財政危機宣言」を受けて千葉市の財政に興味を持ち、地方財政悪化の要因と千葉市おける状況を丹念に整理し、財政改善のための方策を提言したものである。
まず、序章において筆者に住む千葉市が「脱財政危機宣言」をおこなったことが論文執筆のきっかけであると述べられている政令指定都市であり、プロ野球やJリーグのチームを有する大都市である千葉市の財政状況が非常に悪化していることに驚きを感じた筆者は、千葉市の財政危機の要因を考察し、その解決策を提言することを論文の目的に据えている。
第1章では、千葉市の財政危機に入る前に地方財政全体の動向について整理をおこなっている。バブル経済崩壊以降の経済の低迷は、地方財政にも大きな影響を与えている。1つは地方税収の大幅な減少であり、2つ目は繰り返された経済対策による地方債務の逓増である。また、バブル期に乱立された第3セクターの経営悪化も地方財政に対して大きな負荷を与えていると指摘している。
このような地方財政危機の構造は千葉市にも当てはまる。第2章では千葉市における多額の公共投資による負債の増加や第3セクターの経営悪化を丁寧に提示している。特に第3セクターに関しては、千葉都市モノレールとQVCマリンフィールドの2事業に焦点を当て、詳細な検討を行っている。さらに第3章では千葉市の財政を歳入・歳出・負債の分野に関して整理をおこない、将来的にますます財政が悪化することは避けられないと結論付けている。
以上の議論を受けて、第4章では千葉市財政の将来に関してシミュレーション分析をおこなっている。千葉市が提示している「千葉市財政健全化プラン」をベンチマークとし、それに対して人口の将来推計や経済成長率に一定の(現実的な)仮定を置いた上で、税収と歳出双方に対して2020年を目処にシミュレーションをおこなった結果、生産年齢人口の減少と高齢者の増加によって税収―歳出ギャップは拡大し、健全化プランが想定する市債の抑制は困難であることを数量的に示している。
分析を踏まえ、歳入拡大策としての市税徴収率の向上、歳出抑制策としての予算シーリングを提案している。また、先に示したように千葉市に置いては第3セクターの経営状況が大きな負の要因となっている事から、ガバナンスの強化について提言をおこなっている。

主査講評

松田論文は、千葉市に住む筆者が自分の住む市の財政問題について興味を抱き、その原因について考察し、改善策を提言するという構成になっている。論文の構成に関しては問題意識からはじまり、地方財政全体の問題点の整理、千葉市における問題へ絞り込み、将来シミュレーションから政策提言へという流れになっており、非常に明快である。また、引用や図表の作成、独自のシミュレーション分析など著者によるnet contributionが見られ、学部生の卒業論文としては極めて高いレベルの論文と評価することができる。
方法論や論文構成、体裁に関して優れていることは言うまでもないが、主査として最も評価したいポイントとしては「問題意識の明確さと論理展開」である。「地方の時代」という言葉が盛んに喧伝され、特に基礎的自治体の役割が大きくなってきている。
これは、地域に住む住民(有権者)がより地域の問題に感心と責任を持たねばならないことを意味している。1人の市民として自身が住む地域の政策に興味を持ち、それを経済学に関連した適切な方法論で評価・考察した松田論文は、「経済学部総合政策学科」が輩出する学生の論文としての1つの理想型ではないかと考えている。政策提言の妥当性などについてはまだ検討の余地は大きく、幾つかの課題は残されているが、このような視点・方法論で地域の政策課題を考えた松田論文は、総合政策学科の優秀論文としてふさわしいと高く評価している。

受賞の感想・今後の抱負

大学生活の集大成として取り組んできた卒業論文を評価していただき、大変光栄です。優秀論文のお話を伺った時は、本当に嬉しかったです。あの時の喜びは今も忘れられません。評価してくださった先生方へ心からの感謝の気持ちと御礼を申し上げたく謝辞にかえさせて頂きます。
ただ、私自身は正直「こうしたら…」「ああすれば…」と思う点がいくつかあり、少し悔しさも残る卒業論文でした。特に、私は総合政策学科の学生として、政策論文を作成したいと考えてきました。しかし政策提言の部分はかなり悩み、苦労しました。様々な課題をクリアし、様々なステークホルダーに対応する政策は、理想論になりがちです。実際、私の政策提言では千葉市の全ての課題をカバー出来たとは思っていません。また、政策実行までのプロセスに対する考察や千葉市の課題に関する分析も今回はごく一部しか扱うことが出来ませんでした。しかし、この論文を書いていく中で、市政の厳しさや政策実現の難しさを知ることが出来、とても勉強になりました。
今回この卒業論文を作成し、私の住む千葉市には多くの課題があることを知りました。また、その為の政策を作ること・実行することの難しさなどを考えさせられました。今後も一人の千葉市民として課題や政策に興味を持ち、また有権者として市政に関わっていきたいと思います。そしていつかは、千葉市長になって千葉市を変えたいと思っています。

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