今問題になっている「斜面の安定」について考えます。斜面の強度を計算すると、さまざまな破壊形式のうち、例えば舟底型の破壊についてみれば、斜面の安定のすべりの原理が証明でき、円弧すべりだけでなく平面すべりが起きていることがわかります。斜面の崩壊には、自然斜面の崩壊、切土斜面の崩壊があります。地すべり、斜面崩壊などの境目に区別はなく、大まかに、大きいものが地すべり、小さいものが斜面崩壊であるとされます。またその原因は、豪雨による土砂崩れや河川の氾濫、地震などによるもので、こうしたことが、いつ、どこで起きてもおかしくありません。そして、対応していくのはみなさんです。地震動などによる軟弱地盤の崩壊は、無限長斜面によるものです。破壊面の形状は平面すべりで、下に押さえ盛土、上に頂上がある有限長斜面と呼ばれる普通の斜面と違い、何もなく、ずっと斜面が続いている一番危険な斜面です。土は手が汚れて敬遠されがちですが、実際に触って、強さや透水性地盤の強度、一軸圧縮実験、一面せん断試験などをしてみることで、文字や写真ではわからないこと、初めて分かることが数多くあります。土木工学の基礎となる三力「構造力学・水理学・土質力学」について、ぜひ学んでください。

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石田 哲朗教授理工学部 都市環境デザイン学科 地盤環境学研究室

  • 専門:地盤工学・地下水工学、不飽和土の浸透特性の評価方法ほか
  • 掲載内容は、取材当時のものです