生体医工学科

医学・工学両分野を学び、幅広い対応力を身に着けた視野の広い人材の育成。

生体システム工学研究室(田中尚樹 教授)

脳背景活動の機能の解明とその応用

当研究室の主要テーマの一つが脳背景活動の性質、機能的意義を明らかにすることです。みなさんは「脳活動」についてどのようなイメージを持たれているでしょうか。多くのひとは、難しい数学の問題を解いたり、何年も前に行った旅行での出来事を思い出したりするときに、脳活動すなわち脳の働きを意識されるのではないのでしょうか。何かのタスクを行ったり、何らかの刺激に応答したりするときにこそ、脳活動が生じるというのは自然なイメージでしょう。

脳は全身の重さの2%しかないにも拘わらず全エネルギーの20%を消費する器官です。さきほど触れた明示的なタスクや刺激の処理にはその消費エネルギーのうち高々数%しか使われないと考えられています。大半のエネルギーは明示的なタスクや刺激のない安静状態で消費されます。その膨大なエネルギーは何のために消費されているのでしょうか。その解明は脳神経科学分野の重要な課題です。安静状態の脳活動にはいくつかの階層があると考えられます。特にその最深層の「固有活動(intrinsic activity)」が有する生物学的意義を解明することは非常に重要な課題です。この課題に脳神経系および循環系等を対象とするマルチモーダル計測と有効なデータ解析手法の開発によって迫りたいと考えています。

この研究室を希望する方へ

当研究室では脳活動(特に背景活動)計測を中心にした生体信号計測とデータ解析によって生体をシステムとして明らかにし、得られた知見を工学的に応用することを目標にしています。この目標に向けて実験・解析・理論のいずれかに重点をおいた研究を行います。現在進行中の主なテーマは安静状態およびタスク状態における脳背景活動とそのストレスによる変化、運動学習過程における脳背景活動の変化、ストレスの認知機能への影響、同時計測信号間の関係解析技術などです。所属する学生は脳科学、実験心理学、信号解析・機器制御の中から基本的に自由にテーマを決めます。まず実験、解析の基礎技術の実習、基礎的文献の講読を通して基礎事項を学び、設定したテーマの研究に取り組みます。脳のはたらき・脳と身体の関係、生体における複雑な現象、制御システム、信号処理等のいずれかに関心を持つ学生諸君の研究参加を期待しています。