語用論を例に、現代語研究について考えます。古典とは違い、みなさんが日々使っている現代語は、毎日変化していてく「生きもの」であると言われています。自分が使っている言葉を分析することができると、外国語の理解にも役に立ち、論理的思考力も養うことができます。日本語には、文法知識だけでは分からない、言葉の使い方の法則があります。例えば、疑問文に対して、文法的には「はい」「いいえ」の答えだけで十分ですが、相手の能力や意思を聞く疑問文では、ほとんど「依頼」の機能を持つため、疑問に対する答えだけではなく、行動に移すところまでを求められます。つまり、「文法的意味」を考えることと、それが持っている「機能」を考えることは別であり、私たちは分析的に考えてはいなくても、その違いを社会的人間として理解し、行動しています。これが「語用論」の研究であり、創始者であるオックスフォード大学のオースティン教授は「発話の力」に注目をし、「言葉を使っているのはその意味を伝達しているのではなく、それで行動をしている」と述べました。特に日本語は、言葉の文法的な意味と違うことが多く起こっているため、それを分析するのに語用論は非常に適しており、日本でも研究が盛んになったのです。このように、私たちは言葉を使って、表面的な意味にはないことを伝えたり行動したりしています。みなさんの身近にある現代語には、文法では理解できない言葉と、人に関わる規則が多くあります。日本語研究の醍醐味とは、その規則を自分で発見していく楽しさにあると言えるのです。

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三宅 和子教授文学部 日本文学文化学科

  • 専門:日本語学、社会言語学
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