大学などの研究機関が行う学術調査や、官公庁やマスメディアなどが行う、統計調査、世論調査などによって、実際の社会的場面における人間行動に関するデータを収集、解明し、人間行動について把握することで、因果関係を説明することができるようになり、多様な社会的現象を地道に解き明かすこと。それが、社会調査の目的です。しかし、社会調査の適用が可能な領域は限られているうえ、調査対象者は日々その価値意識、態度、行動を変容させていくということ、現在行った調査は常に過去のことになることなど、限界があります。また、人々の関心は生活に根差すもので、社会調査の内容が必ずしも一般の人々が関心を示す内容とは限らない、つまり、自分の興味・関心が調査対象者の興味・関心と一致しているとは限らないということを覚えておく必要があります。そして、あくまで協力を得て実施するもので、相手にお願いする気持ちを持つ必要があります。今回の実習では、事前に集めたデータをもとに立てた仮説を検証することを手段とする「仮説検証的アプローチ」によって、計画を立てていきます。まず、調査課題に関わる現象を概念的に説明する「理論仮説」を検討し、次に、情報や収集した資料から得られた情報によって肉付けし、調査によって測定可能な「作業仮説」を構築していきます。問題設定から始まり、仮設の構築や調査票の作成、調査の実施、そして最後に報告書を作成するという一連の流れを学んでいきましょう。

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大谷 奈緒子教授社会学部 メディアコミュニケーション学科

  • 専門:メディアコミュニケーション論
  • 掲載内容は、取材当時のものです