生命科学科

生命は、謎に満ちている。

水圏動物生理学研究室(井ノ口繭 助教)

魚類の浸透圧調節機構の解明

水の中に生息する魚類も、陸の上で生活する私たちと同様に体液の塩分濃度は海水の約3分の1に保たれています。しかし、陸上と水中ではその塩分環境は大きく異なり、魚が生息している川や海などの水圏環境は様々な塩分濃度を示します。魚はこのような多様な塩分環境に適応するため、独自の塩分濃度調節機構を発達させてきました。海水中では、塩分濃度は体液よりも高いため、海産魚は塩類が体表から体内に流入し、逆に体内の水は外へと流出し脱水状態になる恐れがあります。これを対処するため、魚は海水を飲んで腸から水を吸収し、余分な塩分を鰓から排出しています。一方、淡水魚では水が体内に流入し、塩類が流出します。そのため、多量の尿を排出し、不足した塩分を鰓から吸収する必要があります。
私たちの研究室では、魚類の塩分調節機構を研究しています。魚の塩分調節を担う器官として鰓、腎臓、腸があげられますが、その中でも特に外界と接する表面積が広く、イオンの輸送を盛んに行っている鰓に着目し、研究を進めています。具体的には、鰓に存在し塩分調節を担う塩類細胞という細胞のイオン輸送機構の解明や、細胞の活性化に伴う形態の変化について調べ、魚の塩分調節機構を機能形態学的に検証しています。
話が複雑になってきましたが、魚類の塩分調節機構をわかりやすく言うと、「なぜ魚が海にも川にも生息できるのか、その適応機構はどうなっているのか」ということです。狭い分野に思われるかもしれませんが、世界各国で研究が進められて尚も、多くの疑問が残されている魅力的な分野です。

この研究室を希望する方へ

新たな発見をするチャンスは、研究をするすべての人に与えられています。先生の指示を素直に聞くというのも悪くはないのですが、私たちの研究室では、「一人の研究者として自分の手で謎を解き明かしてやるんだ」と、前のめりで研究に取り組む人を歓迎します。
本研究室は実験ベースです。なかなか実験がうまくいかないこともあるかもしれませんが、華やかな成果を出す自分を頭の中では思い描きつつ、微量な液体を混ぜ合わせる・反応を見守るなどの地味な作業を一緒に積み重ねていきましょう。