私たちが普段「持続性」という言葉を聞くと、エネルギー問題や地球温暖化のことを思い浮かべますが、私たちが学んでいるまちづくりや建築などにも関連しています。この授業では、ベトナムの建築から「持続性」について考えます。ベトナムの「ドゥオンラム」という農村では、3世代が中庭を挟んで、2つの住宅で向かい合って住む家庭が多くみられ、家族や近隣の人々が活発にコミュニケーションを取っています。建物は、庭に向けて庇(ひさし)が張り出した構造であり、風の通りがよい半屋外や屋外を使いながら、ベトナムのような蒸し暑い国でありながらも、エアコンを使わずに生活をしています。ベトナムでは、さまざまな関係性の中でコミュニケーションが取られ、生活習慣や文化が受け継がれていく「社会的持続性」と、半屋外を建築に取り入れる「環境的持続性」が両立する建物になっているのです。私たちが生活をしていくうえで、エネルギーを節約するだけではなく、社会的な良さを保ちながら、いい建築、いい街をつくっていくことは重要なテーマです。最近の住宅は、高気密・高断熱でエネルギー効率のよい家の作りになっていますが、もっと外と中を緩やかにつないでいくような半屋外のアイデアを活用したり、また、建築の問題を建築だけで対処するのではなく、空間を使ったりすることで解決していけるのではないでしょうか。グローバル化した現代では、一つの価値観で物事を決めていくのではなく、さまざまな価値観、文化、出来事を多面的にとらえて、それらがぶつかり合うときに、上手く解決していく手段を一緒に考えていくことが大切なのです。

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篠崎 正彦准教授理工学部 建築学科 住環境研究室

  • 専門:建築計画学、地域の生活環境整備、居住者の環境行動、住宅計画、ベトナムの住宅とまち
  • 掲載内容は、取材当時のものです