色素とは、身の回りにあるさまざまな色の元となる物質です。水や有機溶剤に溶け、布などに色を付けることができる「染料」と、水や有機溶剤に不溶・難溶で、印刷インキ・塗料・化粧品等に使用される「顔料」に、大きく分類されます。色の違いは、その色素がどの波長の光を吸収するかによって決まります。例えば、ジーンズの青であるインジゴ、茜の根から採れる赤色のアリザリン、ニンジンのβ―カロテンなど、一重結合、二重結合、ベンゼン環などの有無やつながり方はさまざまですが、どれも平面構造をとっていることがわかります。そして、色が出る構造の特徴には、化学構造の中の一部として、二重結合、カルボニル基、CN二重結合、NN二重結合があり、さらにヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基などが付いており、一重結合と二重結合が交互につながっていることが特徴として見てとれます。例えば「アントラセン」はベンゼン環が3つつながった色のない結晶ですが、これに、カルボニル基(COの二重結合を含んだもの)が入ると淡い黄色になります。さらに、ヒドロキシ基がつくとはっきりとした黄色になります。このようなほんの少しの構造の違いで、色の変化が起こるのです。また、色を付ける目的で使用されるだけでなく、有機ELや液晶などの情報表示用や、プリンターのインクやトナーなどに使われる情報記録用、有機太陽電池、色素レーザー、有機半導体といったエネルギー変換用、臨床検査試薬やがん治療などといった医療用などへの利用も注目されています。この授業をきっかけに、色素の構造に思いを巡らせてみませんか。

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田島 正弘教授理工学部 応用化学科 有機光化学・有機材料研究室

  • 専門:有機化学・光化学、有機化合物の光反応についての研究
  • 掲載内容は、取材当時のものです