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人間環境デザイン学科デザインレター

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人間環境デザイン学科の最新情報をデザインレターとしてお届けします。
定期的に更新していますので、人間環境デザイン学科を志望する受験生の方は必見です。

過去のデザインレターはこちら

2017年度

Design letter 47  2017年11月20日
大学祭「朝華祭」 生活環境デザインコースの作品展示
助手 谷本裕香子

11月4-5日に朝霞キャンパスの大学祭「朝華祭」が行われました。

朝華祭

私たち生活環境デザインコースでは、学部3年生と繁成研究室による実物大の作品展示を行いました。

まず、学部3年生の展示からご紹介します。学部3年生は「生活環境デザイン演習1B」の授業内で、実験工房内の部屋をインテリアコーディネートするという課題を行い、そのインテリアを朝華祭で展示しました。12人で1部屋(5.4m×3.6m)のインテリアコーディネートを行い、単位空間や動作寸法、家具等に対する理解を深めることを目的としています。制作の過程では、学生同士が意見をぶつけ合う場面や作業分担し、効率良く進める場面、車椅子ユーザーから意見をもらう場面や、壁の仕様を決める際に何通りも試作する場面が見られました。

実際に朝華祭に出展してみて、来場した子供たちが楽しそうに遊ぶ姿や地域の方々が興味深そうに学生に質問している姿に、成果物に対する評価を感じ取れる良い機会になったと思います。

写真子供たちに利用してもらう場面
子供たちに利用してもらう場面  壁に使う板材を検討する場面

来場された親子から質問を受ける場面車椅子ユーザーから意見をもらう場面
来場された親子から質問を受ける場面 車椅子ユーザーから意見をもらう場面

大人が籠もれるスペース
大人が籠もれるスペース

次に、繁成研究室の展示をご紹介します。繁成研究室では強化ダンボールや木材を使った遊具・家具を製作し、現場に提供しています。朝華祭では3点の作品を講義棟に展示しました。地域の子供たちが、部屋が一杯になるくらい訪れ、研究室の学生と共に遊ぶ場面が見られました。


強化ダンボールの作品滑り台中の様子
強化ダンボールの作品     滑り台              中の様子

シナ合板による揺りかご杉材によるブランコ
シナ合板による揺りかご           杉材によるブランコ

両方の展示で共通するのは実物大であること。実物大の作品は実際利用した際に支障のないような構造強度や使う材料における安全性が求められます。

生活環境デザインコースにおいては、実物大を重視し、安全面も確保しつつ、しっかりとした専門知識や技術を身につけられるように指導を行っています。そして何より、利用してくださる方々が求められるものを想像し、何度も試行錯誤しながら制作を進めています。今後もこういった試行錯誤を繰り返し、使い手のニーズを考えた人間中心の設計手法を学んでいってもらえればと考えています。

 

Design letter 46  2017年11月6日
学科主催「デザイン未来塾」
書体をデザインするということ
現在あるモノをよりよりモノへ変えていくプロセス
河野英一氏(タイポグラフィック・デザイナー)講演会

2017年10月17日、人間環境デザイン学科主催「未来塾」の一環として英国、ロンドンからタイポグラフィック・デザイナーの河野英一氏をお招きし講演を行って頂きました。タイポグラフィック・デザインとは、いわゆる書体に重点を置いたグラフィックデザインのことで日本ではエディトリアルデザインなどとも呼ばれます。
河野氏は43年前に渡英し書体デザインを学ばれたあと、英国を拠点に世界のタイポグラフィック・デザインの第一線でご活躍されています。ここではその講演内容をご紹介いたします。

1.ブリティッシュ・テレコム電話帳のリデザイン
1983年ブリティッシュ・テレコムの依頼により電話帳のデザインの見直しを依頼されました。1980年代ブリティッシュ・テレコムは毎年2400万冊 (年間紙使用量27,000トン) の電話帳を生産しており、そのデザインはとても大きな仕事となりました。河野氏が最初に行った作業は今までの電話帳の文字組(文字の大きさや間隔、行間など)を見直すことで、ページ上のレイアウトの無駄を省くことを徹底的行いました。もちろんこれによる可読性の劣化は許されませんでしたのでそのことにも細心の注意が払われました。

 
従来の文字組と見直された文字組の比較(抜粋)従来の文字組と見直された文字組のページ比較(左:従来、右:見直されたもの)
従来の文字組と見直された文字組の比較(抜粋)

従来の文字組と見直された文字組のページ比較(左:従来、右:見直されたもの)

レイアウトの調整だけでは満足のいかなかった河野氏は、書体の変更の提案も行いました。河野氏が新しく採用した書体は「Bell Centennial」と呼ばれているもので、1978年、マシュー・カーター氏がアメリカの電話帳のためにBell研究所(現ATT)からの依頼で製作された書体でした。河野氏はこの「Bell Centennial」書体をブリティッシュ・テレコムの電話帳に採用し自身の新しいレイアウトに適用しました。

「Bell Centennial」を適用したサンプル

 

 


 

「Bell Centennial」を適用したサンプル

最終的に河野氏のデザインした電話帳は、1ページにおいて記載内容によっては最大約25%の節約が可能となることが分かりました。これにより今までより多くの電話番号を記載することができるようになり、さらに驚くことには読みやすさは向上していました。

結果、電話帳自体では約10%の紙の節約となり、年間で100万ポンドのコスト削減に繋がりました。この成果は1989年「Royal Society of Arts Green Products Award」と「BBC Design Award」の受賞にとなりました。


従来の文字組と見直された文字組のページ比較(左:従来、右:見直されたもの)
従来の文字組と見直された文字組のページ比較(左:従来、右:見直されたもの)

2.ロンドン交通局の書体のデザイン

ロンドン交通局は長い間 (歴史上、世界で最も長く成功し続けているコーポレート・アイデンティティーと評されている) そのサイン計画の書体において「Johnston」と呼ばれる書体を使用していました。「Johnston」書体は1916年エドワード・ジョンストン氏 (産業革命以来の19世紀末、印刷文化発展の陰に隠れてしまった欧文書字カリグラフィーの意義と実践を蘇らせたと評価される著名な書字研究家) がロンドン交通局のためにデザインしたものでそれ自体は大変優れた書体 (世界最初のヒューマニスト・サンセリフのデザインと評される) でしたが、文字の太さにはレギュラー(標準的な太さ)とボールド(太文字)がありましたがボールドには大文字しか用意されていなかったため、1979年、一般的な本文も組めるように新たにボールドの小文字のデザインが河野氏に依頼されました。

「Johnston」書体 (オリジナル標本の一例)

当初は「Johnston」書体のボールドの小文字だけのデザインでしたが、デザインを進めて行く内に本文用書体として完成させるためにはボールドとレギュラーの中間のミディアムの必要性に気づきました。「Johnston」書体にはミディアムは存在していなかったため、河野氏は「Johnston」書体のミディアムを全てデザインすることを決意し、それに伴い従来のボールド、レギュラー全てを見直しすることになりました。それは「New Johnston」書体としてロンドン交通局に採用されることになりました。 (例えば、ロンドン地下鉄駅で無料配布されているポケットマップの組版文字サイズは4ポイント (約1.5ミリ前後)、 ニュー・ジョンストン・ミディアムは極小サイズでも可読性良好な利点が評価された結果です。)

 

 

 

河野氏によるデザインのプロセス河野氏による「New Johnston」のデザイン
河野氏によるデザインのプロセス            河野氏による「New Johnston」のデザイン

現在イギリスを旅行する人は河野氏のデザインした「New Johnston」書体を公共交通機関のサイン計画の中に見ることができます。
ロンドン地下鉄路線図
ロンドン地下鉄路線図
URL: https://tfl.gov.uk/maps/track?intcmp=40400

3.マイクロソフトのメイリオ書体のデザイン
画像2002年、マイクロソフト社から次期Windowsのための標準日本語書体のデザインを依頼されました。「MSゴシック」の代わりとなる書体です。マイクロソフト社の要求は横書きで日本語と英語が混在した文章がバランス良く見えること、そしてディスプレイ上で美しく表示されることでした。
当初マイクロソフトは既存の書体の組み合わせで何とかしようと考え、河野氏への依頼はその書体の選定でした。数ヶ月の調査の結果、既存の書体にそれに適合するものはないということが分かり、新しい書体のデザインを行うことが決定されました。
最初の問題はその作業量でした。日本語フォントの文字数は欧文と違いとても多いため、河野氏は台湾、アメリカなどの企業やデザイナーとチームを作り効率的に作業を進めるためのコーディネイトを行いました。この中にはブリティッシュ・テレコム電話帳の時に知り合ったマシュー・カーター氏も含まれていました。カーター氏はすでにマイクロソフトWindowsの標準欧文書体である「Georgia」「Verdana」をデザインをしていたからです。
次に、日本語と英語の混在する文字列を美しく表示するためのデザインの工夫が行われました。日本語と英語ではその構造が全く違うためそのバランスをとることはデザインにおいて最も苦労したとのことでした。
一般的な日本語と英語の混在した文章の中に漢字、ひらがな、カタカナ、英文がどのくらい混在しているかの検証
一般的な日本語と英語の混在した文章の中に漢字、ひらがな、カタカナ、英文がどのくらい混在しているかの検証
もう一つの問題はディスプレイ上で美しく表示することでした。当時ディスプレイの解像度は今ほど高くなく、画数の多い漢字はディスプレイ上で美しく表示することが出来ませんでした。マイクロソフト社はこのためにクリアタイプという技術を持っていましたが。それでも多くの漢字は手作業で調整しなければなりませんでした。締め切りのある中で河野氏のチームは使用頻度の高い文字を優先的にデザインを行い、Windows Vistaのリリース時に搭載されました。

 


クリアタイプの効果(上:クリアタイプ無し、下:クリアタイプ適用)「メイリオ」(上)と「MS ゴシック」(下)の比較
クリアタイプの効果(上:クリアタイプ無し、下:クリアタイプ適用)   「メイリオ」(上)と「MS ゴシック」(下)の比較

現在、私たちはディスプレイで文字を読む機会が増えており、多くの日本人がこの「メイリオ」の恩恵にあずかっています。
なお、書体の名称は当初「メイリョウ」となる予定でしたが、河野氏の提案により (マイクロソフト社の赤緑青黄4色ロゴに効果的に対応する4文字) 「メイリオ」となり名前もよりすっきりしたものになったとのことです。
現在、印刷物やパソコン、スマートフォンなどで文字を読むということは私たちの生活のに欠かせない日常的な行為となっています。タイポグラフィック・デザインは一見すると地味なデザインと思われていますが、その役割はとても重要です。デザインを学ぶ学生には今回の河野氏の講演をきっかけにそれらについて、少しでも意識的になってもらえると幸いです。

河野英一氏のプロフィール
河野英一氏

1941年生まれ。1974年に渡英し1979年、英国王立大学院を卒業。以後英国をはじめ世界のタイポグラフィック・デザインの第一線でご活躍。代表作に、ロンドン地下鉄の書体を本文用に改作。英国電話帳の書体や文字組を可読性を犠牲にせず見直ししページ数10%節減に貢献。近年ではマイクロソフト・ウィンドウズの標準フォント「メイリオ」のデザインを行うなど多くの実績を持つ。

文責:ライフデザイン学部人間環境デザイン学科 准教授 北 真吾

 

Design letter 45  2017年10月10日
2018年度キッズデザイン賞
科学館の仮設授乳室プロジェクト
仲綾子研究室とチームM(乃村工藝社)の共同実施
生活環境デザインコース・准教授 仲 綾子

東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科仲綾子研究室とチームM(乃村工藝社)が共同で実施した科学館の仮設授乳室プロジェクトで2018年度キッズデザイン賞を受賞しました。

http://www.kidsdesignaward.jp/search/detail_171060

授乳室は、デパートやショッピングセンターなどの商業施設や、駅や空港などの旅客施設では設置されている事例が多いのですが、科学館などの公共施設ではそれほど整備されていません。このような背景のなか、ある科学館から「最近、授乳室を利用したいという要望が増えてきたが、現在は授乳室がないので会議室などを提供して利用してもらっている。この状態が続くのは望ましくないので授乳室を設置することを検討している」というお話をいただきました。そこで、この機会にパーティションで仕切られた仮設の授乳室を複数(3室)設置して、利用実態や要望等を調査することとしました(写真1,2,3)。これが仮設授乳室プロジェクトのきっかけです。

 
写真1写真2写真3
写真1写真2写真3

3室の仮設授乳室の設置場所や広さを検討し、ようやく調査を開始できた日のことはいまでも忘れられません。なぜなら、利用者が1人もいなかったからです。その後も、利用者が0~数名という日が続き、もう諦めようかとも思いましたが、チームのメンバーとともに当初1か月間の予定だった調査期間を2か月間に延長して地道にデータを収集して分析しました。その結果、利用が少ないように見えますが、利用率(全入館者数に対する授乳室利用者数の割合)を考えると、商業施設と比較してもけっして利用が少ないわけではないことが明らかとなりました。さらに、授乳室があることによって来館回数が増えるという結果も示されました。また、利用頻度を決定づける要素としては、アクセスしやすさ、面積、明るさなどが影響することがわかりました。この結果をもとに常設の授乳室をデザインしました(写真4、5)。

 
写真4写真5
写真4写真5

このプロジェクトの特徴は2つあります。ひとつは、「学生の力」です。行動観察調査は本学科の1~4年生が行いました。そして、調査結果を分析して報告書にまとめるにあたっては、プロジェクトリーダーである仲研究室所属の小林優里さん(2016年度卒)を中心とした学生の瑞々しい視点が大きく貢献しました。もうひとつは、「産官学の協働」です。乃村工藝社のチームMは、子育て中のママたちのチームです。対象とした科学館は公共が運営する施設です。産(乃村工藝社)・官(科学館)・学(東洋大学)の協働により、これまでにあまりみられないユニークなリサーチプロセスを経て授乳室が誕生しました。
2017年度のキッズデザイン賞の受賞は、このような「学生の力」と「産官学の協働」の成果だと感謝しています。

小林優里さん(2016年度卒)からのコメント:
まず、このような賞をいただけたこと、そしてこのプロジェクトに携われたことを心から誇りに思います。私は本校を卒業いたしましたが、学生時代に企業様との共同研究に携われたことは社会人になった今、とても活きています。何かを達成にするにあたり、どのようにしてモノコトが作られていくのか、上手くいかないときはどうやって対処していくのかを本物の社会経験を通して体験できたことが本当に貴重な経験だったと強く思います。そのような機会を与えてくださった仲先生をはじめ乃村工藝社チームMの皆様に心から感謝申し上げます。今何かをはじめたい、興味があると感じている学生の皆さんには是非、自発的に活動してほしいと思います。人間環境デザイン学科には学生の力を格段に伸ばす素晴らしい先生方がたくさんいらっしゃいます。先生方に頼ることも時には必要ですが、それだけでなく、自分から強く歩み出す心を持って在校生の皆さんがさらに良い物作りに携われることを心から願っています。

*本調査・分析の一部は「平成27年度東洋大学井上円了記念研究助成」より行われました。

 

Design letter 44  2017年9月22日
北方工業大学訪問(北京) 2017.09.11〜2017.09.14
空間デザインコース・教授 内田 祥士

9月11日から14日にかけて、学生と共に中国へ行ってきました。今年は、北京の北方工業大学の建築芸術学部と東洋大学ライフデザイン学部との交流の一環です。今年は、2回の相互交流を計画しており、今回の訪問では、北方工業大学の講評室で、双方の学生が演習課題についてのプレゼンテーションを行い、相手方の教員が、出題意図を含めて質疑応答を行いました。写真は、講評会に先立って行われた学科紹介での高橋先生の学科説明の様子です。

写真

この後、両大学の学生が、自分の作品のプレゼンテーションを行い、質疑応答となりました。今回の講評会は、北方工業大学の学生の課題と、当学科の課題との間に関連はなく、それぞれ独立した内容の課題であったため、課題の内容や趣旨を理解するのに少し時間が必要でしたが、概ね同じ学年であり、試行錯誤の経緯や、図面表現のレベル等、相互に得るところの大きな講評会となりました。

講評会の印象としては、北方工業大学の学生のプレゼンテーションが、極めて積極的であったのに対して、当学科の学生の発表は、極めて控えめであったという相違が際立ちました。北方工業大学先生からは、作品の最も魅力的な部分の説明を、敢えて避けている様に見えるとの指摘がありました。勿論、その通りだと思いました。しかし、最も魅力的な部分の説明を控えてはいないかという指摘は、学生には、よい刺激になったようでした。左の写真は、その控え目な説明の一場面です。

説明の一場面銭先生による敷地説明の様子

講評の後、銭先生から、北方工業大学側の秋の課題についての説明がありました。右の写真は、銭先生による敷地説明の様子です。秋の課題は、どちらも高齢者施設の設計課題ということになっており、北方工業大学側は、北京市街の歴史的町並みの中に立つホテルの敷地を再開発して、地域に根ざした高齢者施設を計画するという課題とのことでした。この講義の後、両方の学生と教員で、大柵欄通りの課題敷地と周囲の歴史的街並みや建造物群を見に行きました。

若手建築家のよるリノベーション作品

この写真は、その一画にある、若手建築家によるリノベーション作品です。

 

Design letter 43  8月28日
TMGあさか医療センター ホスピタルアートプロジェクト
生活環境デザインコース・准教授 仲綾子

朝霞キャンパスの近くで建設中のTMGあさか医療センター(現、朝霞台中央総合病院)から「ホスピタルアートを東洋大学の学生と制作したい」というお話が2016年12月にありました。参加希望者を募り、40人の学生がホスピタルアートプロジェクトのコアスタッフとして活動することになりました。本プロジェクトを統括するのは、グラフィックデザイナーの島津勝弘さんです。
プロジェクトの流れは、以下のとおりです。

①島津さんのレクチャー:「医療の現場に、楽しくデザインを仕掛ける」と題して、ホスピタルアートを中心にデザインの仕事について講義していただきました(Photo1)

島津勝弘さんのレクチャー
Photo1:島津勝弘さんのレクチャー

②プレゼンテーション:けやきの原木をアートのメイン素材として使用して「朝霞の景色の記憶」を感じられるようなデザインをテーマに、コアスタッフ一人一人から提案してもらいました(Photo2)。多くの提案のなかから、渡邉暁子さん、庄綾乃さん、川村音々さんの作品が選ばれました。これら3人のほかにも優れた提案が多かったため、さらに6人のデザインを中待合に設置することとなりました。

プレゼンテーションの様子プレゼンテーションの様子プレゼンテーションの様子
Photo2:プレゼンテーションの様子

③現場見学会:実際にホスピタルアートが設置される空間を見学しました(Photo 3)。建設中の現場を拝見する貴重な経験となりました。

現場見学会の様子現場見学会の様子現場見学会の様子
Photo 3:現場見学会の様子

④コアスタッフミーティング:具体的な素材やサイズ、ワークショップの実施方法などについて、何度も打合せしました(Photo 4)。

コアスタッフミーティングコアスタッフミーティングコアスタッフミーティング
Photo 4:コアスタッフミーティング

⑤制作ワークショップ:8月2,3,5日の3日間にわたり、朝霞台中央病院の方々、現場の職人さんとそのご家族、東洋大学ライフデザイン学部の学生、総勢400人程度が制作ワークショップに参加しました(Photo 5,6)。

制作ワークショップ制作ワークショップ制作ワークショップ
制作ワークショップ制作ワークショップ制作ワークショップ
photo 5:制作ワークショップ

参加者と記念撮影
photo 6:参加者と記念撮影(8月5日午前のワークショップ)

本学の学生たちが参画したホスピタルアートは、これからずっと病院に設置されます。ホスピタルアートを見た患者さんたちがすこしリラックスしたり、リフレッシュしたりできれば、デザインに関わった者にとっては大きな喜びです。学生のうちにこのような経験ができたことは彼らにとって大きな宝となるでしょう。このように人間環境デザイン学科では、実際のプロジェクトとして社会に貢献する機会があります。興味のある方はぜひここでともにデザインを学びませんか。

なお、TMGあさか医療センターは、2018年1月にオープンします。中待合に設置する作品を含めて、ホスピタルアートが完成した姿について、その頃またお披露目したいと思います。どうぞご期待ください。

渡邉暁子さん(人間環境デザイン学科・3年)からのコメント:
今回このプロジェクトに参加し、デザインからワークショップまで、とても貴重な体験ができました。想像以上に難しく、うまくいかないことがほとんどでしたが、それもまた良い経験になったと感じています。私が担当したアートは病院の方を対象にワークショップを行い、ケヤキをイメージしたアートになっています。病院の方の想いが詰まったアートをぜひ病院を訪れる方に見て欲しいと思います。

庄綾乃さん(人間環境デザイン学科・4年)からのコメント:
病院のテーマを取り入れたり、機能性を考えながらデザイン決めを進めていくことは大変でしたが、現場見学やワークショップを通して、病院の方々の想いを肌で感じ、このプロジェクトに関われたことをとても誇りに思います。たくさんの方と一緒に作り上げたこのアートから、コミュニケーションや元気、モチベーションへと繋がることを願っています。

川村音々さん(人間環境デザイン学科・3年)からのコメント:
アートワークの作業後に、『このアートはきっとホスピタルアートという意味で、どこかで社会の役に立つ 』とのお言葉をいただきました。私の作品として今後長年病院に飾られることはとても誇らしく、デザインやものづくりで社会貢献ができるのだ、ということを身をもって体験しました。作成にあたり、常にアドバイスと応援をくださった学科関係の皆さま、当日アートワークに参加してくれた方々も本当にありがとうございました。

 

Design letter 42  2017年7月12日
特別講義「現代日本における供養の物質文化とデザイン」
メルボルン大学人文科学大学院社会政治学科人類学専攻 ハンナ・グールド氏
助教 瓜生 大輔

6/5ワークショップ
去る6月5日(月)にオーストラリア・メルボルン大学の人類学者ハンナ・グールドさんによる「現代日本における供養の物質文化とデザイン」と題した特別講義を行いました。同氏は、メルボルン大学人文科学大学院社会政治学科人類学専攻と人間環境デザイン学科との相互協定に基づく外国研究者として東洋大学を訪問し、日本国内での調査を行っています。

グルートさん特別講義

グールドさんの研究は、現代日本における死者とのつながりを形成・維持するための物質文化、いわゆる「モノ」の役割を明らかにすることを目的としています。特に、仏壇の現在と未来に注目し、仏壇の伝統と仏壇業界に関わる職人、販売店、僧侶、仏壇の使用者、仏壇に代わる新しい供養のためのモノを求めている人などを詳しく調査しています。

日本には、仏壇をはじめとする供養のかたちの歴史と伝統があります。しかし、現在の日本社会には新しい供養品のデザインが求められていると、グールドさんは主張します。核家族化、無宗教化、居住空間の洋式化などにより、伝統的な唐木仏壇や金仏壇を家に置きたくない人が増え、簡素化・小型化が進みました。今日では仏壇というモノそのものの将来性が危ぶまれています。しかし、仏壇が売れなないからといって、人々が「誰かを供養したい気持ち」がなくなっているわけではありません。

本特別講義では、すでに販売されている新しい供養のためのデザインを紹介しながら、新しい供養のための商品をデザインする必要性を説き、「現代生活における『誰かを供養したい人々の気持ちに応えるデザイン』とは何か」というテーマについて学生たちと一緒に話し合いました。

Design letter 41  2017年6月22日
人間環境デザイン基礎演習III
住宅設計講評会
プロダクトデザインコース・准教授 柏樹良

人間環境デザイン学科は、あらゆる人々が幸せに生活していける環境をいかにデザインするか、そんな仕事に関わる次世代の人材を育成することを目標にしています。

といっても社会に出ると、それぞれ専門分野のある業界に分かれていくことになります。
しかし、これからの時代は、人間が生活していく環境に関して、幅広く理解できる人材が必要だと私たちは考えています。
つまり、業界の都合ではなく、主役である生活する人を第一に考えていくことが重要なのです。

私たちの学科では、デザイン活動に必要な技術の修得は、主に1年生から4年生までの必修の演習授業で身につけることになりますが、特に1年生と2年生の演習では、それぞれ人間の生活していく環境に関する、あらゆる分野のデザインに触れることを目指してカリキュラムが設計されています。

その中でも人間環境デザイン基礎演習III(2年生春学期)は、照明器具のデザイン、住宅のデザイン、リノベーション計画というような従来ならプロダクトデザイン、建築、福祉住環境といった別々の分野として捉えられる課題を15週に渡り学年一斉に取り組んでいる非常に特徴的な演習です。

つまりこの演習では、担当教員も、従来ならそれぞれプロダクトデザイン学科、建築学科、住居学科といった別々の学科に所属している専門家が一同に集まり、一緒に演習を運営することになります。一学年一斉に取り組みますので、専任教員が各コースから計3名、各専門分野の実務家から非常勤講師が6名、実習担当の助手3名、上級生のアシスタントが3名という充実した教育体制を誇っています。

学生達は常にプロダクトデザイン、建築、福祉住環境といった分野を横断しながら、技術の修得と同時に、人の生活のことを考え、その環境をどのようにデザインすれば良いか、それぞれの人々の幸せにつながるのか、演習をとおして考えを深めていくことになります。

写真はこの人間環境デザイン基礎演習Ⅲのなかで、先日演習10週目に行われた、住宅設計の講評会の様子です。
学年全員が取り組んだ百数十軒の住宅が一斉に並び、プロダクトデザイナー、建築家、インテリアスタイリスト、建築計画の専門家など、多岐にわたる分野の教員から講評を受けます。時には教員の専門分野の違いから、視点や意見の違いなども提示され、人の生活に対する考え方の共通性や多様性に触れることになります。

このように、人間環境デザイン学科の学生達は、人間の生活する環境について幅広く学び、技術を修得しながら、自分の興味や得意不得意を見極めていきます。そして、3年生からのコース選択に備え、自らの進路を確実なものにしていく事ができるようになっているのです。

講評会の様子講評会の様子

Design letter 40  2017年6月2・3日
生活環境デザインコース合宿2017報告
楽しくボッチャ!
生活環境デザインコース・教授 川内美彦

人間環境デザイン学科では2年生まで基礎的なことを学んだあと、3年生になって空間デザインコース、生活環境デザインコース、プロダクトデザインコースに分かれて、より専門的な学びを深めます。
各コースでは、それぞれに所属することになった3年生が、教員、学生を含めた相互の親睦を深めるとともに、夏休み前に行われるゼミの選択に向けて各教員の活動内容を学ぶための合宿を行います。

 
全員集合ボッチャ大会

写真1:全員集合

写真2:ボッチャ大会


生活環境デザインコースは6月2・3日にこのコース合宿を行いましたが、そこでパラリンピックの正式種目であり、リオでは日本チームが銀メダルを獲得したボッチャに取り組みました。
ボッチャは、ジャックボールと呼ばれる目標球に向かって、赤、青両チームがボールを投げあい、どれだけ近いかを競い合う、カーリングに似た競技です。もともと重度な障害のある人ができる競技として行われてきていますが、そのおかげで、障害の有無、男女、道具の良し悪しにとらわれない、極めて幅広い人が共に楽しめるスポーツです。

 
制作開始熱心に制作

写真3:制作開始

写真4:熱心に制作

2日の夜はボッチャ大会を開きました。合宿に行くまでボッチャのことについて、名前さえも知らない学生がいたほどでしたが、自分のチームが劣勢なとき、目標となるジャックボールそのものに強い球を当てて動かし、形勢逆転を試みるちゃぶ台返しのようなショットも飛び出し、シンプルなルールでありながら皆が平等に参加でき、大いに楽しむことができました。

 
完成しました試し投げ

写真5:完成しました

写真6:試し投げ

翌3日は、障害が重度で自分ではボールを投げることができない人が用いる、ボールを転がす坂道(ランプ)を強化ダンボールで作りました。制作時間が限られている中で、各チームが独創性にあふれた作品を完成させました。

ボッチャは正確にボールを投げることはもちろんですが、自分のチームの6個の持ち玉をどこにどう配置して、相手を妨害しつつ得点するかの、頭脳戦でもあり、相手との駆け引きも含めた奥深いスポーツです。今後も折に触れてボッチャに親しむ機会を作り出せたらと考えています。

Design letter 39 2017年5月1314日
2017
年度 プロダクトデザインコース合宿 
プロダクトデザインコース・実習指導助手 菊池沙美

人間環境デザイン学科では、毎年3年次のコース分けが行われた後、過ごしやすいこの時期に、コースごとのデザイン合宿を行っています。各コース、教員が合宿内容を考え、60人ほどの学生と共に、コースでの学びをするきっかけを掴むことやコースメンバー同士の親睦を目的としています。

プロダクトデザインコースでは毎年、河口湖にある大学のセミナーハウスに出向き、普段の授業ではできないような演習課題を行っています。
今回は『スマートフォンを音源として、ゆたかな音量のスピーカーをつくる』というテーマ。
スマートフォン内蔵スピーカーから出る音を、電源を使わずして音量を大きく、音質をゆたかにするハウジングの制作を行いました。

7~8人のグループになり各グループ、デザインの異なる3つのスピーカーを制作しました。各個人が制作に関わり、同時にグループワークも学ぶ目的です。
材料は大学から持参し、スチレンボードやケント紙、ダンボールなど馴染みのある材料を使います。
まずは色々な材料のカタチを変え、スマートフォンにあてたり壁を作ったりして音質の変化を探りました。

写真写真

夜も深まってくると徐々にカタチになってきます。

写真写真

そしてできてきたスピーカーの音量を計測して微調整を行います。
こうすればもっと音を響かせられるのではないか?と何度も模索しながら最終的なデザインに決定します。

2日目はプレゼンテーションとして競技会を行い、グループ対抗戦で音量を計測し、最大ピーク値を測り競い合いました。教員によるデザイン評価も加点され、表彰式と講評が行われました。

写真写真

写真

このような合宿形式の濃密な演習は、学生同士のアイスブレイクになります。一緒にご飯を食べて一緒にお風呂に入ることで仲良くなり、仲間にデザインの相談もしやすくなります。

今回のスピーカーの課題でも仲間と一緒に、検討しながら制作する姿が印象的でした。学生からも楽しかった!もっとやって!という声が聞こえ、充実した合宿となりました。今後もデザインで試行錯誤することは楽しい!と感じてもらえるようなテーマで続けていきます。

Design letter 38 2017年4月15日
2017年度 新入生歓迎イベント 「スイハニング」in秋ヶ瀬公園
プロダクトデザインコース・准教授 柏樹良

人間環境デザイン学科では、毎年4月に新入生歓迎イベントを行っています。毎年、新入生の学年を担任する教員が趣向を凝らした企画をたて、ガイダンスや演習などとはまた違った和やかな雰囲気で新入生を歓迎し、協力してくれる上級生とともに、一緒に楽しい時間を過ごすことを目指しています。

新入生歓迎

今年は4月15日に埼玉県の秋ヶ瀬公園にて、羽釜と薪を使ってコメを炊き、塩むすびをつくって食べる、という炊飯講習会(スイハニング)を開催しました。
スイハニング講師は静岡の安東米店(アンコメ)の店主、長坂潔曉さん。大学ではデザイン学科を卒業し、その後コメの魅力に取り憑かれ、「田圃から茶盌まで」をキーワードに炊飯をライフワークとして取り組まれる、五つ星お米マイスター、スペシャリストです。
秋ヶ瀬公園のバーベキューエリアに羽釜とかまどを20台並べ、薪に火をつけて時間をかけて浸水など準備したコメを炊き上げます。

かまど


最初は広大な秋ヶ瀬公園を移動して歩き疲れたのか、これから何が起こるのか半信半疑だった新入生達も、かまどに火が入り、徐々に蒸気が出てくるとだんだんテンションが上ってきます。

写真写真

火を消した後、蒸らしの完了を待ってから羽釜の蓋を取る頃には、自分たちで艶々に炊き上げた美味しそうなコメの出来栄えに歓声が。何種類かの塩を使いながら、自分たちで握った塩むすびを頬張る頃には、皆、笑顔が絶えないいい雰囲気に。

写真写真

準備段階では少し多すぎるかもと心配しましたが、20台の羽釜のコメが殆どきれいに食べつくされました。

かまどで炊き上がったコメかまど完食

最後は講師の長坂さんから、今後はスイハニストとして美味しいお米を炊いてください、とのお言葉をいただいて、解散となりました。

毎年恒例の新入生歓迎イベントは、新入生が教員や上級生との距離を縮め、一気に学科の仲間入りをする絶好の機会です。

おにぎりおにぎりと新入生

人間環境デザイン学科は、学生たちから「教員と学生の距離が近い」とよく言われています。今後もこの雰囲気を大切に、趣向を凝らして新入生を歓迎しようと考えています。

集合写真

(文責と写真:人間環境デザイン学科 柏樹)

2016年度

Design letter 37 2017年3月27日
2016年度 卒業制作選集

卒業制作選集

人間環境デザイン学科では毎年、卒業生の制作や研究の中から優秀な作品を選定し、卒業制作選集を発行しています。今回のデザインレターでは、その卒業制作選集がどのようにして出来ているのかを簡単にご紹介いたします。
一般的に本が完成するまでには幾つかの過程があります。先ず、内容と編集の方針を決めます。これについては例年発行している卒業制作選集ですのでそれに従います。この段階で編集責任者とエディトリアルデザイナー、印刷会社を決めなければなりません。
2016年度は、編集責任者は当学科の専任教員が行い、エディトリアルデザインには株式会社オーラム、カメラマンは田中慶氏、印刷会社は株式会社教文堂が行うこととなりました。

 
関係者による最初の打ち合わせ風景

関係者による最初の打ち合わせ風景

その後、本の完成に向けて関係者が力を合わせて進めて行くわけですが、ここでは特にエディトリアルデザイナー(以下デザイナー)の役割についてお話したいと思います。

本学の卒業制作選集の構成は学生の作品写真やその説明文書、また研究であれば論文がその主たる要素となります。

デザイナーはそれらの情報を全て集約して紙面に構成しなければなりません。中でも大切で最初に行わなければならないことは、本のデザインテイスト(雰囲気)を決めることです。特に表紙は本の顔となるので、デザイナーから3つのアイデアが提案されました。編集責任者との議論の結果2016年度の表紙デザインにはヴィベールPという起毛したような特殊な紙を使用することに決まりました。

 
デザイナーから提案された3つの表紙アイデア。真ん中が決定案。

デザイナーから提案された3つの表紙アイデア。真ん中が決定案。

デザイナーのもう一つの仕事は、作品写真の撮影です。撮影はデザイナーが行うのではなくプロのカメラマンが行います。デザイナーは編集内容に適したカメラマンの手配をして学生の作品写真を撮ります。本年度は36点ありました。デザイナーは全ての撮影に携わり、カメラマンと協力して、構図や背景の色などを決めますが、作品を制作した学生も自分の撮影に立ち会うので作者の制作意図もその決定に影響を与えます。撮影は2日間、本学の実験工房にて行われますが、撮り直しはできないので慎重に行われます。

 
アートディレクター、カメラマンと学生の打ち合わせ 

 アートディレクター、カメラマンと学生の打ち合わせ

 
編集前の撮影された写真編集前の撮影された写真

編集前の撮影された写真

 

全ての構成要素が集まったら、それらを紙面にレイアウトします。これはイラストレイターというコンピュータのソフトを使って行われますが、各ページを気ままにレイアウトしていたのでは全体の統一感が無くなるのでページの内容によって配置の計画を厳密に決めておきます。この作業が最も大変なところで、時間もかかる作業となります。

レイアウトデザインには配置以外にも、使用される書体(フォント)の選定や写真の色の調整など細かな作業があります。

 
レイアウトされた実際のページ

 レイアウトされた実際のページ

レイアウトが終わった段階で文字や写真が適当かについて関係者がチェックを行い、間違いを訂正していきますが、このことを校正といい、2回から3回行われます。

 
文字校正はこのように赤ペンで行われます。

 文字校正はこのように赤ペンで行われます。

クリップ留め
校正が終了した段階で最終の原稿が出来上がります。まだ製本されていないのでクリップで留まっています。

全ての校正が終了したら、それを印刷会社に送ります。このデータのことを版下と言います。本学の卒制作選集についてはその後印刷会社から色校正用の印刷物を頂き、最後の校正を行い、やっと印刷に入ることができます。

最後に、指定の期日に大学に納品され卒業式当日に卒業生の手元に届きます。

 
納品された2016年度卒業制作選集

 納品された2016年度卒業制作選集

ここでは卒業制作選集が出来上がるまでをエディトリアルデザインの役割を中心に紹介いたしました。当然ですが、上記以外の多くの方々の協力によってこの卒業制作選集はできあがりました。この場を借りてお礼いたします。

またこのデザインレターを読んだ方には卒業制作選集ができるまでのデザイナーの役割を少しでも理解でしていただければ幸いです。

2016年度「卒業制作選集」編集長:北 真吾
(プロダクトデザインコース・准教授)

Design letter 36 2017年3月21日
学生主催の椅子デザインコンペ
プロダクトデザインコース・准教授 柏樹良

人間環境デザイン学科では新しい試みとして、今年度から学生主催の椅子デザインコンペの後援を始めました。これは学生が主催する人間環境デザイン学科及び大学院の人間環境デザイン学専攻の学生に向けたデザインコンペで、自由応募形式で行われるものです。

1

応募者は各自椅子をデザインし、1/5のスケールモデルとプレゼンテーションパネルを提出。これをもとに、学科の教員が審査員を務め、応募者による公開プレゼンテーションと審査員による公開審査を行い、上位2点を選出します。その2点は学科の後援のもと、国内有数の工房にてプロの手によって原寸大のプロトタイプを試作するというものです。

去る10月12日に、公開プレゼンテーション及び公開審議が行われ、応募された十数点の力作の中から優秀作品2点が選ばれました。

写真

10月26日にその応募者が、試作を快くお引き受け下さった「株式会社ミネルバ」を訪問し、製作図をもとに打ち合わせを行いながら素材や細かい仕様などの詳細を決め込みました。

写真写真

数か月を経て納品された試作は、プロの手による完成度の高いもので、学生達にとってはとてもいい経験となりました。参加した学生は来年度に向けて新たな挑戦を誓い、学科としても毎年繰り返すことで、回を重ねて年々作品のクオリティが向上していくことを期待しています。

 

Design letter 35 2017年2月18日
人間環境デザイン専攻 修士論文(課題研究)審査会無事終了!

去る1月28日、平成28年度の修士論文の最終審査会が行われた。今年度は4名全員が「課題研究」で、研究発想、プロセス、最終作品ともいずれも力作であった。修士論文(課題)では、テーマ発想、地道な事例研究と分析、さらにテーマをかたちに具現化するデザイン力が求められる(写真1)。
写真1  審査会での発表の様子
写真1  審査会での発表の様子

有澤君(内田祥士研)は「情報空間試行」と題してSNSがもたらす時空を仮想住居として提案した。具体的には、ツイッターが飛び交う情報空間を共同住宅としてイメージし、居住者が相互に交差し合う大小さまざまでユニークな規模、形状の住空間を提案した(写真2)。
写真2 有澤くんの作品『研究テーマ:情報空間試行』
写真2 有澤くんの作品 『研究テーマ:情報空間試行』

根本君(櫻井義夫研)は、建築家村野藤吾に魅せられ、氏を代表する多くの作品検証から曲線、曲面を中心とする「村野スケール」を独自に考案した。さらに糸魚川市に立地する谷村美術館(村野藤吾設計)に隣接する土地に、その考案した「村野スケール」を応用して村野美術館を計画した。設計案は村野藤吾のデザインを凝縮させ、エスニック調の不思議な宗教観が漂う作品として仕上げている(写真3)。
写真3 根本君の作品『研究テーマ:村野藤吾の建築作品における”身体を包み込むような空間”に関する空間構成法の研究』
写真3 根本君の作品 『研究テーマ:村野藤吾の建築作品における”身体を包み込むような空間”に関する空間構成法の研究』

村田君(櫻井義夫研)は、建築や都市空間に存在する「線」が空間づくりに強く影響している実態を捉え、「線」がもたらすデザインと可能性を追求する。設計提案としては都心下町・谷根千地区のやはり「線」で仕切られた3つの敷地を想定し、戸建て住宅、共同住宅をテーマに、線及び線が形作る面の構成、街のデザインの統一性と多様性を住宅設計で考察した(写真4)。写真4 村田君の作品『研究テーマ:「線」を基本にした空間構成に関する研究』
写真4 村田君の作品 『研究テーマ:「線」を基本にした空間構成に関する研究』

石塚君(櫻井義夫研)は、ル・コルビジェの建築に差し込む光の空間的効果と魅力から、ロマネスク教会の開口部の形状を徹底分析する。課題作品では、光を有効に活用する教会群研究の成果として、「人が集まる」機能をもう一つのテーマとして捉え、「集会所」「ギャラリー」「住宅」を用途する建築設計を行い、様々開口部の形状がもたらす光効果を演出した(写真5)。写真5 石塚君の作品『研究テーマ:ル・コルビジェの建築作品の開口部における光の研究』
写真5 石塚君の作品 『研究テーマ:ル・コルビジェの建築作品の開口部における光の研究』

記録:髙橋儀平(人間環境デザイン専攻・教授)

Design letter 34 2017年2月6日
卒業制作 優秀作品展 2 月15 日(水)~ 17 日(金)

2016 年度卒業制作の優秀作品を以下の日程で展示公開いたします。都市・建築・支援機器・プロダクトデザインなど、各分野の作品を展示すると同時に卒業研究の成果も公開いたします。

日時

平成29 年2 月15 日(水)~ 17 日(金)
15 日 12:00 ~ 19:00
16 日 9:00 ~ 19:00
17 日 9:00 ~ 14:30

※入場無料

場所

自由学園明日館

〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-31-3

http://www.jiyu.jp/kanren/contact.html

お問合せ

東洋大学ライフデザイン学部 人間環境デザイン学科

担当教員:仲 綾子

E-mail : naka@toyo.jp

〒351-8510 埼玉県朝霞市岡 48-1

URL : http://www.toyo.ac.jp/site/dhed/

卒業制作優秀作品展ポスター

Design letter 33 2017年1月23日
弔いのデザイン
助教 瓜生大輔

このタイトル「弔い<とむらい>のデザイン」からみなさん何を連想するでしょうか。墓とか仏壇といった物、あるいは葬儀や法事といった儀式を思い浮かべる人もいるでしょう。詳しい人なら、骨壷とか棺、仏具や線香、焼香……といった具体的なプロダクトをイメージできるかもしれません。

これらのどれもが弔いに関係しますが、そもそも弔うとはどういう意味でしょうか。三省堂 大辞林によれば、「1. 人の死を悲しみいたむ。弔問する。 2. 死者のために葬儀・供養・法要を営む。」と定義されています。「弔う」とは動詞であり行為を表す言葉ですが、墓とか仏壇といったプロダクトは名詞であり「弔いを助ける物」です。

一般的に、デザインにおける主役は、建築であり空間であれプロダクトであり、物です。しかし、これらの物が人々に与える経験や、どのような行為・行動のために必要なのかについて考えることも、デザインに携わる者に与えられた重要な使命です。とりわけ弔いのデザインにおける物と経験の関係は一筋縄にはいきません。

たとえば仏壇。仏壇は当然仏教のための道具なので、各宗派の御本尊をあらわす仏像や掛け軸が安置されます。これに加え、亡くなった先祖・家族の戒名が書かれた位牌も収納されます。しかし、仏壇の売上は年々下降しています。モダンなインテリアデザインには伝統的な仏壇のスタイルはそぐわず、とりわけ都市部の限られた住宅スペースには大きな仏壇を置くスペースがありません。そして、多くの人は、亡くなった身内に対する供養の思いから仏壇を購入するのであり、仏教への信仰心そのものは薄れてきているのです。

このような変化を背景に、仏壇に代わり注目されているのが「手元供養」と呼ばれる方法です。これは、故人の遺骨(遺灰)の一部を小さな容器に納めて家庭の中で保管し、遺影などとともに飾り、供養をするという方法です。手元供養専用の容器とうたった商品がたくさん販売されていますが、言ってしまえばただの小さな小物入れです。仏壇に比べるとあまりにシンプルな方法ですが、「いつも故人がそばに居るような感覚」が支持されているようです。

手元供養品として販売されている遺灰収納用容器の例
手元供養品として販売されている遺灰収納用容器の例

大阪市の3Dフィギュア作成会社ロイスエンタテインメントでは、子供を事故で亡くした遺族から依頼を受けたことをきっかけに、「遺フィギュア」制作サービスを開始しました。1枚の写真からデザイナーが1体1体モデリングし、3Dプリンターを用いて造形されます。完全特注品のため高額な費用がかかるにもかかわらず、2016年現在、年間約50件にもおよぶ依頼があるそうです。さらに、遺フィギュア制作を依頼した人からの要望で、遺骨を収めるカプセルが入る仕組みも開発され手元供養品としても使用可能です。

遺フィギュアの例
左:「遺フィギュア」の例 右:遺灰カプセルも収納可能

私はこのような弔いのデザインについて研究をしていますが、プロダクトが人々に与える経験と社会における慣習の変化、遺フィギュアのようなデザインにまつわる先端技術の利用など、デザインの視点から見ても非常に興味深いことばかりです。墓や仏壇の未来の姿を提案するのもまたデザインの仕事なのです。

 

Design letter 32 2016年12月5日
1+1+1+…=∞
−川越ライトアップモニュメントへの制作提案を通じて−
生活環境デザインコース・教授 水村容子

生活環境デザインコース3年生の演習「生活環境デザイン演習ⅠB」において、11月5日・6日に開催された小江戸川越ライトアップ2016「川越食と音と灯りの融合Kawagoe REMIX」(http://kawagoe-lightup.info/)にライトアップモニュメントを制作提案しました。このイベントへの制作提案は人間環境デザイン学科からは今年で4年目であり、当初2年間は自主活動でしたが、地域や地元組織との連携、美しい景観を有する川越一番街の街並みとのコラボレーションなどプロジェクト性が強いことから、昨年度からは授業の一環として作品提案を行っています。
作品提案1作品提案2

学生の皆さんは、日本の社会で教育を受けるにあたり、答えのある問いに対して「正解を導き出す方法を習得する」あるいはその「正解を暗記する」というのが「学ぶ」ことであると捉えている方が多いのではないでしょうか?しかしながら、世の中を見ると「正解」が存在することの方がむしろ少ないのです。自分自身の頭で考え葛藤することを通じて、答えを導き出すというプロセスこそが「本当の学び」に繋がります。
作品性作中の学生屋外で作業中の学生

今年のライトアップモニュメントの作成では、川越一番街の中で最も大規模な敷地である「鍛冶町広場」が我々のチームに任されました。イベントのテーマ、周辺の景観への配慮、様々な観点からの安全性の確保は求められるもののそれ以外は全く自由、正に「正解の無い問い」の答えを出さなければならないという課題でした。広大な敷地を単一作品で埋め尽くすことが困難であることから、当初、学生を複数チームに分割し作業を進めることにしました。実際のとりまとめのプロセスは以下の通りです。
モニュメント製作中ライトアップ
①夏期期間中における各自の敷地見学・デザイン提案の検討、②各チームでのデザイン提案の検討、③各チームによるプレゼンテーション、④コンペ方式により4案へ絞り込み、⑤学生チームを4チームに再編成、デザイン案の再検討、⑥ライトアップの材料・施工方法の検討、⑦敷地全体のマスタープランの検討、⑧学科の工房での試作検討、⑨部分的な施工を学科の実験工房で開始、⑩鍛冶町広場での現場施工、そして、ライトアップモニュメントの点灯およびイベント当日という手順でした。

完成したモニュメント1いずれのプロセスにおいても正解はなく、学生・教員とも苦しみながら答えを見出すことの連続でした。イベント当日は、多くの来場者の皆さん、特に小さな子ども達がとても楽しそうに我々のチームが制作したモニュメントを楽しんでくださいました。自分達が制作提案したものが、人々の喜びに繋がるという貴重な体験を味わえた素晴らしい挑戦となりました。
今回のニュースレターのテーマ「1+1+1…=∞」の意味はもうお分かりでしょう。一人一人が考え導き皆で力を合わせて出した答えとは、その人数分の実数ではなく、無限大であるということを意味したものです。今回のモニュメントの作成を通じて、正に学生の皆さんの無限大の能力・可能性を確認した次第です。

 

人間環境デザイン学科には、このような創造的なプロセスを体験できる演習・授業が多く存在しています。ぜひ一度のぞきに来てみませんか?
完成したモニュメント2完成したモニュメント3

 

Design letter 31 2016年11月14日
学科イベント:デザイン未来塾 第2弾
スウェーデン王立工科大学 建築家Erik Stenberg氏をお迎えして

2016.11.1 講演 「テンスタにおける環境デザインを通じた団地再生活動」
2016.11.2見学会「ひばりヶ丘団地見学と都市再生機構における団地再生の試み」

本学科のデザイン未来塾、第2弾はスウェーデン王立工科大学で教鞭をとる建築家Erik Stenberg氏をお招きしました。ご講演では、Erik氏が参加されたテンスタでの団地再生活動に関する紹介、また見学会ではUR(都市再生機構)による団地再生のビックプロジェクトの一つである「ひばりヶ丘団地」を、本学科教員や学生と共に訪ねました。

講演の様子講演の様子2

<講演>

現在、Erik氏が団地再生に取り組んでいるテンスタはストックホルム郊外に位置します。住宅不足解消のために作られた大規模な団地の一つですが、移民の集住、教育格差や失業、高齢者の集住、貧困などの問題が出ています。
ここで、Erik氏は1998年以降の移民を積極的に受け入れる政策を反映し、「移民のための住宅」としてリフォームに取り組んでいます。再生するにあたって、新しいものはなるべく使わず、旧住戸のものを利用するようにしているそうです。またエネルギー効率の良い外壁を使用することで環境に配慮しています。別の住戸においては、効果的に吹き抜けを作る(フロアをまたぐ住戸に変更する)ことで、若者にも好まれるリフォームを進めています。
こうしたハードに対する工夫だけでなく、コミュニティに関する仕掛けとしては、テンスタの歴史を紙面で紹介したり、街中でガイドツアーを行ったりすることで再生活動への理解を呼びかけています。また、大学では低所得者対策に関する教育を行ったり、建築教育の中で躯体を生かしながら再生する手法を取り上げたりしているとのことでした。
私たちの住む日本でも、戦後のスウェーデンと同じ大量供給の時代を経験してきたことから、今後同じような努力を重ねる必要がありそうです。

<見学会>

次にErik氏と共にひばりヶ丘団地へ向かい、UR職員の方にご案内いただきました。この団地は1959年に建設された2,714戸の大規模団地です。当時は若い世代が憧れるモダンな暮らしとして、入居の申込みが殺到したそうですが、その後40年を経て施設設備の老朽化が進み、1999年に再生計画に着手、そして現在ほぼ完了し、1,504戸まで縮小しています。

見学会の様子見学会の様子

Erik氏は各所を熱心に見て回り、住戸プランや全体計画の考え方、またコストの面についてもスウェーデンととても近いところがあるそうです。建物の環境負荷や、既存樹木を活かしたオープンスペースのデザインについても、日本の手法や考え方に通ずるところがあるとのこと。

見学会の様子Erik氏

一方で違いとしては、例えば、住戸プランのキッチンは日本の方が簡素であったり、住棟のカラーデザインは、このひばりヶ丘は従前のオフホワイトを基調にしているのに対し、スウェーデンでは最近はパステル系のカラーなども用いられていたりするようです。
高福祉な国として有名なスウェーデン、そこで実現されている住環境はどれだけ素晴らしいものだろうかと想像しますが、日本の住環境デザインも頑張っていると言ってよさそうです。そして、これから高齢社会のトップ集団を走る日本、つまり若い世代の皆さんは世界の手本となるデザインが求められます。

Design letter 30 2016年10月27日
2016年朝華祭で作品展が開催されます!
11月5日・6日、実験工房にて
プロダクトデザインコース・准教授 池田千登勢

もうすぐ朝霞キャンパスの大学祭「朝華祭」。人間環境デザイン学科では、毎年、学生たちの自主制作による作品展や、各研究室の作品展を開催しています。1期生たちが始めた作品展も今年で9回目。 インスタレーション、アートオブジェから建築作品、プロダクト作品、インターフェース作品、写真、絵画、イラスト、クラフトまで・・・様々な作品が実験工房棟に登場しますので、是非ご覧になってください。

作品展ポスターこれまでの作品展の様子
これまでの作品展の様子
2016年人間環境デザイン学科作品展ポスター・これまでの作品展の様子

さて、今回はプロダクトデザインコースの池田研究室で展示するゼミ4年生による作品をご紹介します。毎年、池田ゼミでは硝子や布、木などのシンプルな素材を使い、知育玩具や花器、ファッション小物などの身近なプロダクトをテーマにデザイン提案を行っています。
今年は国内有数のアクリルパイプのメーカー、昭立プラスチックス工業株式会社にご協力いただき、透明度が高く加工性に優れた「アクリルパイプ」の素材を活かした、遊んで楽しい、飾って美しいインテリアトイのデザイン提案に取り組みました。ゼミ生12名の作品から、一部をご紹介します。

helical ballhelical ball
<アクリルパイプの円形クーゲルバーン“helical ball”>
パイプのエッジの円周上をくるくると玉が転がり徐々に中央に落ちていく動きを楽しみます(山岸由季)

GrantroisGrantrois
<立体バランスゲーム “Grantrois”>
グラグラ揺れるらせん状に穴があいたアクリルパイプ。この穴の中にそっとアクリル棒を通してバランスを保ちながらキープ。倒してしまったら負け!重りの半球部分も透明樹脂を硬化させて作りました(長島未季)

gravasegravase
<混色を楽しむ一輪挿し“gravase“>
様々な色に染められたアクリルパイプを重ねることで混色を楽しむことができます。花がなくても美しく、季節によって色の雰囲気を変えても良いと思います(黒田佳奈子)

つつ、つも。つつ、つも。
<組み立てパイプのユニットシステム “つつ、つも。”>
25色3種の形のパイプを丸型のジョイントピースで組み立てられるインテリア問です。混色を楽しむこともできます。収納箱にしまうのも楽しみです(井出ひろみ)

これらのアクリルは、それぞれワンピースずつ手染め加工しています。数色の樹脂染料を混色して色出しを行い、70度程度に熱し、アクリルを浸す時間を部分ごとに変えることでグラデーションに染色したり、濃度を変えて調節したり、思い通りの色を表現しています。

アクリル琴アクリル琴
<アクリルパイプと日本文化の調和 “アクリル琴”> 
Φ200mm×480mmのアクリルパイプで作られたお琴です。弦以外、全てアクリルで作られており、調弦もできる仕組みになっています。(寺田琴音)

これらの他にも、色を変えられる照明、玉を落としたり揺らしたりして遊ぶ玩具など、楽しい作品が並びます。是非、手にとってご覧ください。

池田研究室では、福祉事業所とのコラボレーションによる製品開発にも取り組んでいます。
今年は初めて、沖縄県那覇市の障害者福祉事業所、「そてつの森」が作っている、DLOPSアートステッカーという、透明な樹脂を盛った艶やかな美しいステッカーの新しい市場開拓を目標に、デザイン提案を行いました。
アートステッカーアートステッカー
外国人観光客向けの日本のお土産ステッカーや、地方の特産物をアピールするステッカー、スポーツをテーマにしたステッカー、動物園や水族館など特定の商業施設に置く想定のステッカーなどなど、14人のメンバーの作品がデビュー予定です。

朝華祭の作品展をご覧になって、デザインワークの楽しさを感じていただければ幸いです!学生たち一同、実験工房にてお待ちしています。

Design letter 29 2016年10月20日
学部・大学院の研究室紹介
空間デザインコース・教授 櫻井義夫

ここ数ヶ月の、櫻井義夫研究室の活動を研究室の学生がご紹介致します。

<アドルフ・ロースの研究>
大学院2年 村田徹
私たちは、アドルフ・ロースの研究に取り組んでいる櫻井先生の指導のもと、アドルフ・ロースの代表的な住宅作品であるミュラー邸(Villa Müller)の図面起こしと模型作りを行いました。
図面起こしと模型作り①図面起こしと模型作り②

研究室に所属する学生みんな(プレゼミ生、ゼミ生、大学院生)が参加し、初めにアドルフ・ロースとはどんな人物でどんな建築をつくったのか等のレクチャーを櫻井先生にして頂き、図面の読み込み、空間の把握、構造や仕上げの分析なども行いました。
分析①分析②分析③
制作にあたり、現存している図面や写真を参考にしながら当時の手書きだった図面をデーター化し、模型に使う素材の検討などを行い、より本物に忠実な作品を目指そうと努力しました。上級生が下級生に図面の読み方や模型をつくるコツを教えたりしながら理解と交流を深め、参加者全員で盛り上がりながら完成する事が出来ました。
(現在は、朝霞キャンパスの実験工房棟に展示されています。機会があればご覧ください)

<学外の設計競技への参加>
大学院2年 根本響暉
櫻井研究室は、学外で主催されている設計競技に研究室全体で積極的に参加をしています。
設計競技(以下:コンペ)とは、建築や景観、製品等、様々な分野のデザインに関する課題に対して、個人もしくは複数人がチームを組んで、それぞれ独自の提案をし、審査員によって提出作品の中から上位数点が選ばれるといったものです。
私たちは建築や都市計画を主に学んでいるので、それらの分野に沿ったテーマのコンペに櫻井先生のご指導のもと学部生・院生合同で参加しています。
コンペに参加することで、学年に関わらず様々な意見や考え方を出し合い、議論を通して交換できるので、新鮮な感覚を得て、楽しくやりがいを感じます。参加者全員でそれぞれにアイデアを出し合い、どういった提案やデザインを私たちは求められているのかを何度も話し合うことで、その答えに即したアイデアへと結集していきます。最初は多様な方向性をもったアイデアたちが、話し合いを通じて統一性を持ちはじめ、ひとつのアイデアになる瞬間は、グループワークでしか得られない感動ですし、作品が出来上がった時にはみんなで達成感や満足感を分かち合うことができる、とてもいい機会だと感じています。

コンペ②コンペ②コンペ③

<鰺ヶ沢町との連携:バス庭観光案内所>
大学院2年 石塚亮佑
2013年度より続く、青森県鰺ケ沢町との域学連携事業の一環で、今回は鰺ヶ沢駅前の観光案内所の内装を実際に設計、施工しました。
昨年度8月に鰺ヶ沢町の観光協会から依頼を受け、町役場の役員や町民の方々と模型やCGを用いたプレゼンテーションを行いながら何度も打ち合わせをし、1/10サイズの詳細模型、実寸大のモックアップと綿密な検討を行った上で今年の2月に現場での施工を行いました。地元の作業場をお借りし、地域産の杉材のカンナがけから始まり、ドリルによる穴あけ、塗装、金属加工、藍染めなど1つ1つ研究室のメンバーの手で制作し、約1週間をかけて完成に至りました。バス庭観光案内所製作過程①

製作過程②製作過程③

杉の香りが漂う新たな観光案内所は新たに訪れた観光客や地元の人々も集まり、親しまれる森のような場所となり現地メディアにも取り上げていただくなど、研究室初の実施プロジェクトは、町の皆さんと共に成功を収めることができました。
新聞記事集合写真

 

<鰺ヶ沢町との連携:バス庭>
大学院1年 鈴木叙久

櫻井研究室では、2013年度より青森県鰺ケ沢町をフィールドとする域学連携事業を通して、様々な活動を行っています。今まで幾つものプロジェクトを完成させており、昨年度の観光案内所に続いて、今年度は鰺ヶ沢町の地域住民、観光客など多くの人々の新しい交流の場の提案、通称「バス庭プロジェクト」を行っています。

現在、各拠点をつなぐ小さなバス停留所は老朽化しており、物寂しい様子からは人々の交流する情景は感じられませんでした。
そこで私たちは町民や観光客の活動・観光拠点という機能だけでなく、人が滞留するための役割を付与することを考えました。
町の花である「はまなす」をはじめとした特徴ある花々をこの停留所に持ち寄って彩ることで、町民・行政が協働で花の管理を行い、人々が町を共に作り上げ花と共に交流を育み、深めてゆくことが出来ると考えたのです。これがバス停の名前「バス庭」の意味です。

そして現在は 案を作った学生達で現地を訪れ、町の方々から様々な意見を頂き、設計に活かしているところです。

改善すべき所や新しい発見を持ち帰ってまた、デザインを練り直す。

バス庭①バス庭②バス庭③

 

それを繰り返すことで、デザインが洗練されていきます。雪が本格的に降り始める前に施工をする予定です。完成が楽しみであり、また自分で空間を作り出すことに責任感と使命感を感じています。

今回の打ち合わせでは、打ち合わせの日に行われていた「ねぶた祭り」を町役場の人と共に見に行き、地元の食材を用いたBBQを一緒にする機会に恵まれました。町の人々と鰺ヶ沢町の様々な風景や文化に触れることで笑顔になり、町のエネルギーを吸収し、その体験を設計に活かしていく。この交流をする関係そのものが純粋に楽しく、まちづくりとして素晴らしい事だと思いました。バス庭の完成が今から楽しみです。

バス庭④バス庭⑤

Design letter 28 2016年10月3日
Claudia Mattogno教授による
「イタリアの大学教育」および「ローマの都市計画・まちづくり」に関する講演
(東洋大学短期海外招聘教授制度による特別講義) 

Mattogno先生先日の内田祥士先生コーディネートによるRoland Kelts氏の講演(Design letter 27)に続き、今回は櫻井義夫先生のコーディネートによるClaudia Mattogno先生の講演が開催されました。Mattogno先生はローマ大学の教授でありますが、フランスの大学で教育・研究されていたこともあり、フランスの都市計画におけるライセンスもお持ちです。現在、アメリカのバークレーやボストンなどとの教育・研究交流も展開しており、世界各地で活躍されています。

講演会の様子まず学部生を対象とした「イタリアの大学教育」に関する講演では、大学の歴史や現在の教育プログラムについて解説がなされました。イタリアで最も古い大学は?…、ローマ大学と思われるかもしれませんが、実はボローニャ大学の方が古く1088年だそうです。なんと日本の平安時代後期にあたります。ローマ大学は1303年ですが、それでも鎌倉時代後期から続く歴史を重ねてきた大学です。
各種教育プログラムにはコミュニケーションやプレゼンテーション能力が問われる機会が多く設定されており、都市計画やまちづくりの授業に関する紹介もありました。ローマは数々の歴史的モニュメントが存在するからこそ、その存在感に圧されるばかりでなく、そこに暮らす人々の日常をみることの大事さを授業の中で丁寧に伝えているそうです。

講演会の様子次に本学科の学生を対象に、「ローマの都市計画・まちづくり」に関する講演をしていただきました。ローマといえば、誰もが知っている世界的な観光地ですが、”旅行者だけのまち”ではない、都市計画の専門的見地からローマの都市形成を語っていただきました。

1800年代はじめのローマは、とても小さなまちで人口約11万人、周りは田畑や緑地が広がる田舎町だったそうです。ちなみにその当時、ロンドンは100万人を超えていたとのこと。1850~1860年代に鉄道が敷設され始めたことを契機に近代化が進み、1870年にイタリアの首都となります。1883年には初の都市計画マスタープランが打ち出されました。数々の伝統的建造物の保存、一方でまちの大きな打撃となるテベレ川の氾濫を抑止するための護岸工事、スラムクリアランス、新たな行政機能拡大に向けた都市開発など、まちをいかに適正に改造し、現代化させていくかが試されてきました。そして、今でも多くの人々を魅了する美しいまちなみが広がっています。現在は市民参加型のまちづくりや自然環境・緑地を重視した都市計画へと向かっているそうです。

講義はイタリア語で行われ、学生たちにとっては新鮮だったようですが、櫻井先生のスムーズな通訳により皆、熱心に聞き入っていました。

講義の様子(記録:空間デザインコース・准教授・菅原麻衣子)

Design letter 27 2016年9月26日
学科イベント:デザイン未来塾
Roland Kelts氏による「戦後の日本建築を入口に『日本の文化』について話す会」

本学科のデザイン未来塾、今年はNew York Times にホテルオークラの記事を寄稿したジャーナリストであるRoland Kelts氏を招いて講演会を開催しました。

講演会1Kelts氏はミドルネームがNozomuであり、父親がアメリカ人、母親が日本人のハーフで、普段はニューヨークと日本を行き来しています。現在はハーバード大学の研究員であることからケンブリッジを拠点に、世界各国を飛び回っている著名人です。日本文化、特にポップカルチャーに精通していますが、この講演では、日本人とはちょっと違う観点で日本建築や日本文化を語っていただきました。コーディネーターは内田祥士先生、通訳は水村容子先生と阿久津純恵先生です。

講演のキーワードは”perspective”。日本文化に対する日本人(内)の見方と外国人(外)の見方の違いはなにか。また一貫して、”What is the true Japanese?”、つまり「何が本当の”日本”か」を問う内容となりました。

ホテルオークラを例に挙げ、この建築が老朽化により解体という話が持ち上がった際、日本人や日本の建築関係者からはほとんど反対の声が挙げられませんでした。しかし一方で、アメリカやイタリアなどむしろ外国のデザイナーたちが解体するなんてあり得ない、保存すべきだと異論を唱えました。
ここに、実は私達日本人が大切と思っていないものが、本当は大切なものと気づけるかもしれない、また世界が見ている日本と、日本人が見ている日本は少し違うのでないかということが浮かび上がってくるわけです。

講演会2ホテルオークラは、外国人が“日本らしい”と思うデザインを、外国人のために設計したとはいえ、会場からは、外国人か否かに関わらず、特に有名なロビー空間は、実際に快適で魅力的な空間が広がっているなどの意見も挙がりました。
学生からの質問の中には、「ホテルオークラに対して日本人の心は既に離れていたように、アメリカの若者はアメコミから離れてしまったということはないか」や、「日本人は外国人が賞賛するほど日本文化を優れているとは思っていないが、確かに誇りに思っている。それについてどう考えられるか。」など、さらに議論を深めることとなりました。
私達日本人が創り出し、引き継いできた日本文化や日本建築の本質はなにか、みなさんはどう考えるでしょうか。とても有意義な時間となりました。
(記録:空間デザインコース・准教授・菅原麻衣子)

Designletter 26 2016年9月7日
子ども支援学専攻との協働―「こどもセンター」設置提案プロジェクト
生活環境デザインコース・准教授 仲綾子

ライフデザイン学部には、本学科(人間環境デザイン学科)とともに生活支援学科(生活 支援学専攻と子ども支援学専攻)と健康スポーツ学科があります。各学科・専攻はそれぞれの専門を追究しながらも、機会を捉えて連携して活動を行っています。

今回のデザイン・レターでは、子ども支援学専攻と協働している「こどもセンタープロジ ェクト」を紹介します。これは、子ども支援学専攻の有志と人間環境デザイン学科の仲研究室が協働して朝霞キャンパス周辺における「こどもセンター(子育て支援施設)」を提案す るものです。昨年度は子ども支援学専攻の学生が主体となり、関連諸施設の視察やソフトの 提案を行い、今年度は人間環境デザイン学科の学生が主体となり、具体的にハードの提案を 行い、それに対して子ども支援学専攻の学生と教員がレビューするという方針で進めてい ます。他の専門分野と協働することは、異なる言語を話す人と会話するようで手間がかかる ことですが、それだけに得るものが多いと実感しています。このように他の分野と協働できることが複合学問をとりあつかうライフデザイン学部の強みのひとつであるといえます。  

議論の様子協働作業の様子
写真1 議論の様子写真2 協働作業の様子
発表の様子 
写真3 発表の様子 

こどもセンタープロジェクトの提案は、11月5~6日の朝華祭で展示しますので、ご興味 のある方はぜひ足をお運びください。

なお、本プロジェクトは、東洋大学の「男女共学100周年記念事業」のひとつに採択され ています。こちらも併せてご覧ください。
https://www.toyo.ac.jp/site/coeducation100th/103443.html

集合写真高山静子先生からのアドバイス
写真4 集合写真写真5 高山静子先生からのアドバイス
建築家・松本康弘先生からのアドバイス中間発表会での集合写真
写真6 建築家 ・松本康弘先生からのアドバイス写真7 中間発表会での集合写真

 

Design letter 25 2016年8月26日
観光のユニバーサルデザイン
空間デザインコース・教授 髙橋儀平

〇観光と観光施設の魅力

日本では今、インバウンド(海外からの観光客)人口が2,000万人を超え、東京2020オリンピック、パラリンピック時には4,000万人の外国人観光客の受け入れを目標にしています。

国内外を問わず観光の魅力はなんといっても自然環境と歴史的建造物、街並み、文化遺産そして地元の伝統的なお祭りです。

2016年現在、日本国内で世界遺産に指定された地域、地区、建造物は20か所に達しました。その他にも日本遺産、国宝、重要文化財、伝統的建造物群保存地区(歴史的町並み)、そして自然環境が豊富にあります。日本は地球の中の小さな島国の一つですが、北は北海道稚内から南は沖縄与那国島まで、全国各地に世界に誇れる観光地が林立しています。

観光のユニバーサルデザイン(観光UD)とは、これら観光地・施設を老若男女、誰もが楽しむことができる魅力ある施設に改善し、また観光を楽しむために必要な人的サポートを整えることです。この観光UDへの取り組みも人間環境デザイン学科の大切な研究テーマの一つです。

 

〇文化財のバリアフリー化、UD化

観光UD にまず必要なことは、観光地の交通・移動手段の整備、旅館やホテルの整備、文化財の最低限のバリアフリー化、分かりやすく利用しやすい観光情報の提供、そして宿泊施設のUD化です。いま世界各地では、様々な文化財・世界遺産のUD化が進められています。

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写真1 1998長野冬季オリンピック時に取り付けられた長野市善光寺のスロープ:木造仮設として設けられた、わが国の文化財(国宝)でバリアフリー化された初期のものです。敷地内には車いす使用者や乳幼児用設備を有するトイレも整備されました。善光寺の経験はその後多くの文化財に影響を与えました。

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写真2 世界文化遺産西本願寺(国宝)に設けられたエレベーター:文化財のUD化には文化財の保護との調和が不可欠です。バリアフリー化やUD化を優先しすぎると、文化財の価値が損なわれる場合があるからです。歴史的建造物のバリアフリー化やUD化には限界もありますが、工夫ひとつで様々な対応が可能です。西本願寺堂内には至る所スロープがありますし、英語案内できる僧侶さんもいます。

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写真3(左)オーストリア・ザルツブルグ(歴史地区・世界文化遺産)の歩道:平坦な路面に伝統的な舗装材である四角い石を使用した視覚障害者用の点字ブロックです。日本では考えられません。(右)ベルギー・ブリュッセル地下鉄構内の視覚障害者用点字ブロック:ヨーロッパでも国や地域により点字ブロックの種類や配置方法が異なるようです。

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写真4 イタリア・コロッセオ(世界文化遺産):内部の見学ルートには、大胆にもエレベーターが取り付けられ、誰もが容易に見学することができます。イタリアある世界文化遺産の多くはバリアフリー化が進められています。

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デザインレター
写真5 世界のサイン:(左)ローマ市内、(中)メルボルン市内、(右)京都清水寺多言語表記

観光地を案内するサインは様々です。国際的な標準サイン(ISO)はありますが、地域や観光施設によってオリジナルで魅力あふれるサインが沢山あります。

〇ぜひ一緒に観光とUDの魅力を創造しましょう。

観光の魅力は何といっても感動と発見です。初めて訪ねる地で地元の人々と出会い、自然や人類が長い年月をかけて作り上げてきた自然景観や歴史的建造物に出会った時、私たちは混沌とした日常生活を忘れ、自然や人類の偉大さに驚き、改めて新たな創造力が沸き上がる感動を得ます。私たちは人類の歴史を振り返ることで未来を創造してきました。これからも間違いなくその営みを継続していくことでしょう。

日本は今世界でトップレベルの高齢社会です。多くの高齢者が観光地を訪れます。観光地や宿泊施設などが誰でも分け隔てなく楽しめる環境づくりは、歴史を創ってきた人類の使命といえます。

 

Design letter 24 2016年8月1日
強化ダンボールを使った被災地支援活動
生活環境デザインコース・教授 繁成 剛

日本では毎年のように地震、大雨、火山噴火などの大規模な自然災害が発生し、地域住民の生活に甚大な被害をもたらしています。その中でも1995年1月17日の阪神淡路大震災、2011年3月11日の東日本大震災、そして今年の4月14日と16日に熊本と大分で起きた大地震は未曾有の災害となりました。

東日本大震災の直後に本学では学部や学科を超えて10以上の支援チームが結成され、地震や津波で被災した東北3県の各地域に学生と頻繁に訪問し、現在も支援活動を続けています。本学科では2011年の4月から授業の中で被災地支援として何か提案できることはないか学生にテーマを与えて、グループでディスカッションし、まとまったアイデアを実際に制作しました。

大学から車で1時間のところにある加須市の旧騎西高校に、福島第1原発の事故で双葉町の住民千人以上が役場とともに避難してきました。教室や体育館に畳が敷き詰められ、プライバシーの全くない環境で大勢の方が寝食をともにしている様子を拝見して、思いついたのが食事をするときの座卓でした。私は長年、3層強化ダンボールを使った椅子や遊具をデザインし、障害のある多くの子供達に提供してきたので、その技術が活かされると感じたのです。そこで使いやすいサイズの座卓をデザインし(だんてと命名)、放課後に学生たちと製作しました。次第に協力してくれる学生が増え、ボランティアサークルに属している他学科の学生や近隣の他大学の学生までだんてを作ってくれました(写真1)。100台くらいできたところで、加須市の避難所にもっていきました。最初はどの程度使っていただけるか不安でしたが、1週間後に避難所を尋ねると100台だんてはすべて活用していることがわかりました。避難所の中を見学させていただくと、だんての周りに集まってお茶を飲んでいたり、小学生が宿題をしていたりしていて嬉しくなりました(写真2)。

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写真1 実験工房でだんての制作
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写真2 加須市の避難所でだんてを活用

その後、2012年から2014年まで岩手県の大船渡市と陸前高田市にある避難所、仮設住宅、福祉施設を学生たちと何度か訪問し、強化ダンボールを使って避難生活で必要となっている棚、下駄箱、テーブル、椅子など、住民の皆さんと一緒に製作するワークショップを開催しました。この時は地元の福祉施設や役場の職員も一緒になって、強化段ボールを切り出したら組み立てる作業をしました。避難所の集会室では、いつもイベントをしても参加されない男性の住民が多数参加されたので、地元のコーディネータの方も驚いていました。高齢者の施設では、入所者一人一人の体型にあった椅子を強化ダンボールとウレタンフォームをカットして製作しましたが、椅子が出来上がった時はみなさんとても嬉しそうでした(写真3)。

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写真3 大船渡市でのワークショップ

今年の4月14日と16日に熊本で大きな地震があり、益城町を中心に大きな被害がありました。多数の住宅が倒壊したので現在も多くの住民が避難生活を送っています。東日本大震災の時に避難所で活用していただいただんてが必ず役立つと思い、長年お付き合いのある段ボールメーカーに依頼すると、企業の社会貢献として無償で100台を作っていただけることになりました。6月21日に九州の知り合いに手伝ってもらい、被害の大きかった御船町の避難所にだんてを寄贈してきました。避難所となっている体育館の入り口でだんてを組み立てていると、住民の皆さんが次々に使いたいと受け取って行かれましたが、そのうち何人か自主的にだんての組み立てを手伝ってくださいました(写真4)。100台はあっという間になくなり、もっと必要なことが判りましたので、その後すぐメーカーにだんて200台の増産を依頼し、避難所に送っていただきました。

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写真4 熊本県御船町の避難所にだんてを寄贈

このだんては熊本学園大学の教員と学生達がコーディネートして、益城町の子ども達が集うコミニティカフェで、アクリルペイントを使ってだんての天板や脚に自由に絵を描くワークショップを開催しました(写真5)。味気ない段ボールのテーブルがカラフルで楽しい家具に変身し、みんなで楽しく使ってくれたことでしょう。また御船町でいっしょにだんての寄贈を手伝ってくれた北九州の保育専門学校の教員は、授業で生徒達にだんてを作ってもらい熊本の被災地に届けてきたという報告がありました(写真6)。

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写真5 益城町でのワークショップ写真6 専門学校の授業でだんて作り

段ボールという身近な素材を使って大地震による被災地の支援活動を続けてきましたが、シンプルで実用的な座卓をデザインし、学生や各地の企業と福祉施設の関係者に協力していただき、支援の輪が次々に広がっていきました。必要だと思いついた時、すぐに行動し、周囲の知り合いに自分の考えを表明することを皆さんにお勧めします。その活動の中で本当に自分がやりたいことが何かを見つけることができるかもしれません。

Design letter 23 2016年7月19日
工房長から受験生へ
空間デザインコース・教授 内田祥士

1. 人間環境デザイン学科についての私達の考え方
人間環境デザイン学科は、デザインの学科です。私達はデザインを、その前提となる企画・計画から実際のデザイン迄の幅の広い領域の総称と捉えています。卒業制作は、建築やプロダクトに関するデザインまで、実に、多様です。デザインに関わる演習は必修ですが、卒業論文を書いて卒業する学生もいます。卒業後の進路は、デザインや制作の現場から、福祉や企画・営業迄、実に様々です。デザインは、美術学科・建築学科・機械学科そして福祉学科を横に貫く力です。

人間環境デザイン学科は、デザイン能力とデッサン能力は異なると考えています。私達は、美術学科でも芸術学科でもありません。従って、実技入試でも直接的にデッサン力を問うことはありません。実技試験の課題は、平面構成と立体構成で、共に制作する課題です。

人間環境デザイン学科は、文系でも理系でもありません。私達は、文系からでも理系からでも受験出来る学科です。センター入試でも、一般入試でも、文系、理系の両方に枠を設けています。

2. 工房棟についての私達の考え方
人間環境デザイン学科には実験工房と制作工房の二つの工房があります。
実験工房棟は、3階建で、1階が学科の講堂(実験空間)と各種加工機械室、2階が2年生の、3階が3年生のスタジオ及びアトリエになっています。(写真1)制作工房棟は、4年生の工房で、主に研究室活動や、卒業制作の場となっています。

20台程のPCと数台の加工機も置かれています。(写真2)

実験工房(写真1)制作工房
写真1 実験工房棟写真2 制作工房棟

人間環境デザイン学科では、2年から4年まで、ロッカーと電源の付いた自分の机(作業台)を用意しています。2年生以降は、留年しない限り、卒業迄自分の机(作業台)があるという事です。3年間、デザインについて、じっくり考えて下さい。勿論、英語の勉強にも使えます。(写真3)

因みに、これは、私の作った1/50の住宅模型です。結構、力の入った模型なのですが・・・。(写真4)

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写真3写真4

 

Design letter 22   2016年6月20日
南アSOWETOの劣悪な住宅に住む障害当事者の住宅改善ワークショップ
生活環境デザインコース・教授 川内美彦

1:概要

写真1:ぼた山南アフリカ(以下、南ア)といえば、白人による非白人に対する人種隔離政策(アパルトヘイト)で有名だが、暴動などがよく起こりニュースなどでしばしば紹介されるヨハネスブルグのソウェトを訪問した。
“Soweto”とは"South Western Townships"(南西居住地区)の略で、非白人、主に黒人の居住地区である。アパルトヘイトは1994年に廃止されているが、今でも肌の色による生活格差はなくなっておらず、ソウェトには劣悪な住宅がひしめいている。
そのソウェトにも障害のある人が住んでいる。そして劣悪な住環境の中で不便で制約の多い生活を営んでいる。八王子に本拠を置くヒューマンケア協会はそのソウェトで障害のある人の生活改善活動を行っており、そのプロジェクトの一環として、2016年2月に現地に赴き、住宅改善ワークショップを行った。
ソウェトに近づくと不思議な丘がいくつも見えてくる(写真1)。台形で頂上部は平らになっている。明らかに人工的なものだが、大きい。これは金の採掘で掘り出した土砂を山にしたもので、日本で近いものとしては炭鉱のぼた山に相当する。人間の欲深さを象徴しているようにも見える。             

2:住宅訪問

ワークショップは3日間にわたって行ったが、その前に住宅事情を知るために、障害のある人の住宅4軒を訪問した。現政権は土地・住宅分配プログラムによって国民に土地付き住宅を提供しているが、土地はまずまずの広さがあるものの住宅はきわめて粗末なもので、トイレとキッチン用の水道がある以外はがらんどうで、壁はレンガ、屋根はトタンの30㎡程度の平屋である。天井も内壁もない。ある人は自分で内壁を作り、ある人はどこかから持ち込んだ家具で目隠し状の壁を作っている。障害のある人への生活支援制度は極めて貧弱で、基本的には家族によるサポートに支えられている。ヒューマンケア協会のプロジェクトによって家族から離れて暮らし始めた人もいるが、南ア政府がそれを引き継ぐかどうかの確証はない。
土地と家をもらった人はまず塀を作る。治安が悪いからである。私が訪問した4軒のうちの1軒は、塀があって出入り口は鉄製の二重戸だったが、1ヶ月ほど前に泥棒に入られたとのことだった。ただ、珍しくもないことなのか、ショックを受けている様子でもなかった。
多くの人が副業として、土地の空いたところにシャック(Shack)と呼ばれる掘立小屋を建て、まだ住宅がもらえない人を住まわせている。ソウェトには家と土地をもらうのを待ち続けている人がたくさんいて、スラムを形成している。その人たち向けの、いわば貧困ビジネスだが、私が見たものは2.5m☓2.5mの壁・屋根ともトタン張りで内壁や天井のない、まさに小屋だった(写真2)。ここで家賃3000円程度をとっているらしい。クララという女性は車いす使用で、ヒューマンケア協会からの介助者支援を受けながら、親戚の家の裏庭のシャックに住んでいる。親戚ということと障害があるということでやや広めで、外形で2.5m☓4m余程度。中にベッドと小さなキッチンがあるが、壁・屋根はトタン張り。ヨハネスブルグは夏は暑く冬は雪も降る。すきま風も防げない粗雑な造りの上に、外のトイレ(写真3)は電灯がないので夜は行けないし、扉が内開きなので車いすで入るとドアを閉められない状態では、雨の日も使えないだろう。おまけに、途上国に多い、便座のないトイレである。クララの生活は想像さえできない。
写真2:シャック写真3:クララの家のトイレ

3:ワークショップ

写真4:屋外での図面作業ワークショップでは10人程度の障害のある人が集まり、みんな車いす使用。多くの人は介助者も同伴しているので、20人位の参加者となった。そもそも図面など習ったことがないので、建物を図面で表す際の最低限のルールを教えた後は、会場を実測していきなり図面化する作業に取りかかった。これまでの経験で、日本人のように集中力が続く人は極めて少なく、1時間もすればたっぷり休憩が必要だと思っていたが、参加者の集中は途切れることなく、また自然にリーダーも生まれて、話し合いながら協力する姿が印象的だった。
2日目には実際に車いす使用の女性が住む住宅を訪れ、班に分かれて内外を実測し、図面化する作業。ここでも、庭に張られたテントに集まり、こちらの指示を待つこともなく、図面を描き始めた(写真4)。暑い日だったが、集中は切れることがなかった。
2日目の作業は班ごとに分担した部分の図面を描くところまで進んだので、3日目は集会所に戻り、その図面をスクリーン上で合体して1軒の住宅にした。いろいろ問題が出るだろうと思っていたのに、一回でほぼ満足できる整合具合だったのには、思わず全員が拍手。
その後はみんなで話し合いながら、この家から彼女が一人で出入りでき、家の中に彼女の使えるバス・トイレをどう設けるかを考えていった。意見は活発だが、数学的な基礎能力が教育されていないので、スロープ勾配の考え方がどうにも理解できないようだった。その点では今後、もっと時間をかける必要があるが、陽気だけど飽きっぽいと思っていた人たちが、休憩も取らずに意見を出し合い、図面を描く姿は印象深いものだった。 

夢は彼らのコミュニティの中に住宅改造を指導できる人が生まれることで、そこまでの道のりは遥かに遠いが、彼らの熱心な姿に何かしらの明るさを得て、今回の訪問を終えた。

Design letter 21  2016年5月23日
テクニカルメタルワーク演習  
生活環境デザインコース・准教授 嶺也守寛

皆さんこんにちは! 今回のデザインレターは、嶺ゼミで行われているテクニカルメタルワーク演習についてご紹介致します。3年生の夏頃に各研究室(ゼミ)配属がされます。3年生はプレゼミ生とも呼ばれ、4年生の卒業研究に着手する前段階として各ゼミで特色のある研究指導を受けます。今年度の嶺ゼミのプレゼミ指導は、テクニカルメタルワーク演習を行いました。昨年は、金属加工演習との名称でしたが、ダサく受けを狙ってカタカナにしてみました。(笑)

学生1学生2

今年度の演習課題は、木と鉄を使ったスツールの制作と1枚のアルミ板から創作課題を行いました。私は、アーク溶接のインストラクターの資格を持っていますので、座学から実習まで指導することができます。嶺ゼミの特徴としては、ゼミの講習会などを開催する際には、自分のゼミ生だけでなく一般公募で参加者を募り、他ゼミの学生を受け入れ、技術面だけでなく人の交流も目的としております。
今回の演習課題であるスツールの制作は、デザインの検討から図面化を行い、それを元に制作をしていきます。技術的な要素としては、金属加工と木工と2種類あり、金属加工では材料の選定から金属の切断、曲げ加工、ヤスリ加工、溶接などがあり、木工は材料の切り出し、リューターなどの木工機器の使い方、サンディング、塗装など工程があり、広く加工技術を学ぶことができます。この中では、金属の曲げ加工と溶接が難しく多少のテクニックが必要で、それも個別で指導しています。できた作品は、工房の撮影室で作品の撮影会を行います。

スツール学生3

学生3スツール2

また、アルミ板の創作課題では、100×100mmで板厚が3mmのアルミ板を渡して、これもまたデザインの検討から設計図面の作成、金属加工を行います。ここでのポイントは限られた材料の中でどうデザインしていくかです。難しいところは板厚3mmのアルミ材の曲げ加工は難しく、下手に曲げると割れてしまうなど材料の特性を知る必要があります。

図面1図面2作品1作品2

どちらの課題であっても全体での作品の評価を行います。スツールの場合は、大学祭である朝華祭に出品して、来場者の評価を受け投票によってどの作品が優れているかを行います。また、アルミ板の創作課題では、参加者の前でコンセプトなどのプレゼンを行い、全員で点数を付けるなどして品評会を行います。この場合は、一番点数が低く作品レベル低いものに関しては、制作者が知らない学生をつかまえてショボい作品をプレゼントするというバツゲームもあります。プレゼントされた学生はいい迷惑ですね。(笑)

学生5学生6

以上の通り、プレゼミ3年生の各ゼミの演習は、各教員が工夫を凝らせた指導を行っており、しかも正規の授業ではないので単位も出ませんが、学生の皆さんは楽しく学んでいます。興味のある方は是非、嶺ゼミに来てください。(最後はゼミの宣伝でした。(@^^)/~~~)

Design letter 20  2016年4月28日
新入生歓迎イベントを開催しました。
プロダクトデザインコース・教授 奥村和正

2016年4月16日に人間環境デザイン学科として新入生歓迎イベントを行いました。 新入生の皆さんも慣れない環境にやや緊張している様子が見られます。そこで、緊張をほぐし、新しい仲間と交流を深めてもらうことを目的にイベントを企画しました。方針は「ゆるく、たのしく、ためになる」です。4年生達が中心となって運営してくれたことで、アットホームで楽しいイベントになりました。

●   朝霞ウォーキングラリー
今回のイベントのスタートは、チームで朝霞を歩いて楽しむウォーキングラリーです。この季節の朝霞は新緑にあふれ、歩くのも気持ち良いものです。また学校周辺には様々な歴史的な文化財が点在しています。そこで、学校を中心に7つの方角に割り振り、14チームが放射状に出発しました。面白そうな目的地を探し、道すがら、地元住民の方々に話しかけて、朝霞の良いところを取材しながら歩きます。

 (左)チームでルートを相談しながら目的地をめざします  (右)途中で出会った地元の方にお話しを聞きます
(左)チームでルートを相談しながら目的地をめざします  (右)途中で出会った地元の方にお話しを聞きます
下の写真は目的地で記念撮影した各チームの表情です。
記念撮影した各チーム

●    新入生歓迎パーティ
普段は演習授業を行っている実験工房をパーティ会場として華やかに演出し、おいしい料理を楽しみました。
パーティは4年生の司会進行で、まず各チーム、ウォーキングの報告です。歩いたルートを白地図上に描きこみ、出会った物や人について発表してもらいます。新入生ですが、皆さん発表がなかなか上手でした。
続いて、4年の先輩達による新入生に向けてのプレゼンテーションが行われました。大学生活のアドバイスとして、サークル、アルバイト、旅や留学の経験談を面白おかしく紹介したり、各分野の授業や先生方の攻略法など先輩ならではの取って置きの情報を織り交ぜて、楽しく紹介してくれました。パーティの最後はウォーキングでの各チームの歩数をもとにゲームを行って賞品獲得を競い盛り上がりました。
 新入生歓迎パーティ

歩きながら新しい友達と話ができて良かった、先輩の話が聞けて良かったという新入生からの感想も多く寄せられ、大学生活の思い出深いスタートになれたのではないかと期待します。この新入生歓迎イベントの企画は毎年変わります。さて来年はどのようなイベントになるでしょうか。