健康栄養学科

人と社会の健康を担う、管理栄養士のちから。

食品栄養学研究室(太田昌子 准教授)

スポーツ選手における抗酸化能に着目した栄養管理の構築

時計を分解するのは誰にでもできますが、一旦分解された部品を組み立てて、機能を発揮できるように時計を戻すのは簡単ではありません。全ての部品を見ながら考える必要が生じてくるからです。栄養管理も同じです。一つの栄養素や食品に固執することなく、1日、1ヵ月、1年と長い年月を想定して栄養素の組み合わせを考えなければなりません。

栄養学は食物と人体の関わりを検討する学問です。「健康な生活を送るために日本人はどのような栄養素をどのくらい摂ればよいのか」という問いに関して、科学的根拠に基づいた根拠を示すためには、上記に示した時計を組み立てるように、様々な学問分野の知識を集結して研究を遂行する必要があります。

当研究室ではヒトの食習慣に基づく栄養素摂取量と身体状況について、様々な視点から検討しています。主に3つの主題があります。

1. 栄養疫学を取り入れた調査研究

栄養疫学とは、栄養・食事を中心的テーマとして取り上げる疫学研究の総称です。簡単に言えば、『食べかたと健康の関連を明らかする科学』です。この手法を用いて、大学生やスポーツ選手の栄養素摂取量と心身の健康について検討しています。

2. バイオマーカーに基づいた栄養管理

バイオマーカーとは、生体情報を定量化するために必要な指標です。栄養管理においては、「血圧が高いから、食塩の摂取量を見直そう。」など、栄養管理では血圧、血糖値、中性脂肪、コレステロールなどが代表的なバイオマーカーであり、適切な栄養管理を行うために、バイオマーカーは不可欠な指標です。現在は、アスリートの疲労骨折を栄養管理の側面から予防するために、バイオマーカーを特定する取り組みを行っています。

3. 官能検査に基づいた食品開発

食べもののおいしさを数値で示す努力をしています。食品開発を開発するにあたり、マーケティング、品質の維持、流通経路の確保は、重要な要素であり、この3本柱が揃わないとヒット商品は生まれません。食品会社や産業センターから依頼があった場合は、この3本柱を構築できる手助けとなり、SDGsに貢献できるような共同研究を行っています。

この研究室を希望する方へ

「実学に基づく研究を行うために、ベンチマーク(benchmark、比較のために用いる指標)を明確にする」ことが研究室の共通認識です。人の健康維持に貢献するために、誇張せずに事実だけを発表できることが、真の研究姿勢と思うためです。

卒業論文や修士論文を完成させるためだけに研究を行うのではなく、進行過程において学内外の方との交渉や、発表能力をはじめとするコミュニケーション能力を養える人、そして、何よりも講義や実験実習を通して「栄養学は面白い」と思ってもらえるまで努力を惜しまない人に参画してもらいたいと思います。

学生の自主性を重んじているために、出校日も細かい設定をしていませんが、日々、大学生と大学院生が研究に励んでおり、いつも研究室前に電気が灯っていることを嬉しく思い、かつ、誇りにも思います。この良い姿勢を後輩へと引継いでくれる人は大歓迎します。