「燃料電池」とは、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するデバイスで、水素、炭化水素、アルコールなどをエネルギー源とします。燃料電池は、環境に優しく資源が豊富で、発電効率が高いなどのメリットがある一方で、コストが高く、寿命が限られているなどのデメリットもあります。「固体高分子形燃料電池(PEFC)」は、低温で稼働し、自動車や家庭用発電、携帯電話など、広く利用されています。燃料電池車は、代表的な燃料電池の利用方法で、トヨタ自動車の「MIRAI」や、ホンダ自動車の「CLARITY」などですでに商業化されています。固体高分子形燃料電池は、白金を触媒として利用し、化学反応を起こしていますが、希少金属である白金は埋蔵量が限られているため、大きな問題となっています。そこで、代替となる触媒の研究が世界中で進められているなか、機能材料研究室では、「C12A7(12CaO・7Al2O3)」という多孔質の結晶が、白金代替触媒として機能することを発見しました。この結晶の中に入っている酸素イオンを、高温で「エレクトライド化(電子イオンに置き換える)」することによって金属化し、電気伝導度がよくなります。置換された「C12A7」は、触媒として機能し、さらにカルシウム金属を用いてエレクトライド化することで、その触媒機能が向上します。しかし、同じ条件で作成された白金触媒の燃料電池と比べると、発電効率は3分の1以下となり、今後さらに作成条件の最適化をしていく必要があります。白金代替触媒を使った燃料電池は、これからの再生可能エネルギーの活用において重要な役割を担い、CO2の削減に大きな貢献をすると期待しています。

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和田 昇教授理工学部 機械工学科 機能材料研究室

  • 専門:機能材料学、物性物理学
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