企業と会社の関係について考えてみましょう。まず、私たちの生活に必要なものは生産されなければなりません。企業の目的は利潤、つまり利益を上げることで、その手段として生産を使います。企業は生産をする組織であるだけでなく、資本の調達と運用という2つの側面を持ち合わせています。そして、企業は生産活動に資金を投入して、それを増殖させなければなりません。つまり、企業は生産組織であると同時に、資金の組織(資本体)でもあると言えます。資本とは企業の所有権を表し、生産活動を支配します。
資本体である企業は、資本に係る責任と権利をめぐる争いが生じやすく、そのような争いを回避し、滞りなく安定的に生産活動を進めるため、これらの責任と権利を明確に定めた法律(ルール)として、2005年に「会社法」が日本で初めて作られました。ヒトがモノを所有する所有関係を基本とし、企業をヒトに換えた概念が「法人性」であり、その時に使われるのが「会社」になります。これによって、会社に法人格が認められ、団体自身の名において権利義務関係の処理が明確になります。企業と会社はコインの裏と表のように日常的に区別することはありませんが、円滑に生産活動を行うために必要な概念になります。企業を人間の「体」に例えると、実際に生産活動を行う時には会社という「衣(洋服)」を着るということになります。企業(体)が変化すれば、会社(洋服)も変化するように、将来の企業にとってどの洋服が求められ、その洋服はどういった役割を果たすのかを考えてもらいたいと思います。

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柿崎 洋一教授経営学部 経営学科

  • 専門:企業論
  • 掲載内容は、取材当時のものです