日本では、2015年から「地理的表示法」という、国内の地域特産品をブランドとして保護する制度が施行されています。「地理的表示保護制度」は、国際的にも広く認知されている制度であり、2009年時点ですでに世界100か国以上で、同様の地域特産品を保護しています。2019年には、世界最大級の自由貿易経済圏を形成する「日EU経済連携協定(EPA)」が発効し、これにより日本とEU双方の消費者が、安価な商品の選択をすることが可能となりました。この時に、「地理的表示保護制度」のもとに、日本とEU双方の生産者の権益が守られる仕組みができあがったのです。しかし、このような制度がありながらも、日本でも一部の業者の不正による、食品の産地偽装表示の報道が相次いでいます。このようなことから、ブランドを守るための産地判別技術が必要とされ、独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)では、農林水産省と連携して、食に関する検査・分析技術の研究に取り組んでいます。FAMICでは、食品などの品質・表示の適正化などに貢献し、食品の産地判別技術の研究を進めています。原産地判別の分析方法には、「DNA分析」、「元素分析」、「軽元素安定同位体比分析」「ストロンチウム安定同位体比分析」などがあります。これらの分析法により、栽培地域の違いがデータに反映され、国産か外国産であるかが判別でき、さらに2種類のデータを組み合わせることで、より高い精度の判別ができます。「地理的表示保護制度」のもとで、今まで以上に日本とEUの間で名産品が輸出入されるようになり、現在、消費者が安心して食を楽しむためのさまざまな産地判別技術が求められているのです。

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玉岡 迅准教授食環境科学部 食環境科学科 生物情報学研究室

  • 専門:微生物分類、分子系統学、機器分析
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