生命科学科

生命は、謎に満ちている。

環境応答研究室(藤村真 教授)

糸状菌の環境ストレスと分化誘導機構の解明

アカパンカビの24時間を刻む体内時計

カビの仲間には、日本酒などの発酵に利用されるものや食用キノコなどのように有用なカビ類と植物やヒトに感染する病原菌や毒素やアレルギー成分を生産する有害なカビ類が存在する。これらのカビ類のもつ発酵能力や病原性あるいは二次代謝産物の生産は、環境の変化とそれに伴う分化誘導と密接な関係がある。我々は、アカパンカビをモデル糸状菌として、様々な環境ストレスをどのように受容し、そのシグナルを細胞内で変換し、どのような遺伝子群を発動させているのかを解明している。

ケミカルバイオロジーを利用した新規抗真菌剤の標的探索

急激にグローバル化の進む国際情勢の中で、安全な作物を安定的に生産することは重要な課題である。作物を植物病原菌による病害から守るために様々な技術が検討されているが、現状では、化学農薬に大きく依存している。しかし、多くの農薬に耐性をもつ菌が発生しており、新しい殺菌剤あるいは新しい防除技術が求められている。我々の研究室では、アカパンカビが重要な植物病原菌と進化的に比較的近いことから、植物病原菌のモデル菌として使用している。アカパンカビの古典的な順遺伝学に加えて、ゲノム情報を利用した逆遺伝学、さらに阻害剤を利用した化学遺伝学などを利用して、次世代の植物保護剤の標的の探索研究を行っている。

遺伝子診断技術を利用した植物病原菌のモニタリングと病害防除技術への応用

キュウリの病気(キュウリ褐斑病)と病原菌

化学農薬に過度に依存しない病害防除技術を開発するために、病原菌の密度の変動を病原菌DNA量としてモニターする遺伝子診断系を構築している。また、農薬耐性菌の分布などを耐性変異の塩基置換としてモニターする遺伝子診断系を構築している。群馬県農業技術センターなどと共同で、耕種的病害抑止技術の開発や病害抵抗性品種育成あるいは有効薬剤の選抜に応用している。

この研究室を希望する方へ

人類が健康でかつ平和であるためには、安全な農作物が一年を通して充分に生産・供給されることが益々大切な時代になってきていると思っています。農業現場をよく理解しながらも、様々な現象を従来とは異なる考え方や手法を取り入れて、サイエンスとして解明してゆきたいと考えている学生の入室を希望します。