機械工学科

暮らしを支えるものづくりの理論×実践。

群知能ロボット研究室(山田和明 准教授)

複数台のロボットによる自律的な協調・競合回避行動の獲得

自律移動ロボットビーゴ

我々の研究グループでは、複数のロボットを制御するための研究を行っています。もし、複数のロボットを上手く制御できれば、一台のロボットでは運搬が困難な大きな荷物も多くのロボットが協力することで運べたり、工場の狭い通路を多くのロボットがすれ違う場合もロボットが互いに道を譲ることで衝突を回避することができます。このように複数のロボットを上手く制御できれば、荷物の大小やロボットの台数にかかわらず柔軟に対応することができるため、工学的に重要な課題となっています。

この問題に対し、従来は集中管理システムにより複数のロボットを制御していましたが、システムが故障するとすべてのロボットが停止するといった問題が発生します。そのため、設計者が各ロボットに協調・競合回避行動を予め組込んでおき、個々のロボットが状況に合わせて適切に行動することで、システム全体として目的を達成させる自律分散的な制御方法が研究されています。しかし、研究を進めるにしたがって、設計者が個々のロボットが遭遇する状況を想定し、予め協調・競合回避行動をロボットに組込んでおくことは極めて困難だということが明らかになってきました。

そこで、我々の研究グループでは、個々のロボットに学習アルゴリズムを搭載することで、各ロボットが人間のように試行錯誤しながら協調行動や競合回避行動を学習する方法を研究しています。学習アルゴリズムを搭載したロボットは、学習初期、ランダムに動くため上手く作業を達成することができません。しかし、各ロボットが互いに適切な行動を学習することで、最終的にシステム全体として目的を達成するようになります。現在、研究グループではシミュレーション上で提案手法の有効性を検証していますが、将来は実機ロボットを用いた検証を予定しています。

この研究室を希望する方へ

我々の研究グループでは、複数のロボットを制御するために、人間のように試行錯誤を繰返して学習するアルゴリズムを開発しています。学習アルゴリズムを開発するためには、ロボットやプログラミングの知識だけでなく、人間の学習メカニズムを参考にするため、脳科学や認知心理学といった工学の枠組みを超えた知識やスキルを吸収する必要があります。また、プログラムをコツコツ組み、実験を通してプログラムの間違いを修正したり、アルゴリズムの仕様を調整するなど粘り強く作業を進める必要があります。そのため、研究室入室希望者に望むことは、工学以外の学問領域にも興味が持てる人、コツコツ粘り強く一つのことが続けられる持続力のある人を期待します。研究室では、輪講を通して脳科学や認知心理学を勉強したり、プログラミング初心者のためにプログラミング講習会も行っているため、事前知識やプログラミング技術のない初心者の方でも歓迎しています。