ボランティアの語源は、自由意思を意味するラテン語の「ヴォランタス」で、現在は、「自発的な意思に基づき他人や社会に貢献する行為」を指します。ボランティアは、地域の清掃や子ども会の運営、災害の廃棄物の後片付け、高齢者の介護など多種多様です。なかでもスポーツ・ボランティアは、1985年のユニバーシアード神戸大会で初めて公募されてから現在までに根付いており、地域のスポーツ団体で監督やコーチをしたり、地域のスポーツ大会の運営に関わったり、プロスポーツ選手やトップアスリートによるイベントでの子供への指導をしたり、といったさまざまな活動があります。こうしたなか、求められる活動内容の高度化に伴い、交通費などの経費相当額や労働の対価とまでは言えない低い額の謝礼を支給する「有償ボランティア」が増えてきました。有償ボランティアは労働基準法で定められた労働者とは違い、使用者の指揮監督下において労務の提供をすることも、労務に対する対価を支払われることも義務付けられていません。そのため、決められた日時や意図しない活動の指示や、指示に従わないことで報酬の減額や解雇といった制裁を受けることもありません。その活動の特性は、他人からの強制ではなく自分の意思による「自主性」、自分の利益のためではなく他人や社会の利益のためだとする「社会性」、報酬を求めない「無償性」です。しかし、時には職務内容が労働者と変わらないことも多くあるため、今後は労働基準法と照らし合わせ、ボランティアの内在的意識を総合的に判断していくことが必要となっていくでしょう。

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清水 宏教授法学部 法律学科

  • 専門:民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、民事紛争処理法
  • 掲載内容は、取材当時のものです