食環境科学科 フードサイエンス専攻

いのちを支える「食」を知る。

光食環境科学研究室(和田直久 教授)

生物発光の基礎研究と食品科学への応用を目指して

“光環境”とは生物の生存にとって光の作用が不可欠な場合、その取り巻く外界をいう。特に“食”全般に関係するものが“光食環境”である。例えば、植物の葉では光合成によって多糖(デンプン)が産生されており、人間の命を維持するためにも大切な栄養源である。今では植物工場のように光環境などを適切に制御して、野菜を清浄な室内で栽培することに成功している。一方、生物自体が光を放出し、周りの空間に光環境を提供している現象が“生物発光”として知られている。自ら発光している目的は何か?—或いはどのように光のエネルギーが細胞内で作りだされるのか?—といった素朴な疑問に対する明確な答えは未だない。当研究室では、外界から取り込まれた栄養分が細胞内でどのようにして光エネルギーとして放たれるのか?—に関する研究を光食環境科学の立場から主に発光キノコを対象にして行っている。因みに、図1はホタルの明滅光の仕組みを示す模試図である。特徴的なことはミトコンドリアで産生するATPがホタルの(酸素要求性)発光反応に不可欠であることである。また、発光キノコの光る仕組みの最近の研究によれば、ミトコンドリアの呼吸鎖の入り口で電子を供給するNADHが必須の分子として考えられている。いずれにしても、ミトコンドリアのエネルギー代謝反応が、生物発光反応と共役/拮抗することでエネルギーの流れが制御されているようである。最近では、人のミトコンドリアの代謝異常に起因した病気の存在が知られているが、このように栄養をエネルギーに変える細胞内器官ミトコンドリアについて、食物のエネルギー摂取との関わり合い方から、抗酸化作用、細胞寿命や発がんとの関連性についても着目しながら研究を進める。

ホタルの明滅機構のモデル
発光キノコ

この研究室を希望する方へ

受け身ではなく、しっかりと目標を持って卒業研究に臨む学生に期待します。当研究室はこれまで生命科学部に所属していましたが、卒業生は大学院(東洋大大学院を含む)に進学したり、IT情報関連(バイオインフォマテックスを含む)、製薬会社のMR等に就職したりして活躍しています。また、外部研究機関で卒論指導を受ける機会を設けており、現在までに地方大学の医学部入試に合格し臨床医を目指す人、医系大学院医学研究科へ進学した人や、理学療法士などの医療分野の仕事につく人も出ています。このように卒業研究を通して各自の進路希望が叶えられるように各自の個性を大切にし、社会へ出て通用する人材の育成に努めており、現在では東北大の産学連携研究員や自治医大の助教として研究職で活躍している人もいます。自己実現に向けて努力する学生を希望します。