健康栄養学科

第31回 管理栄養士国家試験 合格率97.7%

調理学研究室(飯島久美子 准教授)

豆および野菜の調理における軟化・硬化に関する研究

一般に植物性食品である豆や野菜は加熱調理により軟化すると考えられています。しかし、調理条件によっては加熱しても軟化せず、硬化する場合があります。通常、軟化と硬化は同時に起こっているため、軟化>硬化ならば見かけは軟化し、軟化<硬化ならば見かけは硬化します。これらの現象について、どのような条件で軟化および硬化が起こるかについて研究してきました。

先行研究において野菜や果物などの植物性食品を60℃付近で予備加熱した後、通常の茹で加熱をおこなうと予備加熱しないものより硬くなる、すなわち硬化が生じることが報告されています。また、ささげ豆やいんげん豆を高温高湿で貯蔵すると、同様に硬化が生じることも報告されています。

野菜の硬化の主な要因については以下のように考えられています。

50℃以上の加熱により細胞膜の半透性が消失し、細胞膜内の電解質、主にKイオンが細胞壁に移動し、イオン強度が高まることによりペクチンメチルエステラーゼ(PME)が活性化します。このPMEによりペクチンの脱エステル反応が起こり、続いて多価金属イオンとの架橋結合がおこることで、組織強度が高まり、硬化が起こるとされています。一方、貯蔵による豆の硬化については、高温高湿で貯蔵することで①たんぱく質が不溶化し、ネットワークが形成され、でんぷんの膨潤糊化が妨げられることや②不溶性ペクチンが増加しているとの報告があります。

乾燥豆の調理では加熱前に水に浸漬することが一般的ですが、その際温水を用いることもあります。温水の温度が高いと吸水は促進されますが、60℃付近では硬化が起こることが予想されます。しかし、貯蔵以外による豆の硬化については報告がなく、当研究室では温水浸漬による豆の硬化に関して報告しています。

今後もさらにさまざまな調理条件における軟化および硬化の現象を把握し、豆および野菜などの植物性食品について研究を続けていきます。

この研究室を希望する方へ

本研究室では植物性食品を試料として、調理過程における変化を物理的・化学的変化を数量的に扱います。具体的には調理条件と食品の組み合わせにより、調製した調理品の物性測定、色差測定、成分分析等を行い、調理過程における変化を数量的に把握し、調理操作における変化のメカニズムを明らかにしたいと考えています。したがって、基礎的学力として化学・数学(・物理)を履修し、さらに実験をすることに意欲的な学生を望みます。勉学の意識は高いが、履修していない場合は指導します。調理は食品の持ち味を生かし、食べやすく、衛生的に、栄養効率よく、さらに見た目も美しいおいしい食物を調製することです。調理学はそのすべての過程が研究対象です。調理は科学であるという意識を持ち、そのメカニズムを明らかにしたいという意欲のある学生さん、どうぞ、調理学研究室にいらして下さい。