をこぜ

をこぜ 

『をこぜ』は山の神とヲコゼの異類婚姻譚である。本学の所蔵する絵巻は、島津久基博士の旧蔵書で江戸初期の写本と考えられるが、全体を構成する五つの絵は大和絵風で美しい。全体にユーモラスな書きぶりは、異類物の佳作といってよいだろう。

物語は山の神がヲコゼを見そめたことに始まり、カハウソのなかだちで両者は文を通わせる。タコの入道が怒っておし寄せようとするが、それを聞いたヲコゼの姫は山の中に逃れ、首尾よく山の神と結ばれる。山の神とヲコゼの関係は民俗学上の好題目としてよく扱われるもの。また、末尾に「世の中の人いふことに、あながちにものをみて喜ぶをば、山の神におこぜみせたるやうなりとぞ申し伝へたる」とあり、『毛吹草』などにとられた「山の神にをこぜ見するがごとし」のことわざをここにも見つけることができる。

〈画像1〉琴をひくヲコゼの姫を山の神が見染める。
をこぜ1

〈画像2〉カハウソの勧めで恋文を書く山の神。
をこぜ2

〈画像3〉嫉妬するタコの入道、怒り狂ってイカの入道などの眷属を集める。
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〈画像4〉山へ逃げたヲコゼの姫は山の神と出会って契りを交わし、大団円。
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書名

『をこぜ』

数量1軸
書写/刊記/伝来江戸初期写
島津久基博士 旧蔵
装訂/
大きさ
巻子本
17.0×814.3㎝
翻刻島津久基編・市古貞次校訂『続お伽草子』(岩波書店 1956年)
大島建彦校注『日本古典文学全集 御伽草子集』(小学館 1974年)