東洋大学法学部には、日頃の勉強の成果を学内で発表する機会がいくつもあります。どれも、学問的知識はもちろん、奥深い人間性を養う、法学部ならではの取り組み。大勢の仲間の前に立つことで、法の知識がどの程度身についているかを自分自身で確認できると同時に、他の学生がどのように勉強してきたかを知り、さらに向上するチャンスでもあります。

各ゼミの個性が直に伝わる

2012年度に始まったばかりの「法学部ゼミ対抗発表会」は、全法学部生を対象に開かれ、保護者も見学できるイベントです。日々のゼミ学習においてどんなことを学んでいるかをほかの学生たちに見てもらい、またプレゼンテーション能力に磨きをかけることを目的としてスタートしました。

第2回の発表会は、2013年10月18日、白山キャンパスの井上円了ホールで開催され、12ものゼミが参加。法学部では、3年次になるとゼミに所属し、少人数でより専門的に学んでいきますが、ゼミによってテーマも学び方も雰囲気も異なります。教員との距離も授業より近く、仲間とのつながりも一層深まるゼミ活動・各ゼミの魅力を知ることのできる機会とあって、ゼミ選びを控えた1、2年生にとっても必見といえるもの。会場には多くの学生が集い、「何が始まるのだろう」という期待と熱気が満ちていました。

楽しくわかりやすくアピール

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「ゼミ対抗発表会」では、参加ゼミがそれぞれ「10分」という制限時間内に舞台上で自由に発表し、採点を競います。評価を下すのは、聴衆学生のアンケートと審査を務める法学部の教員陣。発表学生はゼミで取り組んでいるテーマを伝えるスライドをパワーポイントで制作し、スクリーンに映し出して説明しますが、今回は寸劇を交えるゼミも多く、楽しみながら理解できるものが盛りだくさん。いきなりダンスでスタートしたゼミには、客席から「楽しそう」という声も聞こえてきました。学生になじみやすいアルバイト問題をはじめ、沖縄や台湾における題材を取り上げたもの、実際の判例を用いた発表など、多岐に及んだ発表がすべて終わると、採点表が集計されます。その間も司会学生による「法学部クイズ」で場内は盛り上がったまま。そしてついに入賞ゼミ名が発表されると、場内から大きな歓声が上がりました。

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<入賞ゼミ>
最優秀賞 竹島ゼミ(政治学)「みんなも投票に行こう」
優秀賞  鎌田ゼミ(労働法)「学生アルバイトと労働法」
特別賞  武藤ゼミ(刑法)「10分でわかる正当防衛」

この経験が大きな力になる

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表彰式を終えたゼミ生の表情はとても晴れやかでした。無事終了した安堵感と、仲間とひとつのことを成し遂げた達成感にあふれていました。最優秀賞を勝ち取った竹島ゼミの代表・内田哲夫さん(企業法学科3年・神奈川県立住吉高等学校出身)は、「ふだんのゼミ学習では個人発表だけなので、こうして仲間で一致団結できる機会はとても大切」と感慨深げな様子です。「他のゼミも同じように努力しているんだなと感じただけに、入賞を危ぶみましたが、最高の結果につながってうれしいです。早い段階で構成が決まったので、とにかく練習に時間をかけたのが良かったのかもしれません。みんながまとまって一つのことに向かう経験ができたことで、今後困難なことにぶつかっても乗り切れるんじゃないかと思います」と語りました。

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優秀賞の鎌田ゼミに所属する藁谷美智子さん(企業法学科3年・千葉県立千葉商業高等学校出身)は、「第1回を見た時に『難しい表現だと内容が頭に入らない』と感じたので、自分が発表する側に立った時は『身近な問題を取り上げよう』と考えました」と、聞く立場の1、2年生のことを頭に置いて取り組んだことを振り返ります。発表で得られたものについて、「他の発表を見て、法律といってもいろんな種類があるんだなと、あらためて関心が深まりました。こんなに大勢の人の前で発表するのは初めてでしたが、社会で必要な力が身につけられるはず。積極的に参加して良かったと実感できました」と笑顔で答えました。

リベンジで挑む学生の姿も

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法学部の一大イベントと言えるものが、法学部生全員を対象とする「法学部長杯争奪法律討論会」です。第27回を迎えた2013年度は10月24日、ゼミ対抗発表会同様、白山キャンパス・井上円了ホールにて開催されました。出題テーマに沿って選出された7名の参加学生が独自の意見を論じる様子は、実に堂々としたものです。10分の制限時間を有効に使い、声の大きさやトーン、抑揚、スピードなど、練り込まれた立論で会場内を圧倒しました。

質疑応答を含め、討論の様子を専任教員が審査し、「立論の部」「質問の部」で各3位までの入賞者を決定します。立論の部で見事1位を獲得した為貝佳彦さん(企業法学科4年・奈良県立西の京高等学校出身)は、前年度のリベンジ参加でした。

「昨年は、自分の考えを発表したくて参加したものの入賞できず、とても悔しい思いをしたんです。そこで今年は、かなり多くの資料を集めて視点を定め、時間配分や発声などにも配慮して臨みました。質問事項もあらゆるものを想定して抜かりなく準備しました。度胸もつきますし、こうした場に挑むのはだいじな経験だと思います」

今年こそはという意気込みが実り、討論会の歴史にまた新たな実力者名が刻まれました。来年度もさらに白熱した討論会となることが期待されています。

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<入賞者>
立論の部 第1位 企業法学科4年 為貝 佳彦
     第2位 企業法学科3年 橋詰 翔之介
     第3位 法律学科3年  吹澤 圭亮
質問の部 第1位 企業法学科4年 野西 星彩
     第2位 企業法学科3年 石川 勇紀
     第3位 企業法学科3年 高田 ひかり

  • 掲載内容は、取材当時のものです