近年、問題視されている海洋プラスチック汚染は、2019年6月に大阪市で行われたG20 サミットでの主要テーマにもなりました。首脳宣言では、新たな海洋プラスチック汚染を2050年までにゼロになることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が掲げられました。世界全体では、1億5千万トンものプラスチックが海の中に存在し、毎年800万トンが新たに流入しています。プラスチックは軽くて丈夫で、さびにくく腐食に強いという長所がある一方で、自然分解されるまでに、長いものでは600年ほどかかるという欠点も持ち合わせています。現在日本では、年間約1千万トンのプラスチックが作られていますが、そのうち9万トンは廃棄されています。海洋プラスチック汚染の問題を解決するために、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の「3R」が注目され、日本では燃焼の際にエネルギー回収をする、「サーマルリサイクル」がよく利用されています。化学の面では、例えばプラスチックのストローの代わりに、天然高分子である紙や木材といった「セルロース」を使ったり、同じように石油から作った脂肪族ポリエステルである「ポリ乳酸」を使ったりするなど、自然分解する代替材料を作ることで貢献することもできるでしょう。機能材料研究室では、「二酸化炭素を原料としたプラスチック」を作っており、この研究が海洋汚染問題を解決できるのではないかと考えています。「3R」は一番身近な方法ですが、化学に携わる人間として、何か貢献できることがないかを一緒に考えてきましょう。

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吉田 泰彦教授理工学部 応用化学科 機能材料研究室

  • 専門:高分子化学・有機化学・プラズマ化学、二酸化炭素の固定化、生分解性プラスチックの開発、バイオセンサーの開発
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