応用化学科

変革する社会に応える化学。

環境工学研究室(井坂和一 准教授)

化学と生物の力を利用した排水浄化に関する研究(高分子ゲルによる有用微生物の固定化技術の開発)

きれいな水環境を維持するためには、汚染源である工場汚水等を放流される前に、適切に浄化する技術が必要です。排水中には化学作用で処理される成分と、生物作用で処理される成分があり、最適な方法を考案し、排水処理装置を構築していきます。特に細菌による排水の浄化能力は極めて有効であり、未知の可能性を有しています。

当研究室では、細菌の機能を最大限に活用するため、寒天のような高分子ゲルの内部に細菌を高密度に固定化し利用する方法を開発しています(図1)。

図1 細菌をゲル内部に固定化する包括固定化技術

細菌はゲルの内部で生息し、汚濁成分はゲルの内部に透過して行きます。そしてゲル内部の細菌によって汚濁成分は分解(浄化)されます。この担体内には細菌が高密度に保持されているので、排水処理装置に担体を投入するだけで、排水の浄化能力を大幅にアップさせることが可能です(図2)。

図2 包括固定化技術を用いた排水処理装置

このとき、高分子ゲルは細菌に分解されないように設計しますが、同時に、細菌を殺さない優しい材料が必要です。また、汚濁成分がゲルの内部に透過しないと、汚濁成分が菌に届かず浄化が行えませんので、適当な穴(細孔)が開いている必要があります。

これらの点を考慮した新しい高分子ゲルを開発し、同時に、小型の浄化装置を運転して、排水が確実にきれいになっていることを明らかにしていきます。さらに近年、排水中の窒素成分や化学汚染物質を効率的に処理する細菌が発見されており、これらを利用することで、処理性能の高度化を目指しています。

本研究成果は、新しい排水処理技術の確立に寄与し、そして世の中で広く利用されることで、きれいな河川、湖沼そして海洋の維持に貢献していきます。

この研究室を希望する方へ

今、特に民間企業では、自分の個性を生かし、新しいことに挑戦できる人材が求められていると考えています。教科書から学ぶ基礎学力はとても大切なことですので、1~3年次にしっかりと勉強してもらいますが、教科書から答えを導くことだけをしていては、社会で活躍できる人材になれません。むしろ「自分の考え・研究から新しい教科書を作っていく!」そんな人材が必要とされています。

卒業研究は、社会に飛び立つための重大イベントであり、本研究室では、各自の「技量」や「考え方」を伸ばせるよう、研究を通じて指導を行います。みんなのアイディアをもとに、前向きな議論をすることが楽しみです。不器用でも、少しぐらい不得意科目があっても良いと思います。大切なものは研究への情熱と責任感で、責任感をもって一生懸命研究ができれば、必ず結果は出てくるものと思います。研究を通じて、大切な自分の個性を社会に向けて伸ばしていきましょう。