食環境科学科 フードサイエンス専攻

いのちを支える「食」を知る。

分子病態栄養学研究室(矢野友啓 教授)

科学的根拠に基づいた食品由来の機能性成分の抗がん作用に立脚したがん予防・治療法の構築

超高齢社会を迎えている現代日本において、がんをはじめとする生活習慣病にかかる人が年々増加しています。特に、生活習慣病の中でも、がんは加齢とともにその発症率が増加する典型的な加齢病であり、死亡率も第一位を占め、新たながん予防・治療法の構築が強く望まれています。本研究室では、この強い社会的要望に応えるために、より有効性の高い安全な科学的根拠に基づく新規がん予防・治療法構築を目指して、食品由来の機能性成分(ファイトケミカル)の中で、ヒトにおける食経験があり(安全性が高い)、国から食品関連成分として認可され、多様な機能性が報告されているビタミンE同族体であるトコトリエノールに焦点を絞り、その多様な機能性に立脚した科学的根拠に基づく有効ながん予防・治療法の開発を目指して、研究を行っています。具体的には、トコトリエノールの機能性を生体内でいかすために、トコトリエノールの生体利用性を改善することを目指して、トーモロコシ由来の素材であるシクロデキストリン包接する等の方法を研究しています。がん予防に関しては、代表的なビタミンEであるトコフェロールのヒト介入研究結果を統合して、統計解析(メタ分析)した結果、唯一ビタミンE類がその予防に有効との解析結果が得られた前立腺がんに絞って、トコトリエノールの有効性を分子標的予防的見地からその標的分子や作用機序解明を進めることにより、明らかにすることを試みています。がん治療に関しては、トコトリエノールの抗がん活性を強化する目的で、トコトリエノールの不安定要因である抗酸化部分をエーテル結合でブロックした新規エーテル誘導体を合成し、難治性の高いがんの中で特に有効性が認められたアスベストにより誘発される悪性中皮腫に対する有効性を作用機序も含めて明らかにするために、この誘導体が作用する遺伝子群やシグナル伝達系を遺伝子パスウエイ解析等の最新の解析法を用いて、解析を進めています。

この研究室を希望する方へ

まず、研究する前に一般社会人に要求される資質(報告、連絡、相談ができる等)を身につけることが必要です。また、研究の性質上、忍耐が要求されるので、粘り強く、諦めずに前向きに何事にも取り組めることが要求されます。そのうえで、がんの予防・治療法の構築に興味があり、情熱をもってこのテーマに取り組める人が望まれます。また、食品の機能性、基礎生化学、病態生化学等の研究に関連した分野の知識をつけることが望まれます。なお、卒業後の主な進路としては、大学院進学、医薬品や健康食品関連企業です。