応用化学科

変革する社会に応える化学。

分析化学研究室(佐々木直樹 准教授)

マイクロ流体デバイスを用いる化学・生化学分析

マイクロ流体デバイスとは、プレパラートほどの大きさをしたガラスやプラスチックの板です。ここには、半導体の微細加工技術を利用して、髪の毛くらいの太さの流路が作製してあります。このマイクロ流路を実験室で使う試験管やフラスコ、或いは培養皿に見立て、化学や生化学の実験ができます。実験容器が小さくなるので、いままで多量に使っていた試料や試薬が微少量で済みますし、廃液の量も格段に少なくなります。少量の溶液があっという間に混ざるので、反応時間も大幅に短縮できますし、温度制御も容易です。また、複数の手順を要する化学反応や分析操作も、河川が合流や分岐をするように、マイクロ流路中で溶液を順番に合流させる事で容易に実現できます。このような研究はマイクロタス(Micro Total Analysis Systems)或いはラボオンチップ(Lab on a Chip)などと呼ばれ、世界中で盛んに研究が取り組まれています。

当研究室では、マイクロ流体デバイスを基盤技術とし、分析化学の新たな方法論を開発しています。これまで分析できなかったものができる、或いはわからなかったものがわかる手法の開発を目指しています。例えば、マイクロ流路中の溶液に交流電場を印加すると、マクロスケールとは異なる原理で溶液の流れが生じます。この現象は、マイクロサイズのポンプやミキサーを作るのに使う事ができます。これらを利用して分析に必要な全操作を1枚のデバイス上に集積化すれば、環境分析などの様々な現場化学分析に役立つと考えられます。用いる溶液の組成を工夫すると、生体中にごくわずかな量しか存在しない分子を濃縮して分析する事もでき、新薬開発や医療診断への応用も期待できます。もちろん、新しい手法を開発するだけでなく、それらがどういった仕組みで成り立っているのかを理論・実験の両面から明らかにする事もきわめて大事です。世の中の流行を追うだけではなく、人類の知となるものを後世に残す事も意識して、日々研究に取り組んでいます。

この研究室を希望する方へ

研究室での生活は、学部3年生までの講義中心の生活とは大きく異なります。すなわち、自身の卒業研究テーマを基に、答えのわからない、或いはそもそも答えがあるかどうかすら分からない問題に取り組んでいく事になります。基礎学力や実験技術もさることながら、少しくらいの失敗ではめげない気持ちの強さも必要です。また、指導教員や研究室の他の学生と多くの空間や時間を共有するわけなので、その中で集団におけるルールとマナー、さらには他者とのコミュニケーションを学んで欲しいと考えています。卒業研究は必ずしも研究者・技術者を志す人にのみ役立つものではなく、社会生活を送る上での基礎を身につける場として、全ての人に役立つものであるという意識を持ってもらえればと思っています。