アインシュタインは1905年に「特殊相対性原理」と「光速度不変の原理」の2つの原理を基に、「Lorentz変換」を導きました。ガリレオやニュートンの時代に使われていた「絶対時間」と「絶対空間」の概念を否定し、「光速度不変の原理」をガイドにして議論を展開したのです。「光速度不変の原理」とは、どの慣性系で見ても光速度は同じであるという原理です。それでは、「Lorentz変換」を現実問題に対応させた場合には、どのようなことが言えるのでしょうか。よく例題として取り上げられるのが「タイムトラベル」の話です。地球から4光年離れた星まで光速の0.8倍で移動できるロケットに乗って旅行する、と仮定した場合、「地球にいる人が測った時間」と「ロケットに乗っている人が測った時間」には差異が生じます。ロケットが4光年離れた星に到着した時に、地球にいる人やその星の人は、5歳年を取っているのに対し、ロケットに乗っている人は、3歳しか年を取っていないという現象が起こります。乗客はロケットから降りた時、2年後の未来に飛び込むことになるのです。実際にこれを立証する実験は、飛行機で行われています。例えば、成田空港からニューヨークまでの時間を精密な原子時計で測ると、「飛行機に乗っている人」の方が「成田空港にいる人」よりも時間が短いという結果が出ました。この現象は相対性理論の本で、「動く時計は遅れる(ゆっくり進む)」という言葉で表現されます。過去へ行くのは難しくても、未来へ行くことはできるのです。

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手塚 洋一教授経済学部 経済学科

  • 専門:物理学、素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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