観光学の中でも「景観緑地論」は、美しく快適な観光地作りについて考える科目です。そもそも、観光にとって美しい景観や快適な景観は、なぜ必要なのでしょうか。観光客に旅先での行動についてアンケートを取ってみると「食事」などを抑え、「自然の風景を見る」「名所・旧跡を見る」が上位となり、いかに「見る」という行動が美しい景観の観光地作りに影響を与えているか、分かる結果となりました。では、その美しい景観を維持するために保全整備をどのように進めたらよいでしょうか。このとき、景観のS-O-R(Stimulus-Organism-Response、刺激-人間-結果)構造と景観把握モデルを考える必要があります。同じ景観でも非常に美しいと感じる人やそうでない人がいるのは、景観の認知構造であるS-O-R構造が影響しており、人間の評価が入ることで、見える結果が変わってしまうからです。また景観は、見る人の視点、視点場、対象、対象場といった景観把握モデルの4要素が複雑に絡み合って評価されるため、客観的に景観を分析できる評定尺度法や、被視頻度分析を用いながら保全整備を取り入れていく必要があります。そして、情報を発信して魅力を伝えることも重要です。近年では、実際にその場を訪れたかのように感じられるバーチャル体験を重視した発信へとシフトしており、全天球写真や現地情報をリアルタイムで発信するライブストリームなども活用されています。景観緑地論は全国の観光協会等で取り入れられており、成功する観光地づくりを考えるときに必須となる考え方なのです。

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東海林 克彦教授国際観光学部 国際観光学科

  • 専門:リゾート、ペットツーリズム
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