ここではイギリス演劇である、愛と結婚の物語『ロミオとジュリエット』を、配役を決めて感情を込めて音読し、読み合わせ、理解を深めます。イタリアの花の都ヴェローナに、相争う二つの名門、モンタギュー家とキャピュレット家がありました。モンタギュー家のロミオは、キャピュレット家の仮面舞踏会に紛れ込み、ジュリエットの輝かしい美しさに心を奪われます。シーン①は仮面舞踏会でのロミオとジュリエットの運命的な出会いのシーンです。シーン②は、バルコニーのモノローグです。聞かれているとは知らずにバルコニーに出て自分の気持ちを口にしてしまうジュリエットと、それを偶然にも聞いてしまい、ジュリエットの気持ちを知るロミオが、互いに熱烈に愛の告白をし、結婚を誓い合うのです。星占いが信じられていて、家族同士の仲が悪く、現世では結ばれない星の下に生まれた男女、という考え方が作品全体を支配しており、また、聖者や巡礼というキリスト教の文化、若さゆえの生き急ぐ恋が描かれている、わずか一週間のお話です。小説のように人の気持ちを表現するため、演劇では一人芝居をして、心の中を表現するモノローグを使用しますが、シェークスピアはさらに、言葉ばかりではなく、言葉を発する側と言葉を受け取る側の設定にも工夫をしています。文学とは決して難しいものではなく、登場人物の体験を追体験し、人生を豊かにするものです。イギリス文学を体験して楽しみましょう。そして、明日はあなたがロミオとジュリエットになってみてください。

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石和田 昌利教授文学部 英米文学科

  • 専門:イギリス文学
  • 掲載内容は、取材当時のものです